イチョウ  剪定と黄葉

2018.10.22
白い歩道の両サイドに黄葉したイチョウとまだ青々とした緑色のイチョウが並んで植わっています。 左側が藻岩高校の外構植栽、右側が石山通(230号線)の街路樹のイチョウです。
左手(藻岩高校側)のイチョウは、樹高約10m、幹径30cm前後で、自然樹形で剪定はされていないようです。 右手(国道側)は樹高6.0~7.0m、幹径20cm前後で、枝の出方からすると剪定は昨冬か今春~夏に行われているようです。

樹木の大きさに違いはあるにせよ、同じ場所で両者の黄葉時期にはっきりとした違いが出ています。 この違いは何が原因で起きたのでしょうか?

その前に、黄葉はどうして起こるのでしょうか?

樹木は、葉の細胞内にある葉緑素を分解して、その中にある窒素(これが主)や微量要素(リン酸やカリなど)を回収し、それを再度、樹体内の貯槽組織に蓄えます。 葉緑素が分解されると緑色が失われ、葉に残っているカロチノイドなど黄色の組織が全面的に出てくるために黄色に見えるのだそうです。

この現象を踏まえて、上述の両者の違いを考えると、藻岩高校のイチョウはさっさと葉緑素を分解して窒素を回収しているのに、国道のイチョウはまだ葉緑素が分解されていない状態です。 なぜ、国道のイチョウは藻岩高校のイチョウのように葉緑素を分解してさっさと窒素を回収しないのでしょうか?

街中のプラタナスやヤマモミジなどの街路樹を見ていると、晩秋になってもなかなか葉を落さないで、くすんだ色の葉をつけているものをよく見かけます。 それらの街路樹の多くは、その年の夏に剪定されているものが多いのです。 国道のイチョウもそれと同じのようです。

これらの現象から推測すると、

剪定された街路樹は、切断面の補修(癒合組織の形成)など本来蓄えるべき養分を他に回さなければなりません。 もし、夏場に枝を切落す剪定がなされていないなら、葉で十分に光合成を行って樹体内に養分を蓄えて丈夫な体を作り、厳しい冬を乗り切り、翌春元気に芽吹きができるのに、それが出来なかったのです。 それを挽回するために、晩秋の寒さが増してくる時期になっても葉緑素を分解させないで、頑張って光合成をして、不足している栄養分を作ろうとしているのではないか?

と思って見てしまうのですが、どうでしょうか?