アメリカマンサク:2年越しの結実

アメリカマンサクの開花を昨年11月20日(2013年)のブログで紹介しました。その時、「札幌で、この時期 ※1 に花を咲かせて、実はいつ大きくなるのだろう?」と、疑問符でブログを終えました。あれから約9か月が過ぎました。その後の経過を記します。
001 マンサク アメリカマンサク①  002 マンサク アメリカマンサク②  2013.11.15撮影  場所:森林総合研究所
①一昨年の秋に開花して、昨年できた果実
②昨年秋開花して、花弁が落ちて“がく”だけが残っている。
※1:以下の温度は札幌市中心部の10月と11月の旬別の平均気温です。(1981年~2010年)
・10月上旬 : 14.0℃
・10月中旬 : 12.0℃
・10月下旬 : 9.7℃
・11月上旬 : 7.6℃
・11月中旬 : 4.5℃
・11月下旬 : 2.6℃
この温度を見ると、10月下旬乃至11月上旬には開花の最盛期を迎えているのではないでしょうか? この時期は気温が低いので、花が咲いている期間も長いでしょうから。
昨年の晩秋11月に花を咲かせ、花弁が落ちて“がく”だけになった花は、その後、どのようになったのでしょうか?
007 マンサク アメリカマンサク2014.5.24
昨年の秋に比べ、がく弁が大きく分厚くなり、緑色を帯びています。
003 マンサク アメリカマンサク2014.6.7
2週間後に撮っています。花(果実)の形態はそれほど変わっていません。
029 アメリカマンサク2014.7.6
それから約1ヶ月過ぎると、立派な果実が出来上がります。実が成熟する9月?、10月?に、乾燥することで果皮が裂開、その力で種子を遠くまで弾き飛ばすそうです。
028 マンサク アメリカマンサク2014.7.6
話は逸れますが、南区(札幌市)では、今年、マイマイガ(カシワマイマイ)が大発生しています。森林研究所は豊平区にあるのですが、当区と同じようにマイマイガが発生しています。このアメリカマンサクも樹冠には1枚の葉もないほどすっかり食い尽くされています。写真のマイマイガは、もう食べる葉ががなくなっって、今度は果実を食べようとしているのでしょうか? 少々硬いと思うのですが・・・・・・・・。
<余談:北アメリカで唯一の植物>
アメリカマンサク(Hamamelis.virginiana)は北アメリカ東部に自生していますが、“Agriculture and Agri-food Canada”のサイトに以下の記述がありました。
「アメリカマンサクは、果実(ripe fruit)、花(flowers)、翌年の葉芽(the following year’s leaf buds)を同じ時期に付ける北アメリカの森林で唯一の樹木である」

これは、アメリカマンサクが、秋に花を咲かせ、その翌年に果実を実らせるからなのでしょうが、日本で自生する樹木で、そのような性質を持った樹があるでしょうか?
秋に咲く樹の花は?というと、10月~年末頃まで咲いているサザンカ、香りのよりキンモクセイを思い浮かべます。サザンカの結実は9~10月頃だそうなので、もしかして、アメリカマンサクのように花、実、葉芽が同じ枝で同じ時期に見られるかもしれません。キンモクセイは、中国原産、雌雄異株で、日本では雄株がほとんどで、雌株がないため結実は見られないのだそうです。
時期は違いますが、シロヤマブキは、花は6月頃に咲き、8月頃から黒い実をつけるのですが、その実は冬場はおろか翌年の花の咲く頃まで付けています。ので、花、実、芽が同時期についているという意味では、その仲間に入りそうです。

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マンサク(その4):アメリカマンサク(その2)

アメリカマンサクの実が気になって、仕事の通りすがりに森林総合研究所へ再度寄ってきました。
001 赤字2013.11.18
触ってみると実殻はとても固く、今秋に咲いた花の実ではないようです。この実は、おそらく昨秋開花したものが今春になって種子を作るために大きくなり、いつの頃かわかりませんが種子が弾け飛んで?、その後に残った実殻のようです。
002 赤字2013.11.18
これは、花弁が落ちて萼(がく)だけになったマンサクの花(今秋開花)です。
札幌管区気象台の11月と12月の過去10年間の平均気温は、前者で5.6℃、後者で-0.56℃です。植物が成長できるのは、平均気温が5℃以上ですから、札幌の気候からすると今年の成長はここまでで、実が大きくなるのは来春のようです。原産地のアメリカでもこのような実のつけ方をするのでしょうか?
※ 平均気温:その日の最高気温と最低気温を2で割ったもの、朝9時頃の気温がそれにあたるようです。
<余談>
ウィキペディアで拾ったアメリカマンサクの画像です。
Hamamelis_virginiana_FlowersLeaves_BotGardBln0906.jpg
この写真では開花時に葉をつけています。原産地では、札幌よりもう少し早い時期に花を咲かせ、その年の内に実を生らせるのでしょうかね?
みんなの花図鑑(ウェブページ)によると、
原産は北アメリカで、アメリカ東部、カナダ、メキシコに分布しているようです。樹高は5~10m。

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マンサク(その3):アメリカマンサク

お久しぶりです。パソコンが壊れてブログをお休みして2週間が過ぎます。
その間に、札幌周辺の山々、街中の街路樹(ニセアカシアとプラタナスを除いて)、公園の樹々はほとんど葉を落としてしまいました。札幌は冬モードに入りました。週始めの月曜日は、その前の晩の降雪と冷え込みで、翌朝の道路はツルツル。今年一番の渋滞です。これから3月中旬までの4ヶ月間、雪に悩まされそうです。
10日の日曜日、所用のついでに森林総合研究所に立ち寄ってきました。ここの樹木もほとんど葉を落としています。園内を歩くと、オオバアサガラの白い枯れ花、ツルウメモドキの果実(黄色い果皮と赤い実)、ウメモドキの赤い実、ニシキギの鮮紅色の葉を落とした後の赤い実が目に留まった程度で、ほとんどが冬枯れ状態です。
しかし、ひとつだけ花を咲かせている樹があります。
RIMG0021 マンサク アメリカマンサク2013.11.10
アメリカマンサクです。
日本原産のマンサクは、春3月下旬に開花しますが、このアメリカマンサクは10月のいつごろからか花を咲かせるようです。
RIMG0020 マンサク アメリカマンサク 2013.11.10
日本原産のマンサクとアメリカマンサクの違いは、開花時期のほかに、萼(ガク)の色が違うようです。日本産は赤みを帯びた濃い紫ですが、アメリカマンサクは花弁と同じ黄色です。
RIMG0022 マンサク アメリカマンサク2013.11.10
それにしても、このアメリカマンサクは、札幌で今頃花を咲かせて実を生らせることができるのでしょうか?
写真を見て気づいたのですが、写真中央に、茶褐色の丸い果実のようなものが見えます。この実は昨年の秋に開花した花の果実なのでしょうかね?それとも、今秋開花した花が結実したのでしょうか?その場で気づいて触ってみれば、最近できた果実か、それとも今年の春にできたもの分かったのですが・・・・。晩秋に花を咲かせるとは面白い習性を持った樹です。再度、現地で調べて、改めて報告します。

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マンサク(その2)

4月入ってからの週末は曇りがちの日が多く、外で写真を撮ってもいまいちきれいな写真が撮れないために、出かけようとするインセンティブが沸きません。それでも、日曜日の用事で出かけたついでに、森林総合研究所に立ち寄ってきました、目的はマンサクの花を見るためです。この時期に札幌で花を咲かせる樹はマンサクしかありません。(今年は、ナニワズは雪の中です)
1-RIMG0001(赤字)2013.4.14
開花といえば開花ですが、花弁が丸まっていて、つぼみと開花の中間というところでしょうか?
1-005 マンサク2011.4.11
一昨年の2011年にこの場所を訪れたときは、4月11日に開花していました。おそらく4月初上旬に開花しているようです。今やっと咲きだすマンサクは、やはり今冬の1月~3月の寒さが原因なのでしょうね。
1-003 マンサク2011.4.24
<余談> 北大植物園は、冬期間(11月4日~4月28日)は休園(温室は通年可)で、春のオープンは4月29日です。ここ3年程は毎年ゴールデンウィークにここを訪れるのですが、植物園の正門を入って最初に迎えてくれるのがこのマンサクです。花は最盛期を少し過ぎているのかもしれませんが、それでも株全体に淡いクリーム色の花を咲かせています。 1-002 マンサク (マルバマンサク)2012.4.30
ゴールデンウィークと言っても、咲いている花といえばパンジーやキバナノアマナなどの下草類が主です。樹木ではコブシくらいで、園内のほとんどの樹木は枯れ木同然です。そこで、オープニングに確実に花を咲かせてくれるマンサクを正面入口を入った直ぐ前に植えて来園者を迎えようとしているのです。これは,半年近い長い冬を終えてやっと開園を向かえ、まだ緑豊かなでない植物園を訪問してくださった来園者へ少しでも春を味わってもらいたいと植物園を管理する方の心遣い,今風に言えばを「おもてなしの心」の表れなのでしょうね。

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マンサク:先ず咲く花

先週末北日本を襲った冬台風、テレビのニュースでご存知と思いますが、札幌も凄かったです。ときたま来る超強風のため家がぐらっぐらっと揺れる感じがしました。翌朝の玄関前は雪の吹き溜まりで普段のようにスムーズにドアが開きませんでした。吹き溜まった雪は70㎝は積もっていました。降り続く雪のなかで雪はねをしながら、「春はいつ来るんだろう?」と憂鬱気味に思ったのですが、ここ2~3日程暖かくなってきて、それに太陽のまぶしさが加わると、見るところ全て白一色なのですが、「春は近い、もう直ぐ春がくる」と心も体も雪のない春を待ちわびているのです。
マンサクの枝を先々週の週末(2月20日過ぎ?)にいただいて、花瓶に挿しておきました。
1-RIMG0001(赤字)2013.3.8
マンサクだけあって温度には敏感で、1週間も経たないうちに花が2~3個咲きました。この写真の花は見ごろを過ぎています。花弁の色が褪せはじめています。
1-059 マンサク 2011.3.3
頭を垂れているように見える丸いものが冬芽(花芽)です。左上に細長い葉芽(裸芽)が見えます。
1-056 マンサク2012.4.29
ナニワズと同じ頃?、まだ日陰などに雪が残っている頃、マンサクはどの花よりも早く咲きます。4月上旬に咲き始めます。そして1ヶ月くらい咲き続けるようです。
長さ1cm前後の花弁を4枚つけます。花の基部の暗紫色(あずき色)はがく弁です。
関東以西では、ちょうど今頃が咲き始めなのでしょうか?それとも満開を迎えているのでしょうか?
1-029 マンサク2012.4.21
森林総合研究所
遠くから見ると、花が咲いているのか?、それともマンサクの幹枝にほかの何かが付いているのか?、樹冠全体がぼやぁと色あせた黄橙色に見えます。
“樹に咲く花”では、マルバマンサク(マンサクではなく)が渡島半島の東側にある奥尻島に自生していると記載していますが、本道にはない樹のようです。公園や個人の庭では見かけません。北海道に住む人間にとって、マンサクは馴染みが薄く、生花をたしなむ人と植物園か樹木園などにある樹木のようです。
名前の由来
牧野新日本植物図鑑より
満作の意味で、満作は豊作と同様、穀物が豊かにみのることをいい、この木が枝いっぱいに花を咲かせるので、このようにいう。またある人は、マンサクを早春にまっ先に咲くの意味にとっている。
Data
・科名 マンサク科
・属名 マンサク属
・学名 Hamamelis japonica
・花期 4月上旬~5月上旬
・分布 本州(主に関東西部以西の太平洋側、四国、九州。日本固有
※マルバマンサクは、北海道(奥尻島)、本州(東北地方~鳥取県の日本海側)

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