アセビ  開花

2020.4.17 石山
我家の近くの個人の庭で見つけました。 アセビってこんなに春先早く花が咲く木でしたか? エゾムラサキツツジがちょうど咲き出した頃すでに満開。 おそらく、札幌で最も春早くに花を咲かせる樹木ではないでしょうか?
写真、アセビの白い花の横に茶色の蕾がついています。 これは冬の寒さで枯死したものでしょう。

2013.6.16 清田区平岡                                  2013.5.8  中央区STV本社前
アセビは比較的開花が早く、5月上旬には咲きますが、1ヵ月以上過ぎた6月下旬に咲く株もあり、この樹木は株によって咲く時期に相当ばらつきがあるようです。
樹木図鑑 “樹に咲く花” では、2月下旬~5月と記載されているので、そのような咲き方をする種のようです。 ちなみに、アセビの自生地は、本州(山形、宮城以南)、四国、九州で、北海道には自生していない。 2010.8.10
8月には種子をつけます。 2010.9.11
そして、9月に入ると、翌年咲かせるための花(花穂)が上がってきます。

<余談:アセビ(馬酔木)の名前の由来と毒性>

アセビという言葉を漢字で書くと「馬酔木」となるのだが、奈良朝前後の時代に中国から渡った馬が大和のアセビを食べたことによって、中毒を起こし酒にでも酔ったかのようにフラフラすることから、このような漢字で書くという説がある。 また、足が痺れる「足廃痺(アシシビ)の音転したものという説もある。

アセビの毒は葉、根、樹皮など株全体にあり、主な中毒症状は、腹痛、嘔吐、下痢、神経麻痺、呼吸麻痺などによって、死に至る。 1979年8月にアメリカのカリフォルニアで羊がアセビの仲間である野生種を食べて中毒死するという事故が起こった。 道に迷った羊たち200頭のうち20頭が大量のよだれを流し、激しい嘔吐と下痢を繰り返したのだ。 そして、2頭が死亡したのである。

アセビによる中毒は、かなり苦痛を味わいながら死に至る。 ただ、アセビの毒グラヤノトキシン(旧名アセポトキシン)は苦みの強い物質であるため、毒を口の中に入れるようなことをすれば、口いっぱいに嫌な苦みがするのが普通である。 そのため、間違って口にすることがあっても喉を通ることは少ないが、毒性が強いことは変わりなく、その取り扱いには十分に注意しなくてはならない。

薬用効果として一部ではケジラミやカイセンの外用薬として利用されている。 また、アセビの持っている毒性を生かして農薬として使われている歴史を持っている。 まだ現在のような農薬のない頃には、葉を10倍量の水が半分以下になるまで煮出し、葉を取り出してから10倍に薄め、冷まして農作物に散布するのである。 また、今のようにトイレが衛生的ではなかったころ、ウジ殺しとしてアセビの枝を刻んだり叩いたりしたものをカメの中に入れて駆除したという。
(毒草大百科抜粋要約)

 

 

アセビ

 先週の金曜日は春らしい陽気でした。週末の土日、週明けの今日(月曜日)とうすら寒いどんより曇った日が続いています。暖かい日は1日だけで、今春は相変わらず寒い日が続いています。
昨日(5月12日)の日曜日に大通公園、知事公館、北大植物園など街の中心部の様子をうかがってきました。キタコブシは花びらが落ちている樹もあり、最盛期は過ぎているようです。サクラはやっと咲き始めた樹が多いようです。1-011 キタコブシ大通公園西7丁目~西9丁目にある大きなネグンドカエデの樹が花を咲かせたようで、樹冠全体が褐色味を帯びた黄緑に染まっています。1-016(赤字)エゾムラサキツツジやレンギョウはきれいに咲きそろった株が多くなって来ました。1-057 レンギョウ植物園ではブナが黄緑色の新葉を開いています。1-031 サンシュユ 1-033.jpg左の写真は北大植物園内の樹木です。中央に黄色と緑色の樹が3本見えます。一番背が高く緑色の葉をつけた樹がブナ、真ん中の茶褐色をしているのがムラサキセイヨウブナの新葉、下方で黄色をしているのがサンシュユの花です。
例年ならエゾムラサキツツジの後に咲くミツバツツジやヨドガワツツジなどの開花する時期ですが、今年はままだ先のようです。季節は1週間~10日くらい、いやそれ以上遅れているようです。
このごろのご近所の庭を拝見すると、咲いている花はフクジュソウ、クロッカス、チオノドグサ、ヒマラヤユキノシ、プリムラタなどの草花類が主で、株物ではエゾムラサキツツジやレンギョウが咲き始めたくらいです。以外にもそこそこ目にするのが白い花を咲かせるアセビです。夏場には気がつかないのですが、この時期は、ほとんどの樹木が葉を落としているので、アセビの緑葉に白い花が目につくのです。
1-014 アセビ(赤字)2013.5.8
アセビの花は4月下旬~5月にかけて咲きます。ドウダンツツジ、ブルーベリー、ツガザクラ、ヒメシャクナゲなどツツジ科に属する花に似ています。そうなんです、アセビはツツジ科の仲間なのです。知らなかったです。花の咲き方は、枝先から花穂?花序?を伸ばし、垂れ下がって咲きます。
1-004(赤字)2012.4.6
このアセビは2m以上あります。個人の庭に植えられているアセビとしては大きい部類です。
1-001 アセビ(赤字)2013.5.8
大抵は50cm~1mくらいのものが多いようです。
1-275 アセビ(赤字)201.6.11
花が終わった6月に入った頃から順次枝の先から新葉を出していきます。
1-066 アセビの実(赤字)2010.8.10
そして、8月になると、丸い実をつけます。
1-146 アセビの来年の花(赤字)2010.9.11
9月に入ると、来年の花穂(花芽)が出来上がりつつあります。おそらく8月の半ば頃から花穂は伸び出しているのでしょうか。
1-013 アセビ STV(赤字)2013.5.8
これは、北1条西8丁目にある札幌テレビ放送(STV)の外構植栽です。そこに植えられているアセビです。白っぽい色をしたのはアセビの花ですが、茶色ぽいのは、
1-013(赤字)
冬の寒さで枯死したつぼみのようです。雪の中に入ってしまうとぼみも寒気と乾燥から守られるのでしょうが、常時それらに晒されると枯死する花芽も出てくるようです。
<余計な話>
通常、街中で見るビルなどの外構植栽には、株物ではツツジ類などきれいな花が咲く種類が、高木ではモミジ類など葉のきれいな材料が使われることが多いのですが、ここでは、アセビとカシワが主要な樹種として植えられているのです。アセビは常緑樹で春先早くに白い花を咲かせます。かわいい花ですが少々地味な感じです。カシワは石狩浜や山の中にある樹で、札幌の中心部にあるビルの外構植栽に使うしては、奇異というか、場違いな感じがする樹です。よく言えば一風変わった渋みのある、悪く言えば地味で少々陰険な印象のする樹といえます。
STVは北海道ではテレビやラジオでおなじみの有名な会社で、そこのビルの外構植栽にこのような樹種を選んだのは、会社の意図か、または植栽を請負った造園会社かそれとも設計会社の主旨が発注者に伝わったのか、そこら辺りの事情は分かりませんが、それはそれなりの理由があったようにと思うのです。
アセビは北海道には自生していませんが、個人の庭に見かける種類です。特徴と言えば先程述べたように常緑で春先白い花を咲かせることです。また、カシワで思い浮かべるのは柏餅の大きな葉くらいで、庭木のイメージなど全くありません。強いて挙げるなら、老木ではなく比較的若い樹は春先まで樹冠全体に褐色の葉を付けていることです。
1- カシワ2013.3.3
これらのことを考えると、この外構植栽のテーマは、「植物できれいにビルの周辺を飾る・修める」ということではなく、北海道の、札幌の「冬」にあるのではないかと思われるのです。この植栽の設計者若しくは決定者は、STV前の歩道を行き交う人々に、雪に覆われている街の中でも存在感を示せる植物材料として、たとえ褐色の葉であったとしても春先まで葉を落とさないカシワを、冬の間でも緑色の葉を保っていて、キタコブシやエゾヤマザクラと同時期に春一番に花を咲かせるアセビを選んで、「長い冬と春一番」を重点にした植栽をしたかったのではないだろうか  などと自分勝手に想像をしてしまうのです。
〇 名前の由来
ウェブサイトで調べると
アセビ(馬酔木)の名前は、馬が食べると酔い脚がなえることから「アシビ(足癈)」と呼ばれ、次第に転訛して「アシビ」、そして「アセビ(馬酔木)」となったという説が一般的になっている。漢字の「アセビ(馬酔木」)もこれに由来する。
牧野新日本植物図鑑では、
有毒植物で、その葉を煎じ菜園の殺虫剤に用いる。また、馬が葉を食べると苦しむともいい、馬酔木とも言われる。
〇 Data
・科名 ツツジ科
・属名 アセビ属
・学名 Peris japonica
・花期 4月下旬~5月
・分布 本州(山形、宮城以南)、四国、九州

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