クズ:ところ変われば品変わる

濃い赤紫のクズ(葛)の花が咲く季節です。クズはマメ科に属し、日本原産のつる性の植物です。
058 クズ 真駒内川沿い2012.8.11
クズの葉は大きく10~15㎝あります。3出複葉、ひし形をしています。写真のように、部分的にへこむ葉も出てきます。
018 クズ2012.7.21
クズのイメージは、、現在はあまり食べなくなりましたが、葛餅、クズ切りを思い出します。これは、葛の根に含まれるでんぷんからつくられています。クズの根の太いものはふとももくらいあるそうです。
また、風邪の引き初めに、解熱剤として漢方薬の葛根湯を服用した方も多いと思います。
さらに、秋の七草の一つです。春の七草は切り刻んだものを粥の中に入れて食べますが、秋の七草は花を愛でるためのものです。
日本では昔からクズ(葛)を食用や鑑賞の対象として利用しており、悪いイメージは全くないのです。
しかし、
002 クズ 花園橋から上流側2011.9.11
これは、真駒内川の河川敷を覆っているクズです。
063.jpg2012.7.21
真駒内の緑地帯(定鉄跡地)で、樹木に覆いかぶさったクズです。
真駒内川や豊平川の河川敷きなどで這っているクズ、藻南公園の林縁部で10m近くある樹木に覆いかぶさったクズを見かけます。それも、樹木の葉が茂りだす6月ではなく、気づくのが7月も中旬以降になってからで、8月に入ってから、その成長の早さ、繁殖力の強さに気づくのです。 クズの成長パターンは他の植物と少し違うようです。
昔は、クズのつるをかごなどの生活用品として、葉は農耕馬や牛の飼料として、根は今でも漢方薬や食料として利用されており、人間の生活に密着した植物であり、あったのです。しかし、人間の生活様式が変わり、そのような利用がなくなると、その繁殖力は迷惑なものとなってきています。
特に、郊外の住宅地の近くで繁茂すると、樹木や電柱等の施設に絡まって鬱蒼とした森(ジャングル?)のようになり、近隣住民からの苦情の原因となります。クズの繁殖力は、現在では迷惑以上なものとなっています。
クズは、日本から19世紀後半、北アメリカに飼料作物および庭園の材料として移出されました。さらに緑化・土壌浸食防止用として利用されましたが、原産地の日本より生育が適していたたためか、ものすごい勢いで繁殖拡大しています。ニセアカシアが北アメリカから日本に治山用として移入され、それが、現在、日本の河川流域の生態系を乱しているのと同じ構図です。
下の写真は、アメリカ南部で起きていることです。家がクズに飲み込まれれていく様子を、春夏秋冬を通して撮ったものです。右下の写真 Early Fallは、自然がつくった芸術作品のようです。
4seasons.jpg
Kudzu Covered Housesより
現在、世界自然保護連合(IUCN)から「世界の侵略的外来種ワースト100」が発表されていますが、その中に、日本原産のクズが入っているそうです。
ちなみに、日本生態学界が発表している「日本の侵略的外来種ワースト100」の中に、ニセアカシアが入っています。

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