オウゴンシモツケ(その2)

032 オウゴンシモツケ2012.5.25
国道230号線(南区藤野)の街路樹桝に植えられているオウゴンシモツケです。時期は5月末で、黄緑色の葉が一番きれいなときです
029 オウゴンシモツケ2012.7.11
それから1ヶ月半が過ぎた同じ場所のオウゴンシモツケです。
028 オウゴンシモツケ2012.7.11
上の写真の褐色になっている株を拡大して撮ったものです。葉はほとんど食い尽くされています。この中に犯人がいます。
027 オウゴンシモツケ-001
上の写真を拡大したものです。写真中段の中央と左右の端に幼虫が見えます。淡黄色した細長いのがそれです。
026 オウゴンシモツケ ハバチ2012.7.11
webサイト(昆虫庭園)で調べました。幼虫の名前は”シモツケマルハバチ”と書いてあります。
”北海道 樹木の病気・虫害・獣害”(監修:北海道立林業試験場、発行:(社)北海道森と緑の会)に、マルハバチ(種名未確定)の幼虫は、6~7月にカンボクやサンゴジュなどガマズミ類を食害する。最大体長13mm。白いロウ状物質の突起が多数生じる と書かれています。
拡大写真で、白いロウ状物質の突起がはっきりと確認できます。ので、この幼虫はマルハバチ若しくはシモツケマルハバチで合ってると思います。
025 オウゴンシモツケ ハバチ類2012.7.11
青虫など幼虫は、実際に見て触ったりすると気持ち悪いのですが、写真で見るときれいです。

skmh06.jpgwebサイト”昆虫庭園”より
この写真は、webサイト”昆虫庭園”から引用したもので、「蛹は、ほとんど土塊と区別がつかない。まゆ等はつくらず、体に土をくっつけて蛹になる」と書かれています。
”北海道 樹木の病気・虫害・獣害”では、ハバチ類の越冬形態をまとめると、以下のようになります。
①ヒラタハバチ類:成長した幼虫は、土にもぐり、丸い部屋を作って越冬する。
②ハバチ類   :落葉の中に繭をつくり越冬する、又は、土の中に繭をつくり越冬する。
③しかし、その他のハバチ類に分類されているマルハバチは越冬形態の記載なし
昆虫の種類(分類)は、多すぎてわけが分からないのですが、とりあえず、北海道でのハバチ類の越冬は、繭をつくって落葉の下若しくは土の中で越冬するか、又は、土にもぐり越冬するか のどちらかであることが分かりました。シモツケマルハバチは、おそらく土にもぐるタイプに入るのでしょうね。
今、国道230号線のオウゴンシモツケの葉を食いつくそうとしている幼虫は、周辺環境を考えると、昨年ここのオウゴンシモツケ直下の土の中で越冬した幼虫か蛹で、それらが今年の5~6月頃成虫になり、その成虫がオウゴンシモツケに卵を生みつけ、その卵が孵って大きくなった幼虫の可能性が大きいのです。
ということは、いったんこの虫につかれると、毎年必ず、この時期にオウゴンシモツケは丸坊主になるのです。毎年丸坊主になるかどうかは、もう少し経過観察が必要ですが、その可能性が高いように思われます。

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小さな公園にも植えたい木:マルバシモツケ 

073 マルバシモツケ2012.6.11
森林総合研究所の樹木展示圃に植えられているマルバシモツケです。高さは1m弱でこんもりとコンパクトにまとまります。自生地は本州中部以北、北海道。高山や山地の岩場に自生(北海道樹木図鑑)。
035 マルバシモツケ-0012011.6.19
真上から撮った写真です。この葉形は、同じ仲間(ユキヤナギ、コデマリ、シモツケなどのシモツケ属(Spiraea属))の葉形より、スグリの仲間(カーランツやグーズベリー)の葉に似ているように思うのですが・・・・。
006 マルバシモツケ2011.6.19
花は、ナナカマドと同じような咲き方をします。複散房花序というそうです。
208 マルバシモツケ2011.6.11
これは、北大植物園の高山植物園の園路沿いに植えられているマルバシモツケです。
公園や個人の庭には、マルバシモツケと同じ仲間のユキヤナギやコデマリをよく見かけますが、このマルバシモツケはほとんど見かけません。また、公園にはタニウツギやハコネウツギなどウツギの仲間、ユキヤナギやコデマリなどのシモツケの仲間の中低木がよく植えられますが、ある程度の年数が経つと、2~3mの大きさになり、放っておくと枝が暴れて樹形が乱れ、だらしなくなる株をよく見かけます。
また、これらの樹木は、小さな公園では、周辺の視界を遮って公園全体を狭くしたり、防犯上の問題から、強剪定を強いられて美しい花が見られないこともよくあります。
その点、このマルバシモツケは、大きくなっても1m弱で、樹形もコンパクトにまとまり、ほとんどメンテナンスフリーです。シモツケの仲間ですから、ツツジ類のように土壌や周辺環境をそれほど選ぶことはないと思います。
営利栽培する上での問題点や市場の流通性についての知識は持ち合わせていませんのでなんとも言えませんが、マルバシモツケは、札幌などの北国の庭や公園に、もっとあってもよい植物材料と思うのですがいかがでしょうか。

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オウゴンシモツケ

オウゴンシモツケ:バラ科、シモツケ属、北半球の温帯、亜寒帯に広く分布するシモツケの園芸品種
本種は北海道全域でよく成育し、積雪の少ない冬期間の最低気温一30℃、最大積雪40cm以下、最大凍結深度1mの地域において10年間成育試験を行なった結果、先端部の枯れ込みがある程度で、道内の各地(道東、道北、道央の内陸部)での植栽に問題はないと考えられます。成長は基本種であるシモツケよりやや緩慢であるため、かえって樹形は整います。㈲川原花木園ホームページより
最近、街路樹の植樹桝に植えられ、柔らかい黄緑色の葉が印象的で、都心部、郊外を問わずよく見かけます。知事公館前の植樹帯に植えられているオウゴンシモツケです。
208-001.jpg2012.4.30
013 オウゴンシモツケ エドウィン・ダン記念公園2012.4.30
019 オウゴンシモツケ2012.5.6
030 オウゴンシモツケ2011.8.14 エドウィン・ダン記念公園
これは、同じオウゴンシモツケを4月30日、5月6日、8月14日(昨年)の3回、時期をかえて撮ったものです。芽出しから10日前後?は赤褐色の葉色をしています。それが、穂先の新葉は赤褐色を残しているものの、全体的には鮮やかな黄緑色へと変身してます。オウゴンシモツケの名前は、芽出しの色から来ているのでしょうか?
このオウゴンシモツケは、写真のように8月になってもこじんまりとした樹形を保っています。花壇や街路樹桝の植物材料として最適のように思われます。ところが、
003 オウゴンシモツケ ハバチ食害2011.7.6 真駒内駅前通
7月の始めにはこのようになってしまうのです。ハバチの幼虫による食害です。この株はまだ葉が上部に残っていますが、ひどいものは、すべて葉を食い尽くされてしまいます。
ハバチによる食害については、7月にもう少し詳しく調べたいと思っています。
美しい黄緑色の葉が好まれて、今盛んに都心部や人通りの多い植樹桝に植えられていますが、確実でしかもそんなに手間をかけないで食害を防ぐ方法を見つけないと、残念ながら、この植物は都心部から消えてなくなるのではないでしょうか。

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