フジ  冬芽


2012.12.7
短枝についた冬芽
花芽と葉芽は同形、仮頂芽は長さ5~8mmの長い卵形。 芽鱗は2〜3個で、紫褐色を帯びる。(樹に咲く花)
冬芽は互生し、卵形または長卵形で先端はとがり、2~3枚の芽鱗につつまれる。冬芽は長枝の先端に向かって小さくなる。 短枝につく仮頂芽は側芽より大きく、長さは8~12mm。(冬芽でわかる落葉樹)
水滴形で偏平。 見える芽鱗は2〜3枚。 冬芽の基部は膨らむ。 花芽と葉芽は同型。(冬芽ハンドブック)


2014.3.29
夏季に伸びた長枝は剪定され、見える枝のほとんどが短枝。
短枝につく冬芽について、「冬芽のわかる落葉樹」では “ 短枝につく仮頂芽は側芽より大きく” とあるが、「樹に咲く花」と「冬芽ハンドブック」では “花芽と葉芽は同型 ” と記載している。 上の写真で、長枝が剪定されて残った短枝につく冬芽を見ると、仮頂芽と側芽は同じような形、大きさに見える。


2012.4.21
長枝についた冬芽
冬芽は※伏生し、長卵形で、先がとがり、扁平し、長さ5~7mmある。 芽鱗は暗赤褐色をし、無毛で2~3枚が重なる。(落葉広葉樹図譜)
写真の冬芽は、撮影時期が4月下旬なので、冬芽が膨らみ始め芽鱗が割れて、中の葉?
の白い綿毛が見える。
※伏生:冬芽が枝に沿ってつくこと、反対に、枝に対して立ち上がるようにつくのを開出(かいしゅつ)という。
冬芽の基部に丸くて白いものが見えるが、これは葉痕。

 フジ  立木仕立て
 フジ:北海道で一番古いフジ

 

フジ  立木仕立て

今、公園や個人の庭でヤマツツジの赤橙色が目を引きます。 それとちょうど同じこの時期にフジが満開を迎えています。
2020.5.25
写真は立木仕立てのフジ。
写真を撮ろうしたときに、この庭の所有者、70才半ばくらいと思われるご主人が車で帰宅したところだったので、このフジについて尋ねてみました。
「木立仕立てで、きれいに咲いていますね。」
「2年も剪定しないと、つるが暴れてもさもさになるのでね」
と答えてくれました。続けて、
「昔はフジが咲くのは6月に入ってからだったのに、今は5月に咲くようになった。」
「根元の幹を見ると、この樹は古そうですね、どれくらい経つのですか?」
「私の前に住んでいた人のときにはこの樹はあったそうなので、おそらく100年は経つのではないか」
と話してくれました。
2020.5.25
根元の樹肌はゴツゴツとしていて古そうに見えるのですが、幹径は100年は経つという割にそれほど太くありません。 幹の断面は縦長の楕円形、長い方で20cmくらいです。 おそらく、この樹姿(樹高約3.0ⅿ)を維持するために毎年剪定されるので、幹も太れないのでしょう。
2014.6.2
写真は、平岡樹芸センターのフジ。 樹高は7~8ⅿ

フジ:北海道で一番古いフジ

<余談>
札幌市内の公園等公共施設で多くの藤棚を見かけます。 しかし、まともに花が咲いているものはあまり、ほとんど見かけません。 理由は剪定をしていないからです。 上述のご主人が言っているように、毎年剪定をしないと藤棚は藪のようになって、花は全然咲かないのです。
フジは成長が旺盛で、ツルを剪定しないで放置すると栄養成長を優先し花芽が出来にくくなります。 さらに藤棚のツルが混んでくると内部に陽が当たらなくなり、それが原因で花芽が出来なくなるのです。 フジの花をとりあえず咲かせるには、雑誌に紹介されるような見栄えのするものでなくてもとりあえず花を咲かせるには、毎年の剪定は必須なのです。

 

 

 

フジ(その3)

フジの花も色あせて終りに近づいてきましたが、面白いフジを見つけました。
Exif_JPEG_PICTURE 2016.6.1
普段見かけるフジは、立派な鉄骨の支柱でできた大きな藤棚や数㎡の小さなものまで、棚をつくって、それに垂れるように咲かせるものです。 たまに、大きな枯れ木にフジを這わせて、ツリー状のフジも見ることもあります。
今回のフジは、玄関前のフェンスに長く這わせて、生垣状にしています。 建物の敷地が道路より1.5mくらい高いので、玄関へ通じる階段の両脇とガレージの屋根の上のフェンスにフジを這わせています。
フジの花をきれいに咲かせるには毎年の剪定が欠かせないのですが、これだけ見事に出来るのは、ここのご主人はその技術と、おそらくきっと、花をきれいに咲かせたいという情熱を持っていらっしゃる方なのでしょう。

Exif_JPEG_PICTURE 2016.6.1
札幌市内の公園には藤棚をよく見かけますが、その下に入ると、フジのツルで上空が見えないくらい込み合って団子状になってしまっていて、花は咲いていないか、咲いていても見栄えのしないものが多いようです。 毎年の必要とされる剪定が出来ないためです。

 

 

フジ(その2)

1-036 フジ2013.6.12
前回(6月12日)の冒頭に紹介したフジです。つい先日まで満開だったフジがこの状態です。何があったのでしょうか?(満開のフジは下に)

満開のフジをもう一度見ようと立ち寄ったのです。
「えっえっ!! どうしたの? 花が、フジの花がなくなっている。」と思ってしばらく眺めていると、
「なんだよ」と突然垣根越しに男性の声がします。おそらく、家の方をジロジロ眺めている私を不審者と思ったのでしょう。一瞬、その男性がどこに居るのかわからなかったのですが、ブドウ棚の下で摘み取ったフジの花を整理しているようなのです。その男性は70歳前後のぶっきらぼうで愛想のない話し方をする方で、声をかけづらかったのですが、思い切って、「なぜ花を摘んだのか? あのようにきれいにフジを咲かせるには、どのような手入れをしているのか?」を尋ねてみたのです。すると、ものの言い方は相変わらずぶっきらぼうなのですが、うれしそうに?フジの手入れについて話をしてくれました。
その男性曰く、
「花を摘み取るのは、長く付けておくと株が弱るから。夏になると蔓が長く伸びるので、それらを1m前後で切る。時期は9月(おおらく9月上旬と思われる)。その理由は、藤棚がもさもさになってみっともないから。そして、秋(花芽が確認できる)に1m残した蔓を枝の基部から15cm残して剪定する(花芽は枝から出た蔓の基部につく)」
とのことです。肥料については聞き忘れたのですが、このお宅は藤棚の前にブドウ棚があるので、おそらく毎年、ブドウと一緒にそれなりに肥料は施されていると思います。
藤棚一杯に花が咲くのは、きめ細やかな手入れが施されいるからです。しかし、当方からすると、最盛期の花を摘みとらなくてもいいのではないか、花が終わってからでも遅くはないのではないか、もったいないのではないか、付け加えて、わざわざ2回も剪定する必要はあるのか、1回で十分ではないか、そのほうがフジにとっても、花芽を付けさせためにもいいのではないか と思ってしまします。しかし、その愛想がなくてぶっきらぼうな男性は、「もさもさしてみっともない」、「そんなみっともないことはできない、いつもきれいに見せたい」と思っているのでしょう。おそらく、その気持ちが大事なんでしょうね。きっと、その気持ちがフジに伝わって、フジは毎年藤棚一杯に花を咲かせるのでしょうね。

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フジ:北海道で一番古いフジ

 今、街中を歩くと、個人の庭にはレンゲツツジやリュウキュウツツジなどのツツジ類、花色の豊富なシャクナゲ類、ボタン、クレマチス、ライラックなどが、公園では、ナナカマド、アズキナシ、サンザシ、ズミ、エゾノコリンゴなどいろんな花が咲き誇っています。その中にフジがあります。
1-R0010512(akaji).jpg2013.6.7
これがタイトルの北海道で一番古いフジではありません。たまたま、偶然に見つけた個人の庭にあったフジです。
常日頃からきめ細やかな手入れがなされているのでしょう。なかなか見事なフジです。毎年剪定しないと藤棚はぼうぼうになって花は咲かなくなってしまします。ここのお宅には園芸好きの方がいらっしゃるのでしょう、フジの手前にあるのはブドウのようです。
1-011 フジ(akaji)2013.6.8
藤棚は鉄製でその高さが3m以上あるため、フジを見上げるようにして鑑賞します。フジの花房が太陽光の加減で藤色の陰影が引き立ち、地面のまだら模様とあいまって独特の空間(雰囲気)をつくりだしています。面積は10m四方の大きさくらいでしょうか。
1-009 フジ(akaji)2013.6.8
2年前にここを訪れたとき、このフジを見に来られた70歳過ぎのご婦人から、「昔はフジの房が今の2倍以上あって、もっともっと見事だった」という話を聞きました。50年前の話でしょうか?それはわかりませんが、現在のフジの花房は30~40cmです。往時は1m近い花房が垂れていたのでしょう。
1-044 フジ(赤字)2013.6.8
フジの根元の方に目を移すと、その古さ(樹齢)に納得します。根回りと言うのでしょうか、それとも幹周り?直径が1.5m前後あります。幾重にも絡まり肥大している蔓幹は北海道の樹木では見られない重質量感と150年の歴史を感じさせます。なかなか以上のものです。

1-008 フジ(akaji2013.6.8
説明板には、樹齢150年余と書かれています。しかし、この看板が書かれた当時(昭和45年)の樹齢が150年余とすると現在の樹齢は200年近いことになります。今年は明治元年から148年目になります。内地より持ってきた盆栽を植えたと書かれていますので、ある程度年数を経たフジを植えたということでしょうか?余計な邪推は止めます。見事なフジです。
場所は豊平区平岸の国道453号線沿いで、昔のアサヒビール園の近くにあります。大きな邸宅の門を20mほど入っていくと藤棚が見えます。私は数回ここを無断で見学させていただいているのですが、なんのお咎めもありません。この時期に行くと、数名の見学者を見かけます。ただし、駐車場はありません。
〇 特別天然記念物 牛島のフジ
上記平岸にある「天神ふじ」もりっぱですが、本州にはすごいフジがあるようです。特別天然記念物「牛島のフジ」です。所在は埼玉県春日部市、昭和3年(1928年)に特別天然記念物に指定されています。樹齢1200年、根元の総周囲長9m主幹の根周り4m、枝張り東西34m、南北17m、藤棚の面積が600㎡あるそうです。
ウェブサイトによると、明治のころは3mにも及ぶ花房をつけ、「九尺藤」とよばれていたとのこと。毎年見事な花を咲かせるために、1tもの油粕や酒粕が年4回施されているそうです(年4回ですから合計4t入れているという意味なのでしょうかね?)
※酒粕は花の艶を引き出す特効肥料で、2月に寒肥として施されるそうです。
img_1037372_41440439_10.jpg bbe12ce50bea801b820314b530ca001b.jpgグーグル画像よりお借りしてきました。
右側写真の根というか、幹というか、蔓というか その存在感に圧倒されます。一度見に行きたいです。
毎年すばらしい花を咲かせるには、それなりの管理が必要ですが、この牛島のフジは4t?の肥料が施されている。驚きです。1200年の老樹でも大事に管理すれば、現在でも2m前後の花房が垂れさがるのだそうです。
平岸の「天神ふじ」は樹齢150年、牛島のフジに比べるとまだ赤ちゃんのようなものです。現在も大事に育てられていますが、牛島のフジのように大量の肥料を施すと、往時の1mに垂れ下がる花房が見られるのでしょうか?
〇 余談
以前、フジの蔓を切る機会があり、ノコギリで切らせてもらったことがあります。蔓の太さは10cm弱ほどでした。普通の木材を切るように、のこぎりを蔓に置いて引くと、抵抗感なく切れるのです。普段ほとんどのこぎりを使わない私にでも超楽々簡単に切れるのです。フジの蔓は非常に柔らかい組織でできているようです。
ほとんどの樹木は自立していて、その重さを自分で支え、細胞組織もそれなりにしっかりしたものにつくり上げる必要があります。しかし、フジは横にある樹に巻き付いて成長するために、自分の重さを支える必要がありません。本来なら細胞組織を頑丈につくるために回すエネルギーを、その余った?養分を花や実の充実に回すことができるようです。毎年毎年あれだけ見事な花を咲かせられるのは、そのためでしょうか?

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