アオキ 赤い実

札幌の街中で見るアオキには2タイプあり、一つは冬場の寒風で葉が茶褐色に変色したものが多い株と、もう一つは、寒風被害のない、春先でも青々とした葉をつけている株です。 後者は植えられている場所が大抵北側に建物が建っていたり、イチイなどの比較的大きめの樹木の傍または下に植えられていて、これが冬場の寒風を防いでいるようです。
アオキは日本原産で自生地は東北南部までとなっています。 北海道南部に自生するアオキの変種ヒメアオキがありますが、この種は札幌でも雪の中で越冬し、赤い実をつけます。 アオキは広葉常緑樹と言うことで寒さに弱いというイメージはありますが思いのほか寒さには強いようです。

⇒ ヒメアオキ

しかし、ヒメアオキは赤い実をつけてもアオキには赤い果実をつけた株をあまり見かけません。

2018.10.13
 
2017.8.11                                                         2017.8.11
見かけたのは、中央区南1条西1丁目にある日本キリスト教団北光協会ビルの外構植栽に植えられているものでした。 ここのアオキは果実数は少ないですが赤い実が生っていました。
 
2017.5.23               2018.1013
上2枚の写真は我家の近所で見かけたアオキの花と果実です。
写真のように果実は赤くはなるが大きくならない、または、赤くもならず青いままの小さな実で終わってしまうのです。
最初、この不完全な果実を見て、札幌は本州に比べて寒いので大きくなれないのかな?と思ったのですが、調べてみると、アオキは雌雄異株なので単体(雌雄のどちらか)で植えた場合、受精できないので実が大きくならないようです。
それでも、札幌では赤い実をつけたアオキはあまり見かけません。

 

 

 

アオキ  その2 ヒメアオキ 

先週の日曜日(5月7日)、樹木医会の仲間で恒例の観桜会を豊平区平岸にある天神山緑地で行いました。 この一帯は小高い丘で、そこに天神山緑地、相馬神社、澄川墓地、三吉神社が一帯となって10ha?近くの雑木林を形成しています。

観桜会の目的は、サクラを見ながらお酒を飲み親交を深めることが第一の目的ですが、それともう一つ、樹木をみんなで観察することです。 天神山緑地と相馬神社を散策しながら樹木を見て、樹種の確認や幹枝の病痕を観察します。 それらをその分野の専門家に解説・教授してもらうことで知識の幅を広げています。 その観察中に相馬神社境内の片隅で見つけたのがこのヒメアオキです。 初めて見ました。
2017.5.7
高さは40~50cmで株状です。
参考図書では、
・林内に生える常緑樹、高さ0.5~1mでややほふくする。 枝は緑色、母種アオキは樹高2mと大型で葉も大きい。 分布 北海道(西南部、本州(日本海側)<北海道樹木図鑑>
・海岸から山地の林内。 アオキが多雪地帯に適応した一形と考えられるので、幹の基部は匍匐し、群がって生える。 枝はまばらに分枝し、強靭で、雪に耐えられる形態をもっている。
<樹に咲く花>
2017.5.7
小さい花を枝先に円錐花序につけます。 形状はアオキと同じですが、色はアオキより明るく赤みが強いようです。  ヒメアオキもアオキ同様雌雄異株で、写真の花は雌花。

2017.5.7
赤い実もついていました。 大きさは1~1.5cm。 葉は照葉で、縁の上半分に鋸歯があります。 一見、ツバキの葉を連想させます。

 

アオキ


アオキは通年葉を落さない常緑樹なので、札幌では冬を越すのは無理だろうと思っていたのですが、自転車で市内の住宅街をまわると思いのほか植えられているのです。 その場所は建物や物置の側や高木などの枝下です。 春先に雪から顔を出している部分が寒さで枯れている株も見かけますが、概ね葉に損傷のないものが多いようです。
札幌で見かけるアオキのほとんどが写真のように葉に黄色のまだら模様が入る「斑入り」です。

アオキは雌雄異株で、写真の花は雄花。 咲き方は円錐花序で、小豆色の小さな花を多数つけます。1個の花は小さく1cmもないほど。

気をつけて観察していると、花は見かけますが、赤い実は見たことがありません。
当初、その理由を、札幌は東京や大阪に比べて夏の期間が短いために実をつけるには暖かさが足りないのかな?と勝手に推測していたのですが、札幌市内の個人の庭で見かけるアオキは単木で植えられているのががほとんどで、 そこにあるのは、雄花か雌花どちらかで、実の生りようがなかったのです。  もし、雄株と雌株を一緒に植えれば、おそらく、あの赤い実を札幌でも見られるのではないでしょうか。