ツルアジサイ(その3)

  先週の日曜日(10月19日)に、西岡公園へ紅葉を見に行ってきました。 最盛期は少し過ぎていましたが、園内を散策していると、どこからともなく吹いてくる風に乗って、黄色い葉がひらひらさらさらと舞い落ちてきます。 近くで“かさっ”という音がします。その音の在り処に目を向けると、大きなホオノキの葉が降り積もった落ち葉の上に落ちています。 その上を見上げると、ホオノキ独特の色をした褐葉が枝に垂れ下がっています。
1-033 西岡公園20114.10.19
西岡公園 :  札幌中心部から車で南に30分ほど、距離にすると約10km、羊ヶ丘展望台の南西の丘陵地に位置し、西岡水源池と呼ばれる貯水池を中心に月寒川、その上流域に拡がる湿原と森の公園です。 水源池は、明治期に旧陸軍の水道施設として月寒川を堰き止めて造られたもので、その後に札幌市が引き継いで公園として整備されました。 園内の整備は、入口付近を除けば必要最小限にとどめられています。 水と緑に恵まれた環境には多様な動植物が生息していて、バードウォッチングや自然観察には、うってつけの自然豊かな公園です。  面積:約40ha
1-024 西岡公園2014.10.19
湖水(水源池)周りの散策路に、 シナノキ、イタヤカエデ、ホオノキ、オニグルミ、シラカバ、ハルニレ、オヒョウなどなど、この地域に多く生えている黄葉する樹が続きます。
1-029 西岡公園2014.10.19
黄葉する樹が多い中で、白く紅葉する葉?を見つけました。 樹にまとわりついています。 ツルアジサイのようです。
写真の青く部分は空ではなく湖面です。
1-023 ツルアアジサイ2014.10.19
1-010 ツルアジサイ2011.10.29
南区常盤
紅葉は、秋口になると葉の緑色の元であるクロロフィル(葉緑素)が分解されて、葉から緑色が消えます。 その一方で、葉内にあるデンプンから赤色の色素であるアントシアニンがつくられます。 黄葉は、葉緑素が分解されて緑色が消えると、元々葉内にあったカロチン(黄色の色素)が目立つようになります。
それでは、白葉はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか? インターネットのウェブサイトでは、白葉も原理は黄葉と同じで、「クロロフィルが分解されてカロチンの黄色が出現するが、白葉する樹は葉内のカロチンの量が少ないので白く見える」という記述を読んだことがあります。  また、日本植物生理学会の“みんなの広場”では、以下のように説明しています。
〇 質問
一般的植物の紅葉は、赤~黄色、茶色なのに対して、 なぜ、コシアブラの紅葉は白い色になるんでしょうか。 回答よろしくお願い致します。
〇 回答:
みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を東京大学日光植物園の舘野正樹先生にお願い致しました所、以下のような回答をお寄せ下さいました。舘野先生のご回答によりますと、コシアブラの白もみじの原因はコシアブラの葉が黄色い色素を作らないからのようです。    勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
舘野先生のご回答
多くの場合、黄葉の黄色い色は葉緑体に含まれるカロチノイドの色ではないようです。以前日光で卒業研究をしていた学生さんが色づいた葉を切って見ましたが、黄葉でも柵状組織にオレンジ色から黄色の色素を新たに作っているということでした。紅葉はアントシアニンを作っていますが、黄葉も似たような色素を作るみたいですね。
コシアブラの白色ですが、これは実は若干黄色がかっていることが多く、おそらくカロチノイドの色ではないかと思います。たとえば、冷蔵庫に入れて放置していた小松菜などはコシアブラと同じような色になってしまいます。なぜコシアブラが黄色い色素をつくらないのかということについては、その意味をうまく説明できません。申し訳ありません。ただ、日陰にある葉の中にはコシアブラのような色になるものが多いようです。   舘野 正樹(東京大学日光植物園)
ということです。 一つ、この回答で面白いのは、「黄葉の元であると思っていたカロチン(カロチノイド)はそうではなく、紅葉のメカニズムと同じように、葉内で黄色の色素が新しくつくられている」 ということもあることです。
また、上述の回答で、「日陰にある葉の中にはコシアブラのような色になるものが多いようです。」とありますが、確かに私の少ない体験でも道路沿いからや近くの自然林の中を歩くと、大樹の下に生えている陽を受けにくいと思われる中低木に白っぽい葉をつけているものが多いようです。
ちなみに、カロチン(カロチノイド)は、「葉緑素の補助的役割(太陽の光エネルギーを吸収する)をする」というふうに憶えていたのですが、現在では、その働きは、太陽光線が強いときに、植物が光エネルギーを吸収しすぎると活性酸素が出来て、これが光合成を阻害するそうで、カロチノイドの働きはそれを分解する役割だと考えれているようです。
“活性酸素”と言えば、人間の老化やガンの発生の原因物質といわれていますが、それは、植物にも動物(人間)にも同じように悪さ(作用)をします。しかし、植物はそれを自分で作れますが、人間に出来ないので、野菜を食べるしかないのです。 「体にいいから野菜を食べなさい」 といわれるのは、このことのようです 。

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ツルアジサイ(その2):冬芽

RIMG0008(赤字)2012.12.21
冬芽は対生して、紡錘形ないし長卵形で、先がとがり、短柄をもち、暗褐色ないし淡い赤紫色をし、無毛で、、4枚の葉柄起源の芽鱗につつまれる(2枚の芽鱗につつまれているように見える)。頂芽は大きく、長さ10mm~15mmある。小枝は、暗紫褐色ないし灰褐色で、樹皮が紙のようにはがれる。(落葉広葉樹図譜)
RIMG0013(赤字)2012.12.21
気根は、接触側に縦1列に生じる。(落葉広葉樹図譜)
012 同左(赤字)2011.2.6
写真でわかるように、太いつるになると、気根は樹と接触する側、その反対側と、つる全体から出てくるようです。
014 ツルアジサイ 花殻 (赤字)2011.2.6
ツルアジサイが大木の幹にからみついてよじ登っていく様子がよくわかります。中央に何かぶら下がっているように見えるのは、昨年咲いた花の実殻です。
〇 Data
・科名 ユキノシタ科
・属名 アジサイ属
・学名 Hydrangea petiolaris(ヒドランゲア ペティオラリス)
・花期 6月下旬~8月下旬
・分布 北海道、本州、四国、九州、南千島、サハリン、朝鮮半島南部

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ツルアジサイ

先週日曜日(6月30日)、北大植物園に行ってきました。園内のツツジ類の花は既に終わり、ライラックの遅咲き種も最盛期を過ぎて樹木類の花も大体咲き終わったようです。宿根草類も花が咲き始めるにはも少し間がありそうです。バラ園のバラもチラホラ咲いていますが、最盛期を迎えるには後2週間ほど先のようです。この時期の植物園は花を観る時期としてはちょうどは端境期になるのでしょうか。その中で、ヤマボウシが白い花を樹冠一杯に咲かせていました。今日取り上げるのはこのヤマボウシではありません。もう一つ、白い花が咲いていました。
1-RIMG0152 ツルマサキ(赤字)2011.6.26
ツルアジサイです。ツルアジサイを写真で撮るといまいちというか、実際に見たイメージで後から写真を観ると、その差が大きいと言うか、ピリッとこない写真になってしまうことが多いのです。今回もそうだったので、とりあえず数少ない中でも比較的ましな写真(同じ樹)を載せています。
1-022 ツルアジサイ(赤字)2013.6.30
これは、樹の根元に行って真下から見上げて撮っています。太陽に映えて白く透きとおっているように見えるのがツルアジサイの花です。
ツルアジサイは、この時期に郊外の道路を走ると、樹木の幹枝に絡みついて花咲かせているのをときたま見かけます。
1-074 ツルアジサイ2012.7.15
確実にツルアジサイを観るには、羊ヶ丘にある北海道農業研究センター(旧北海道農業試験場)が一番ではないでしょうか。カラマツの並木が有名なこの研究センターは、並木のほかに樹高が30m前後もありそうなカラマツの樹林が拡がっています。それらのカラマツにツルアジサイがはるか上の方の幹枝まで絡み付いていて、一種独特の景観(雰囲気)をつくり出しています。
1-014 ツルアジサイ(赤字)2013.6.13
この写真のように、玄関前にアーチ状のツルアジサイを仕立てようとしているものもあります。むさ苦しくならないように手入れするのは、それなりの苦労と努力が必要なようです。
1-180(赤字)2012.4.30
4月下旬~5月上旬に芽吹きます。
1-070 ツルアジサイ(赤字)2012.5.6
1-015 ツルアジサイ(赤字)2012.6.19
中央にたくさんあるつぶつぶは雄しべと雌しべのある両性花です。この外側に装飾花をつけます。
1-061 ツルアジサイ(赤字)2012.6.24
両性花の長い雄しべが目立ちます。
〇 ツルアジサイとイワガラミ
この両種は、ツル性で、同じような葉形をしていて、同じように白い花を同じ時期に咲かせる似たもの同士です(両者は同じユキノシタ科であるが属は違う)。しかし、違いはあります。一番わかりやすいのは、両種の装飾花です。イワガワミのそれは1枚しかないのに対して、ツルアジサイは4枚あります。葉もよく観察すると、イワガラミの鋸歯は粗く、ツルアジサイはそれに比べて細かいようです。花の咲く時期についても、ツルアジサイは6月中旬から見かけますが、イワガラミの咲く時期は7月に入ってからのようで、咲く時期は少し遅れるように思います。しかし、これについてはイワガワミに出会う機会が少ないのでなんとも言えないところがありますが・・・。

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