ヤマブドウ  雌雄異株

2020.5.18
5月中旬、ヤマブドウの新芽が開き始めます。 新葉が2〜3枚に開くと。、その先に茶褐色の蕾が見えます。


2020.6.14
上段と同じヤマブドウ。 つるが伸びてきて本体の樹を覆ってしまいました。
葉の形状は五角状円心系で多くのものは3裂し、葉柄基部はハート形で深く窪む。葉の大きいものは縦横共に20cmを超える。 葉裏は茶褐色の毛が密生する。

 

<ヤマブドウと栽培ブドウ>

ヤマブドウは日本固有のブドウで、栽培ブドウには大きく分けて3つあり、欧州種(ヨーロッパブドウ)、米国種(アメリカブドウ)、欧米混合種で、北海道で昔から栽培されているナイアガラ、ポートランド、キャンベルといった品種はアメリカ種のようです。
ヤマブドウと栽培ブドウの違いは、前者は雌雄異株で、後者は雌雄同株です。 とい
うことは、栽培ブドウは1株植えれば果実は生りますが、もし、ヤマブドウを庭に植えて果実酒を造ろうと思うなら、雄株と雌株を植える必要があります。

2017.6.13
ヤマブドウの雄花の開花(雄株)。 写真の雄しべは長くて数も多く目立ちますが、雌しべは見当たりません。 ヤマブドウの雌株の写真はないのですが、雄しべが退化しているのだそうです。

2020.6.26
左は栽培ブドウの開花
右はそれの拡大写真で、一つの花に雄しべが4~5本あって、その真ん中に雌しべ(柱頭)が確認できます。

ブドウの栽培品種は雌雄同株で両性花を持ち(一つの花に雄しべと雌しべがある)自家受粉して結実しますが、ヤマブドウは雌雄異株で1株では結実しません。 ヤマブドウの雄株は開花と同時に花弁が脱落し、雌しべが退化して雄しべだけの雄花をつけます。 一方、雌株には両性花をつけますが、雄しべが雌しべよりも短く、※1雄機能が低下しているために自家受粉は困難で結実するためには雌雄両株が必要です。 ※2自生している株の多くは雄株で実がついていません。(札幌市緑のセンターだより10月号:平成10年(1999年))

※1:雄機能の低下:正常な花粉は雌しべにつくと発芽して花粉管の伸ばし、雌しべの中心部にある胚珠に行って受精するが、ヤマブドウの雌花につく雄しべの花粉は発芽能力がない。
※2:自生しているヤマブドウの雄株と雌株の比率は3:7だそうです。

ヤマブドウ  紅葉 

公園や個人の庭など街中で比較的よく見る紅葉する樹は、中低木では、ニシキギ、ドウダンツツジ、ヌルデ、ナツハゼ、ブルーベリーなどがあります。 高木では、ハウチワカエデやヤマモミジ、サトウカエデなどのモミジ類、ナナカマド、エゾヤマザクラ、ヤマウルシなどがあります。そのほかに、意外ときれいに紅葉するのがナツツバキとハナミズキです。 個人の庭で真っ赤に染まった樹を見かけます。

それでは札幌周辺の山々ではどうでしょうか? 街中で見かけるほど多くはないようです。 ナナカマドは札幌周辺の身近な山々には生えていないですし、モミジ類も公園などで見るほど山には生えていないようで、というより、大きな樹の下に生えていて、それ程目立たないようです。 遠くから見て、赤く紅葉する樹はエゾヤマザクラが多いように思います。
しかし、山を赤く染める樹がもう一つあります。 正確に言うと樹に這う?、ぶら下がる?ツタの仲間、ヤマブドウです。

南34~35条西11丁目辺り、軍艦岬より少し南側の山鼻川沿いの藻岩山斜面を駆け上がっているヤマブドウ。
写真下に見える黒いフェンスは、高さ1,2mくらい。


真駒内川沿いに生えているシラカバに絡みついたヤマブドウ。
背後の斜面上は柏丘の団地。