雪虫  

冬の訪れ、初雪を知らせる雪虫が今札幌でとんでもなく異常発生しています。
4日前の午後3時過ぎ(2023.10.24)に買物に出かけるために自転車に乗ったとたん、顔にプチプチと小さなものが当たります。太陽光線に当たって大量の雪虫が無軌道に飛び舞っているのが見えます。メガネをかけているので目には入らなかったのですが、上着やズボンには雪虫があちこちにくっついています。 2023.10.26
ズボンにぶつかって生地にへばりついている雪虫
毎年10月の温かい日差しの日に発生?出現?します。ところが今年は10月も末、しかも、例年にないこの異常な多さは私にとって今までにない経験です。 テレビ等の報道によると、ここしばらくの暖かさと、9月初めまで続いた熱帯夜など今夏の高温(異常気象)も大きく影響していると話していました。
ちなみに、我家に近い豊平川沿いの山肌がやっと黄葉の見頃を迎えました。30年程前は10月の上旬~中旬だったのです。 これも異常気象の主要因である温暖化の影響でしょう。
2023.10.26

〇 雪虫について
雪虫とは、アブラムシのうち白腺物質を分泌する腺を持つもののことを指すようですが、私のズボンにくっついた虫は腹に白い綿毛を持っていない雪虫?、ただの虫?でした。 何という種類のアブラムシなのでしょうかね? 雪虫で有名なのが※トドノネオオワタムシですが、この時期、お腹に白い綿を持つトドノネオオワタムシ以外に、綿毛を持たないアブラムシも空を舞う?浮遊するのです。 パソコンで「雪虫」を検索すると、ケヤキフシアブラムシやリンゴワタムシの名が出てきました。 もしかして、これらが綿毛を持たな種類かもしれません
※トドノネオオワタムシ;トドノネはトドマツの根の意味
ウィキペディア;トドノネオオワタムシより2015.7.5
ケヤキフシアブラムムシ;ケヤキの葉についている 虫えい(赤い玉のようなもの、虫こぶ)の中にアブラムシの幼虫が生息
※ 雪虫は、野菜や草花などの葉や茎にくっついて植物の養分を吸って生きているあのアブラムシと同じ仲間。

トドノネオオワタムシなどの雪虫の特徴は、季節により生活場所を変えることです。 トドネノオオワタムシは、ヤチダモやハシドイなどのモクセイ科の樹木とトドマツを、ケヤキフシアブラムシは、ケヤキとタケやササ類を交互に移動するようです。

雪虫で最も知られているトドノネオオワタムシの生活史(1年)は以下のようです。

① 春;ヤチダモなどのモクセイ科の幹や根で越冬した卵からメスの幼虫が孵化(ふか)し、新芽の葉裏に寄生
②春; 新芽に寄生したアブラムシの幼虫は5月中~下旬頃?に大型の羽のない成虫(幹母)になる
③夏;幹母は単為生殖(交尾をしないで雌単独)で多数(すべて)のメスの幼虫を生む
④夏; 幹母から生まれたメス幼虫は、幹母がつくる虫こぶ(葉にできる)のなかで成長し、すべて羽のある成虫になる
⑤夏;この成虫はヤチダモからトドマツに移動
⑥夏;トドマツに移動してきた羽のあるアブラムシの成虫は、トドマツの根元や地中の根に寄生、そこで数世代を経過し、単為生殖で増殖する
⑦秋;単為生殖で生まれたメス幼虫は、羽のある成虫になる
⑧ 秋;羽のあるメス成虫は、トドマツの地際から現れて、再び飛び立ってヤチダモに移動
⑨ 秋;そこで(ヤチダモ)、単為生殖により有性虫(オスとメス)が生まれる
⑩ 秋;有性虫は交尾して、樹皮の割れ目や冬芽などに産卵後息絶える

トドネノオオワタムシは、人間など動物では考えられない変節?を経て1年を終えるのですが、「それでは何故、トドノネオオワタムシは冬が間近に迫る秋口に集団で空中を舞うのでしょうか?
上述の⑩に「有性虫は交尾して、樹皮の割れ目などに産卵して息絶える」とありますが、彼らは種の保存のため、交尾をするために空中に舞い上がって出会いを求めるのです。

 

 

サツマイモ(その2) 収穫

サツマイモを育てるようになって5~6年が経つのですが、毎年、丸い大きなイモ、とぐろを巻いたような、グロテスクというか形状しがたい形のイモができ、スーパーで売っているような形のイモがあまり採れないのです。
原因は、園芸店でポット苗を購入して、それをそのまま植えるとそのようなイモができるようで、スーパーで売っているようなサツマイモを収穫するには、つる苗を植える必要があることを園芸図書で知りました。
それで、今年はポット苗を購入して、その苗からつる苗を育てることにしました。
つる苗はホームセンターに売っているのですが、そこにあるものはいつも葉が萎れていて、これで活着するのか?と思わせるような苗なので、自分で苗をつくることにし
たのです。 以下はその栽培記録です。
2023.4.27
4月27日にホーマックの園芸コーナーでポット苗を購入しました。 購入後直ぐに9cmポットから12cmポットに鉢上げしました。 写真の左が購入苗で、右が12cmポットに鉢上げ後のものです。 そのときに、つる苗を採るために葉先を切る摘心を行いました。 葉柄の基部から新芽を出させて、それを伸ばしてつる苗にするためです。 もし、つる苗の必要本数が2~3本なら摘心の必要はありません。それをするのは多くの苗を採るためです。

① 4月27日ポット苗購入・鉢上げ;12cmポットに鉢上げ、ピンチを行い、屋内(リビング)で管理。
② 5月14日鉢上げ;12cmポットから15cmポットに鉢上げ、(ポット内には白根が回っており、鉢替えの必要性を感じる)。 鉢上げ後、屋外(日中は陽の当るところ、夜は玄関下)で管理。
③ 5月27日 親株定植;4月27日に購入し、2回鉢上げ後に定植
④ 6月21日つる苗定植;4月27日に摘心してから2ヵ月弱で、葉の付け根から伸びた新芽が15~20cmに伸びた(つる苗になった)ので、それを切り、畑に植える。(切った苗を水揚げしたかどうか覚えていない)。
植え方;下図の水平植え

 お家で簡単にプランターでサツマイモを育てる方法(おいも美腸研究所HPより)
ホームセンターで売っているつる苗の長さは40cm?ほどあり、水平植えでも斜め植え(植付け前に箸のような細長い棒状のもので斜めに穴を空け、そこにつる苗を差し込む)でもできるのですが、自分がつくったつる苗は15~20cm弱程度の短い苗で、地面に埋められる葉は3枚と少なく、
葉先の部分が少し地面から顔を出す水平植え(船底植え)で行いました。 植え付け後にたっぷり水をやって、その上に不織布で覆いました。 理由は、直射日光を避けて、サツマイモの葉からの蒸散を抑えるためです。
④ 定植後以降の水やりは、6月下旬~7月上旬の雨が降らなくて畑土が乾いたときに、ビニールマルチの穴から地面に十分にしみこむように潅水。2023.7.18
左;親株を5月27日に定植し、定植後52日目の7月18日に撮影
右;つる苗を6月21日に定植し、定植後27日目の7月18日に撮影
2023.9.29
左;親株、定植後125日目の9月29日に撮影
右;つる苗。定植後100日目の9月29日に撮影
親株の方は、ブロック塀と通路の間に植えているので、広がるスペースが限られたこともあって、8月以降の成長はそれほどではありませんでした。 一方、つる苗は写真でも分るとおり、急激に葉の面積を拡げています。  2013.10.11
収穫;10月11日
左;つる苗4株 収量;5kg
右;親株2株  収量;3kg

〇 親株については、丸くて大きいグロテスクなイモが採れると予想していたのですが、意外にも比較的細めのイモが収穫できました。 理由は分かりませんが、2回鉢上げして大きい株を定植したことがが影響しているのでしょうか?

〇 今年の収穫量については、豊作なのか?それともそれなりなのか?判りませんが、例年に比べるとイモの形もよく豊作でした。 これだけあれば一冬楽しめそうです。 我家では、サツマイモを収穫後乾燥して(イモを洗ってはダメ)、新聞紙に1個づつ包み段ボール箱に入れて、無暖房の部屋(気温は10ー12~15℃くらい)に保管しています。 そうすると、翌春まで焼き芋で食べることができます。

〇 サツマイモにも害虫や病気がつき、特にイモの被害には要注意です。 しかし、ここ数年サツマイモを栽培していますが、葉はもちろんイモにも病虫害を受けたことがなく、現在のところ一度も農薬散布をしたことがありません。サツマイモは農薬要らずの作物のようです。

〇 サツマイモは過湿に弱く、イモが腐るなど病害が発生しやすいようです。 そのため、25~30cmの高畝栽培が必須なのですが、今回は親株は平らなところに、つる苗は25cm程の高畝で栽培しました。 両方ともにイモに異変は現れませんでした。 北海道は本州に比べると、梅雨はなく、台風のやってくる回数も少ないなど、本州に比べて絶対的に降水量が少ないので、そのような被害は比較的出にくいのでしょうか。 ただし、元々の地盤が低くて過湿になりやすい畑はサツマイモの栽培には向かないのです。

⇒ サツマイモ

 

キンモクセイ 百合が原公園

百合が原公園の温室にあるキンモクセイの花が咲いていました。 残念ながら、温室内には良い香りは漂っていませんでした。 近寄って嗅いでみると、微かにそれらしき香りがしたかな?っていう感じです。
2023.10.8
百合が原公園の温室には3本?のキンモクセイが植えられています。 大きさは1.5mくらいで、思いのほかこじんまりとしています。 本州では4mくらいがよく見る大きさで、大きいものでは10mになるようです。 当公園の方の話によると、
「10月1日に咲き始めて、3日~4日に香りがした。 今でも、朝と夕方には香りは(少し?)ある」とのこと。2023.10.8
パソコンでキンモクセイの開花について調べると、本州では開花期間は9月下旬~10月中旬の1週間程で、良い香りもそれと同じく極めて短い期間のようです。 温室に植えられている(冬場の温度設定は最低温度を5℃くらい?)百合が原公園のキンモクセイも本州と同じ時期に花を咲かせ、同じころに匂うようです。 しかし、香りの強さは本州に比べて格段に落ちるようですが・・・・・・。 2023.10.8
キンモクセイの花は、
花冠は深く4裂し、裂片は倒卵形で円頭、表面は凹み、質は厚い。 雄しべは2本、雌しべは1本、雌雄異株で、わが国にあるものは雄株であるため、子房は縮小していて結実しない。(牧野新日本植物図鑑)
サクラやニセアカシアなどの多くの樹木は、その年に伸びた枝に花芽をつけて、翌年その花芽が膨らんで開花するのですが、キンモクセイは、バラやムクゲと同じように
その年に伸びた枝に花芽をつけて、その年内に花を咲かせる、樹木の開花習性としてマイナーな部類に属します。 夏以降に開花する樹木がこれに当たります。

〇 キンモクセイの思い出
キンモクセイの香りで最も印象に残っているのは、学生のころ人通りの少なくなった夜道を自転車で走っていると、どこからともなく良い香りがしてきました。 辺りを見回しても夜なので暗くて探し出せないのか、屋敷の塀の奥に植えられていて見えないのか、それらしき樹木を見つけられず下宿に帰ったことがありました。 そのとき初めてキンモクセイの香りに遭遇?出会ったのですが、その香りの良さと辺りに拡がる香りの強さから直ぐにキンモクセイと判ったことを記憶しています。

〇 キンモクセイの香りについて
植物の花が香りを放つ理由・目的はいくつかあるようですが、最もよく知られているのが受粉のためにミツバチなどに近寄ってきてもらうためです。 ミツバチが最も活動の盛んなのはで朝のようで、隣家の主人が言っていたことがあります。
「数年前までは、サクランボの樹にミツバチがたくさんやって来て、ぶんぶんとうるさくて朝目が覚めるほどでした」と、
このようにミツバチの活動が盛んなのは朝なので、匂いを出す植物もおそらく朝ミツバチの行動に併せて最も強く香りを放つように思うのです。
ところが、キンモクセイの場合、パソコンで調べると夜であるとか、朝であるとか、百合が原公園の方は朝と夕方と言っていますし、自分自身も一番印象に残っているのは夜であったのです。 人の感覚はそれぞれ違い、実際に匂いを計る機器で調べたわけではないと思うので、実態は判らないというところなのでしょう。 でも、受粉という観点で考えれば、朝が一番香りを強く放つのが理に適っていると思うのですが、どうでしょう?

 

 

キクイモ(その4) 開花

2023.10.3
10月に入ってやっとキクイモの花が咲きました。 種芋を4月11日に植え付けているので、開花まで約6ヵ月弱を要しています。 草丈は2.5mくらいに伸長。 建物と建物の間に植えているので横風が強く流れ、倒伏するので簡易な支柱をしています。
2023.10.3
キクイモは名前のとおりキク科に属し、花の中央に橙色の頭花をつけ、周辺に黄色の舌状花をつけます。花の大きさは8cm程。 花弁の枚数は写真では10枚ですが、10数個つけるものもあります。 花の形状(花弁の長さや幅など)も違いがあるようです。  ⇒ キクイモ

2023.10.3 2023.10.3

⇒ キクイモ 種芋
⇒ キクイモ(その2) 種芋植付け
⇒ キクイモ 芽出し

キクイモの収穫は11月上旬と考えています。

イタヤカエデ 倒木伐採

9月29日(金)に樹木医会北海道支部の研修会が札幌市中央区の円山公園でありました。 研修内容は、当公園内にある大きな樹を観察・診断して、その樹に内在する危険性を見つけ、今後の対策を検討するという内容でした。 大きな樹木は年を重ねるにつれ、台風などの強風で太枝が折れるなどの危険性が高まり、それが原因で幹の腐朽が進んだり、樹木のバランスが崩れたりと倒木など様々な問題が発生して、公園の利用者に危害を加える可能性が出てきます。
樹木を数本診断した最後に、当公園の管理者から根元直径が1.4m×1.3mある大きなイタヤカエデの切株についての説明がありました。
2023.9.29
説明によると、
・このイタヤカエデは樹高が20m以上で、地際から高さ1.0m~1.5mの高さで6~7本くらいの太い枝に分かれている巨大な樹木であった。
・樹齢は200年くらいと推定している。
・太い樹木で根元周が大きく、きれいな断面で伐採できず、年輪が不明瞭になった。
・最初に樹幹の東側半分の3本が倒木して、その後残った部分が北東側に倒れた。
・倒木の原因は強風ではなく大雨であった。

説明では、強風ではなく、大雨で倒木したとのこと。 倒木後の画像をスマホで見せてもらいました。 概略図で示すと以下の通り。

このイタヤカエデは、地際から1.5m前後の高さで6本ほどの太い幹に分かれていたので、太幹の付け根の部分が入り皮であったり、亀裂が生じていたのでしょうか? 概略図のとおり、太い幹の付け根から雨水が染み込んで樹幹内部に腐朽が進行したのです。 腐朽した部分は、内材が黒褐色でボロボロになった状態。
通常、樹木は太枝が折れたり切断されても、切断された断面より内側に雨水の浸透や菌による内部腐朽を防ぐ防御層を形成するのですが、※入り皮や強風による太枝の付け根に亀裂が生じた場合、樹冠上部が大きいと風による太幹の揺れで容易に破断面の修復ができないのでしょう。 それが長年続くと樹幹内部で腐朽が進み、樹幹の重みに耐えきれず大雨でも倒壊してしまうようです。

※入り皮;分枝角度が25度より狭い幹と枝、あるいは双幹木ではしばしば又の部分に樹皮が挟まる “入り皮” 状態になっている。入り皮になると形成層が圧迫されて死ぬが、圧迫し合っている部分に抗菌性物質が蓄積されて腐朽菌などの侵入を防ぐ。そして材が連絡し合っている脇の部分が張り出すような膨らみができる。しかし、挟まった樹皮は “くさび” ような形をしており。強風などで大きな加重がかかると、わずかにつながっている両脇の材から裂け、幹の半分近くまで引き裂かれてしまう。さらに、入り皮部分は引き裂かれる前から微妙な亀裂が入っていることがあり、腐朽の侵入門戸となりやすい。 絵でわかる樹木の知識(堀 大才著)

以下の写真は、2013.03.06に当ブログで紹介した、今回倒木したイタヤカエデのその当時の姿です。
2011.10.9
写真中央よりやや左手に青っぽい公園照明のポールが見えます。 この高さは約7~8mなので、このイタヤカエデの高さ、樹幅、樹冠の大きさを想像してください。
2012.9.15
樹齢を重ねたイタヤカエデでは、写真のように根元で幾筋も縦に線(亀裂?)が入っている樹を見かけますが、このイタヤカエデも同様に線が入り、根元に樹木内部に大きな空洞があることを連想させる「うろ」や、縦に入った線の地際には腐朽を疑いたくなるような部分もあります。
このように、このイタヤカエデを含めて樹齢を重ねた巨木は、外観は元気なように見えても、太幹が集まった部分や地際には樹幹内部に腐朽した部分が存在(隠れて)していて、風や雨で倒壊する危険性を常時秘めているのです。

⇒ イタヤカエデ(その2)