小金湯さくらの森公園 サクラの新植とその後(その2)

毎年8月に当公園のサクラの簡易な樹木調査を行っているのですが、それを今月末に終えたところです。 今夏の1ヵ月以上続く異常な暑さにも関わらず、サクラ類は順調に生育しています。 当公園には約800本弱のサクラが植えられたのですが、その中でエゾヤマザクラやソメイヨシノの多くが1年間で幹周が5cm程太くなっています。成長の良いものでは10cmも太くなっているものもあります。
ので、当公園のサクラも2~3年後には花見客で賑わうくらい咲いてくれるのではないかと思っています。
2023.8.21
当公園のビジターセンターから公園南側を撮影。 写真中央にまっすぐ伸びる園路を分けて、エゾヤマザクラ、ソメイヨシノ、ヤエザクラ等が植えられている。

昨春、新植したサトザクラ(ヤエザクラ)のその後の成長

当公園の駐車場回りにサクラが少ないということで、昨春、駐車場の西側(定山渓側)にサトザクラを7本(7品種)植栽しました。

⇒ 小金湯さくらの森公園 サクラの新植とその後(その1) 

2023.8.20
上の写真は、今夏の樹木調査時に撮ったサトザクラ(品種;紅華)。
下の写真は、上と同じサクラを昨年夏に撮影。 2022.8.30
普通のサクラとは葉量 (葉数、葉の質;分厚さ、硬さ)が全然違います。手で触ると分厚くうごわごわしており、小さな虫では食いちぎれいないような硬さです。 今年伸びた枝;新梢の成長も著しく、1m以上伸びた枝もあります。 昨年は幹周が7cmだったのに対し、今年は13cm、1年で6cm太くなっています。樹高は昨年は1.5m前後が今夏はは50cm伸びて2mになっています。 他のサトザクラ品種も紅華ほどの成長はないものの、順調に育っています。 当公園の造成時(2013~2015年)に植えられたサトザクラの苗木の成長に比べると格段の差があります。それはそうです。 小さな植穴に冬を迎える直前に植えられた苗木と樹木にとって一番植栽に適した時期に土壌改良材をふんだんに入れた土で育った苗木とでは、その後の成長に大きな違いが出るのは当然です。

昨年の夏、このサトザクラを植えた金田樹木医が言っていた、
「3年で幹周15~20cm、高さ3mにはなるよ」
の言葉は実現しそうです。 1年で6cm幹周が太くなるということは、
今夏13cm + 来夏6cm =19cm
3年で幹周が20cm近く若しくはそれ以上になりそうです。
今後の成長が楽しみです。

 

 

小金湯さくらの森公園 さくら開花(その1)

2023.5.3
5月3日に小金湯さくらの森公園に行ってきました。
ソメイヨシノは満開に近いですが、エゾヤマザクラは開花している樹もあればつぼみのものもあります。 それでも今がちょうど見頃のようです。 エゾヤマザクラはソメイヨシノより1週間くらい遅れて咲くようです。

※ 2016.5.6のブログ「エゾヤマザクラとソメイヨシノ」(場所;札幌市中央区中島公園)で、園路の片側にエゾヤマザクラ、もう一方の片側にソメイヨシノが列植されているのですが、そこではエゾヤマザクラがソメイヨシノより数日~1週間早いと記しています。小金湯さくらの森とは逆です。上述の「エゾヤマザクラはソメイヨシノより1週間くらい遅れて咲くようです。」は私の勘違いで、その逆のようです。 小金湯の エゾヤマザクラとソメイヨシノの開花時期の逆転は理解に苦しむところです。
2023.5.5

⇒  エゾヤマザクラとソメイヨシノ 

当公園の奥に植えられているサトザクラの開花はもう少し先、5月中旬頃でしょうか?
遠くの山々は冬の装いを残していますが、当公園に隣接する山裾の樹木は薄っすらと黄緑色を帯びています。 小金湯さくらの森公園にもやっと春がやってきました。 2023.5,3
※札幌管区気象台は今春のサクラの開花日を4月15日と発表しました。 これは平年より16日も早く、今から70年前の1953年の観測以来最も早い開花だそうです。確かに今年の3月は暖かく雪解けも早かったです。 小金湯さくらの森公園の開花始め(ソメイヨシノ)はおそらく4月下旬と推測しますが、札幌の中心部に比べると2週間前後遅いようです。
※札幌管区気象台の観察木(標準木)はソメイヨシノ
2023.5.3
公園中央にある園路沿いのエゾヤマザクラ。
当公園のサクラは植栽後10年前後になるのですが、エゾヤマザクラにはまだ花が咲かない、花芽を持っていない樹もあるので、花見を楽しむにはにはもう少し?なのですが、年々良くなってきています。 あと3~4年もするとサクラの樹も大きくなり花見客の集まる公園になると思います。2023.5.3 満開を迎えたソメイヨシノ。

2023.5.3 当公園東側園路沿いに列植されているエゾヤマザクラ。

 

 

小金湯さくらの森公園 割竹縦穴式土壌改良法

2022.8.29
写真のエゾヤマザクラは、平成29年(2017年)に、小金湯さくらの森公園のシンボルとして、ビジターセンター(写真左側に移っている建物)南側芝生広場に植えられました。
植栽時(2017年)の樹木の大きさは、
高さ(H)=6.0m、葉張り(W)=2.0m、幹周(C)=0.47m でした。
現在(2022年)は、
高さ(H)=6.3m、葉張り(W)=3.9m、幹周(C)=0.54m です。
植栽後5年を経過して葉張りは2倍近く横に伸びていますが、高さは植栽時とほとんど変わりません。幹周も植栽時から7cm太くなっていますが、平均すると1年で1.4cmで、この数値では順調に育っているとはとても言えません。
昨秋、落葉を根元に敷き詰めたのですが、これが効果的だったようで、以前に比べて葉色は濃くなり、1枚1枚の葉の大きさも2培近くになったようで、手で触ると葉の厚みも感じます。
このように今年は少し元気になったようですが、それ以前は、葉色は薄く葉は小さく葉と葉の間に隙間ができる、元気がない、樹に勢いがない状態でした。
それで、グリーンコンサルタント緑の研究所 金田樹木医の提案により、このエゾヤマザクラの樹勢の回復tと成長を促すために「割竹縦穴式土壌改良法」を行うことになったのです。

この工法を簡単に説明すると、
① 直径5cm前後の 竹を50cm~1mの長さに切り、それを二つに割って中の節をとる、
② 次に、手当てする樹木の回りに深さ50cm程の穴をあける。 場所は細根が多くある位置で、枝先の直下 当たり。
③ 穴をあけたところに、二つに割った竹を差し込み固定する。
④ その周りに肥料分の入った土壌改良材を充填する。
作業自体は至って簡単です。

金田樹木医の話によると、処置後1年も経過すると、差し込んだ竹の周りには根がたくさんまとわりついているのだそうです。
植物の生育に欠かせないのは、先ず第一に適度な水と空気(酸素)です。 その次に適度な肥料。 畑の作物と同じで、畑を起こし土を柔らかくして(土の中に空気を入れる)、作物を生長させるのです。 これと同じです。
2022.8.29
細根があると思われる位置(枝先直下)にアースオーガで直径10cm、深さ約50
cmの孔をあける。
2022.8.29
そこに準備して置いた割竹を差し込み固定する。
2022.8.29
割竹を固定して、地上部に突き出てていた部分の割竹を切断 2022.8.29
その周りに肥料分の入った土壌改良材を充てん。 2022.8.29
今回はこのエゾヤマザクラに4か所に処置。
2022,8.29
処置完了。 この工法の「みそ」は土中深くまで空気を入れてやることです。
金田氏の話によると、竹に穴をあけるとより効果は高いとのこと。

以下は、国土防災技術株式会社のHPからの抜粋です。
上述の会社が日高町の二十間道路桜並木で、金田樹木医の指導の下でサクラの樹勢回復のために割竹縦穴式土壌改良法を施工したときの説明文です

樹木の根は、水のほか、酸素も必要です。このため、通気透水性の向上と施肥を兼ねた改良法を試みました。割竹は松前町の孟宗竹の間伐材を約1mに玉切りしたもので、竹の節を取ってパイプ状としたものを使用しています。
・対象となる桜1本につき、細根が多く分布する外側環状に8か所をアースオーガで1m掘削し、割竹を立て込みます。
・下水汚泥等を原料とした堆肥「ハイブリット」(㈱白滝有機産業(岡山市))を主体に、木質チップを特殊解繊処理して陽イオン交換容量を高め、「フジミン」を添加した土壌改良剤「DWファイバー」(製造元:大建工業㈱)、稚内珪藻頁岩粉砕物、混合土(金田樹木医が4種類のもの(鹿沼土、ピートモス、もみ殻燻炭、パーライト)をブレンドして使用しているもの)、これらを一定の割合で混合したもの(以下「混合ハイブリット」という。)を割竹の周囲に充填しました。

金田樹木医の話によると、上述の施工材料と小金湯さくらの森のものとは全く同じとのことです。
このエゾヤマザクラの来年以降の成長が楽しみです。

 

 

 

小金湯さくらの森公園 サクラの新植とその後 

2022.5.17
今春の5月17日に、小金湯さくらの森公園駐車場西側に当公園の指定管理者である横浜植木㈱とグリーンコンサルタント緑の総合研究所の金田樹木医によって、サトザクラ7本が新たに植付けられました。

サトザクラの品種は以下のとおり
・大漁桜(タイリョウザクラ)
・楊貴妃(ヨウキヒ)
・アーコレード
・紅華(コウカ)
・舞姫(マイヒメ)
・一葉(イチヨウ)
・神代曙(ジンダイアケボノ)

植栽時の苗の大きさは1m強〜1.5mくらいで、ホーマックなどの園芸店で売っている庭木や果樹の苗木と同じ大きさです。
この植栽で目を見張るのは、植穴の大きさです。直径が約2mで、地面下を約30cm掘っています。地上部の植鉢高は20〜30cmほどあります。 札幌市の造園工事仕様書では、樹木を植栽するときの植穴の大きさは、幹周が10cm未満の高木で、植穴径が69cm、植穴深さが37cmとなっています。
ので、今回ここで造られた植穴に投入された土壌改良剤の量は大まかに約1㎥で、公共工事の高木で幹周10cm未満の客土量は、0.075㎥ですので、今回の植栽では通常の植え方に比べ、 約13倍の客土(壌改良材)を入れていることになります。 それも、今回の客土は、火山礫や赤玉土、パーライト、腐葉土など通常鉢花に使う材料を投入しているのです。

2022.5.17
これは今春5月17日に植えた苗木。 品種は紅華(コウカ)
2022.8.31
8月29日に撮ったサトザクラ(品種;紅華)
高さは1.8m、葉張は約1.5m、幹周は7cmでした。
5月末に植えた頃に比べると、葉量はグンと増えて、今シーズン新梢の伸びは40~50cmに達しています。
2022.8.31
写真は、サトザクラ(品種;紅華)の新梢。 枝先の新葉が赤味を帯びています。 これはまだ成長していることを意味します。
通常、南区の豊平川沿いの山肌は、7月や8月お盆までの濃緑の葉色から、9月上旬になると緑が色あせてきて、強いて言うなら少し灰色を帯びる感じなります。 これは、樹木が葉緑素を分解して窒素などの養分を樹体に戻す作業を始めたことを意味します。冬への備えと来春の芽出しの準備のためです。 なので、小金湯さくらの森公園のサクラを含めてこの辺りの樹木は新梢を伸ばすのは8月中旬までです。
ところが、写真を見ると、枝先の新葉が赤味を帯びています。 これは、この樹がまだ成長していることを示しています。
おそらく、土壌条件が非常に良いため、根が盛んに伸び(水分と養分を吸収している)て、それに伴いこの時期でも新梢が伸び続けたようです。

金田樹木医曰く、
「3年で幹周15~20cm、高さ3mにはなるよ」
当公園で7~8年前に植えられた成長の悪いサトザクラを見ているので、そう簡単には信じられないのですが、当公園に植えられたエゾヤマザクラでも成長の良いものは、1年で幹周が7~8cm伸びるので、金田樹木医の経験に基づく予想はあながち誇張した表現でもなさそうです。
来年以降の成長が楽しみです。

 

 

小金湯さくらの森 サトザクラの自根発生促進処理

7月25日(月)に、小金湯さくらの森公園で、サトザクラに自根発生促進処理を行ってきました。

この公園には今春、開花時期に2度来ているのですが、それ以来です。 今年は昨年に比べて雨も多く降っているので、サクラは順調に生育しているようです。 特にビジターセンター正面左右に植えられている大きなサクラは、昨秋根元に堆肥を施してもらったことで、今夏は枝葉が大きく伸び、葉色も濃くなっています。 植物は正直です。すぐ反応してくれるというか、管理をしている方の気持ちに素直に応えてくれているようです。

前置きが長くなりました。 話をサトザクラの自根発生促進処理に戻します。 この処理(作業)は、今春、「小金湯さくらの森公園の現状と課題」という報告書を当公園の管理者に提出したのですが、その中で、サトザクラについて言及しています。 以下は報告書の一部抜粋引用

(1)接木苗(挿し木と実生の違い)

台木による植え方の違い(日本花の会HPより)

写真1 当園のサトザクラ(ヤエザクラ)の地際

当園に植えられたサトザクラ品種は、アオハダザクラの挿し木を台木にした接ぎ木苗が使用されている。挿し木接木苗は実生台木苗に比べるとその後の成長が遅いために、穂木の自根を出させる目的で接ぎ木部分を土中に埋める。しかし深植えになる恐れがあるため、植栽時には接ぎ木部分を少し土で盛って被うなどの工夫・技術が必要となる。 ところが、当園に植栽されたサトザクラの地際(写真1)を見ると、ほとんどの台木が地上部に出ている状態である。このことは、サトザクラを順調に生育させるには不適切な植え方で、これがサトザクラの生育不良の一因と考えている。

(2)サトザクラ類接ぎ木株の自根発生の方法について

当園のサトザクラ類の成長が極めて悪い原因は、その植え方と根頭がんしゅ病の発生が大きな要因と考えている。後者の根頭がんしゅ病については後述するが、前者の植え方については、花木のボタンを例にとると、園芸店で販売されているボタンのほとんどはシャクヤクを台木に接ぎ木したものである。シャクヤク台木は数年もすると枯れる場合や、自根が出ていないものは十数年で枯れると言われている。そのため自根を出させるために5~10cm程穂木を地中に埋めるのが通常のようである。上述の日本のさくらの会HPの植え方(図1)と、このボタンの植え方を参考に、来春、試験的に穂木自根の発生伸長を促す処置を行ってみては?と考える。具体的には、地上部の出ている挿し木台木部分に直径60cm程の円錐形の盛り土をして、穂木部分を5~10cm埋めて自根の発生伸長を促す方法である。降雨で盛り土が流され台木が露出する可能性が高いので、根の発根伸長には少々不適格であるが、粘土質系の土壌を用いてはどうかと考えている。

ということで、成長の悪いサトザクラの根元に土を盛って穂木(挿し木台木からではない)から自根を出させるための処理(作業)を行ったのです。 2022.7.29
根元周りに土が盛られていますが、これは7月上旬に施された堆肥(動物ふんにおがくず等を混ぜたもの)で、サトザクラの成長を促すためのものです。2022.7.25
根元に盛った堆肥を一旦直径40~60cmの大きさで外側に広げて、挿し木台木を地表に出します。 写真では根元の丸く膨らんだ部分。
2022.7.25
写真は、挿し木台木(根元の膨らんだ部分)の樹肌表面に現れた根頭がんしゅ病と思われるブツブツを除去しているところ。 上の写真1参照2022.7.25
挿し木台木部分の表面をナイフなどで削り取り、それと併せて穂木の一部も削りとります(その部分から自根を出させる) その処理後に、トップジンMペースト(殺菌剤)を塗布。
2022.7.25
塗布したトップジンMペーストは30分程で 乾くので、その後に穂木5cm程度を被せるように赤玉土と土壌改良材を半々にませたものを入れて埋め戻します。 写真のように、台形状の盛り土の外側が堆肥で内側の根元部分に赤玉土と土壌改良材を半々にませた土が入っています。
おそらく、1ヵ月(8月下旬)もすると発根してくると思っています。
サトザクラの来年の成長が楽しみです。

<余談 寄生バチ>
2022.7.25
写真の黄色い葉の上にいるケムシはマイマイガ?の幼虫です。 動かないので死んでいるようです。 その周りに白い卵のよなものが十数個付着しています。
これはコマユバチのさなぎのようです。

コマユバチの成虫がマイマイガ?の体に卵を産んで、その卵は幼虫になり、マイマイガの体内を食い荒らしながら生長して、その時期になると体外に出て、マユをつくりサナギになります。それが写真の白い細長いものです。上の写真は、コマユバチの幼虫がマイマイガ?から脱出して白い眉をつくったところなのでしょう。
話はこれで終わらないのです。
パソコンで調べると、その体外から脱出したばかりのコマユバチの幼虫は外敵には無防備なのでその幼虫の傍に身を寄せて守ってもらうのだそうです(マイマイガの幼虫はコマユバチの幼虫を守っていると思っているかどうかわかりません)。おそらく、コマユバチが体外に脱出するころにはマイマイガ?の幼虫は体内を食い荒らされて瀕死の状態なのでしょう。 その傍でコマユバチの幼虫は眉をつくるのです。
⇒ エゾシロチョウ  ボケ