カエデ類 冬芽(その3) 

カエデ類(その2)で、外国産のカエデ類(その2)でアメリカハナノキ、ネグンドカエデ、ノルウェーカエデの3種を載せましたが、(その3)では新たにサトウカエデとギンヨウカエデの2種を加えて投稿します。  この5種は、公園や街路樹で見られます。
 2012.3?
アメリカハナノキ Acel rubrum
⇒ アメリカハナノキ(ルブルムカエデ、ベニカエデ)

  2013.4?
ネグンドカエデ Acel negundo
⇒ ネグンドカエデ
2011.3.8
ノルウェーカエデ Acel platanoides
⇒ ノルウェーカエデ  紅葉

2020.3.30
サトウカエデ Acel saccharum
⇒ サトウカエデ 紅葉

2013.1.6
ギンヨウカエデ Acel saccharium
⇒ ギンヨウカエデ

カエデ類なので冬芽はすべて対生。 5種の冬芽の中で、アメリカハナノキ、ネグンドカエデ、ノルウェーカエデ(ヨーロッパカエデ)、ギンヨウカエデの4種の冬芽はふっくらと丸みを帯びていて花芽であるが、サトウカエデは花芽か葉芽かは不明。

アメリカハナノキとギンヨウカエデの冬芽の形状や色はよく似ているが、花の咲き方もよく似ている。

アメリカハナノキ、ネグンドカエデ、サトウカエデ、ギンヨウカエデの4種は北アメリカに自生。その中で、アメリカハナノキ、ネグンドカエデ、ギンヨウカエデはアメリカ東部であるが、サトウカエデはアメリカ東部の一部とメキシコから南の中央アメリカに自生し、上記3種とは異なるようである。。 ノルウェーカエデはヨーロッパ全土に自生。

 

 

 

カエデ類(その4):ヤマモミジ、イロハモミジ、オオモミジ

「イロハモミジとヤマモミジの違いってわかる?」と質問されると、
「イロハモミジはヤマモミジより、葉が小さめで、切込みが深いんじゃないの?」と答えると、
「ほんとに?、それじゃ、オオモミジはヤマモミジとどう違うの?」と、質問されると
全く答えられません。
カエデ類(Acer属:アケル属)は種類が多く、その中でも、普段公園や庭園などでよく見かけて、しかも、遺伝的近い仲間のヤマモミジ、イロハモミジ、オオモミジの3種について、その違いを少し調べてみました。
ヤマモミジ
2011.5.22
1.日本のどこに生えているか?(自生地について)
〇ヤマモミジ
・本州の出版社の樹木図鑑では、中国~東北(島根県~青森県)の日本海側に分布すると書かれているものと、これに北海道を含むものの2種類がある。ただし、日本海側の分布域についてはいろいろあり、とりあえず、ヤマモミジは本州の日本海側に生えている程度でよさそうです。
・北海道の地元で出されている樹木図鑑では、北海道を含んでいる。
〇イロハモミジ
・本州(福島以南)、四国、九州(北海道には自生していない。)
〇オオモミジ
・本州、四国、九州、北海道 朝鮮
※1 オオモミジとイロハモミジは日本以外の朝鮮や中国に自生しています。
※2 これらをまとめると、イロハモミジは本州の福島県以南に、ヤマモミジは、一部意見の分かれるところはありますが、北海道を含めて、本州の日本海側に、オオモミジは日本全国に分布、のようになります。
R0010339.jpg2011.5.25    円山公園
2.学名から見た3種について
①“樹に咲く花”では、ヤマモミジをオオモミジの変種(variety)として捉え、イロハモミジを別種として扱っている。
・イロハモミジ:Acer palmatum(パルマツム)
・ヤマモミジ :Acer amoenum var.matsumurae
・オオモミジ :Acer amoenum(アモエヌム)
②“北海道樹木図鑑” では、ヤマモミジとオオモミジをイロハモミジの変種としている。
・イロハモミジ:Acer palmatum
・ヤマモミジ :Acer palmatum var.matsumurae Makino
・オオモミジ :Acer palmatum var.amoenum Ohwi
③“木の大百科”では、3種をイロハカエデの一群(人里近くの森林にも割合多くあり、また、紅葉を鑑賞するため庭木に植えられ、園芸品種が200以上もるあるイロハカエデの近似の一群)と捉え、3亜種に分けて整理している。
・イロハカエデ:Acer palmatum Thunberg subsp. palmatum
・ヤマモミジ :Acer Palmatum Thunberg subsp. matsumurae KOIDOZUMI
・オオモミジ :Acer Palmatum Thunberg subsp. amoenum
④“日本の樹木”(三上常夫、川原田邦彦、吉澤信行著 (社)日本植木協会編集協力)では、“樹に咲く花”と同じで、ヤマモミジをオオモミジの変種として扱っている。
・イロハモミジ:Acer palmatum
・ヤマモミジ :Acer amoenum var.matsumurae
・オオモミジ :Acer amoenum
※①、②では、北海道がヤマモミジの分布域に入っている。③、④は入っていない。
※分布や分類の仕方については、諸説があるようです。
ヤマモミジ 中島公園
2011.11.3     中島公園
3 葉について
・イロハモミジ :葉の大きさは、3~6cm(4~7cmもある)で5~7深裂(5~9裂もある)
・ヤマモミジ  :葉の大きさは、5~10cm(5~8cm、5~12cmもある)で、7~9裂
・オオモミジ  :葉の大きさは、5~10cm(5~11cm、6~12cm、7~12cmもあり)7裂(7~9裂5~9裂もあり)
※葉縁の切れ込みについても本によってそれぞれです。“樹に咲く花”で3種の写真を見比べると、ヤマモミジの鋸歯が一番粗くて、次にイロハモミジ、オオモミジの葉縁は細かい という感じです。
4 葉の縁のギザギザ(鋸歯)
・イロハモミジ :重鋸歯(大きなギザギザと細かいギザギザがある)
・ヤマモミジ  :重鋸歯か欠刻状鋸歯(大きなギザギザと細かいギザギザが不ぞろいに並ぶ)
・オオモミジ  :細鋸歯
※葉縁のギザギザについては、本によって用語や記述の仕方がいろいろで、ここの書き方もとりあえずというところです。

にほんブログ村 写真ブログ 植物・花写真へ
にほんブログ村

札幌で見られるカエデ類(日本在来種)の冬芽

016.jpg
2014.1.25  ヤマモミジ 森林総合研究所
024 イロハモミジ
2011.3.21 イロハモミジ 森林総合研究所
005 ハウチワカエデ
2011.4.9 ハウチワカエデ 豊平公園
029 ノムラモミジ
2011.3.21 ノムラモミジ 森林総合研究所
027 カラコギカエデ
2011.3.21 カラコギカエデ 森林総合研究所
025 カラコギカエデ
2011.3.21 カラコギカエデ 森林総合研究所
006 イタヤカエデ(赤字)
2011.3.21 イタヤカエデ 森林総合研究所
016 イタヤカエデ(赤字)
2012.3.11 イタヤカエデ 真駒内公園
019 アカイタヤ
2011.3.21 アカイタヤ 森林総合研究所
114 クロビイタヤ
2011.4.30 クロビイタヤ 北大植物園
030 ミツデカエデ
2013.3.17 ミツデカエデ 森林総合研究所
030 オガラバナ
2011.3.2  オガラバナ 森林総合研究所
016 オガラバナ 花殻
2011.3.21 オガラバナ 森林総合研究所

札幌で見られるカエデ類(外来種)の冬芽

札幌で見られるカエデ類(外来種)の冬芽
RIMG0026 ギンヨウカエデ2013.1.5 ギンヨウカエデ
069 ネグンドカエデ2012.4.21 ネグンドカエデ
撮影時期が4月下旬で、冬芽(つぼみ)が膨らんできています。
RIMG0015 アメリカハナノキ2012.3.13 ルブルムカエデ(アメリカハナノキ)
CIMG2152 ノルウェーカエデ2011.3.8 ノルウェーカエデ
上記3種の冬芽の形状は、写真のとおり、卵形で、大きさはネグンドカエデとアメリカハナノキは5mm前後で、ギンヨウカエデは前記2種に比べると少し小さいようです。
ギンヨウカエデ、ネグンドカエデ、ルブルムカエデ(アメリカハナノキ)は、北アメリカ原産、雌雄異株で、冬芽の形状もよく似ています。種(しゅ)は違いますが、花や冬芽のよく似た形状からして、近い仲間のようです。これらのほかにもう1種、カナダの国旗に描かれていてメープルシロップで有名なサトウカエデがあるのですが、この樹はなかなか花を咲かせないようで、ほかの3種が花を咲かせる時期に、大通公園や北大植物園にあるサトウカエデを見に行くのですが、しっかり探しても見つからないのです。もしかして、開花時期が違うのかもしれません。ブログや図鑑を見ても、サトウカエデの花を見つけられません。そんなことで、サトウカエデの冬芽を撮っていないようです。
※サトウカエデは雌雄異株ではないようです。
ノルウェーカエデ(ヨーロッパカエデ)は、名前のとおりヨーロッパ原産で、独特の濃紫褐色の葉は、一目でノルウェーカエデとわかるほど、その色に特色があります。冬芽の形状は、北アメリカ産のカエデ類より、日本原産のイタヤカエデやクロビイタヤなどと似ています。
<余談>
日本に自生するカエデ類はヤマモミジ、イロハモミジ、ハウチワカエデなどと種類が多いのですが、世界的に見ると、そのほとんどが北半球の温帯地域を中心に分布していて、その種数は約150といわれています。、日本以外では北米、欧州および西アジア、中国および東南アジアの3地域に多く、南半球には1種しかないそうです。

にほんブログ村 写真ブログ 植物・花写真へ
にほんブログ村

モミジが美しい

秋のモミジは、その鮮やかな紅色で周辺の山々や公園・街路樹を染めます。秋を代表する色で私たちの回りの景色を彩ります。
しかし、今回は、夏のモミジです。秋の紅葉の鮮やかさ美しさには及びませんが、よく見ると、モミジの枝先から出る新葉は、派手さはないのですが、パステル調の穏やかな色合いは、なんともいえない美しさを作り出します。す。
 039 ヤマモミジ 真駒内2012.6.23
これは、石山緑地沿いのヤマモミジです。ここの街路樹は、植栽されてから10~15年ほど経つのでしょうか?樹木自体それほど大きくなく、高さ3~5m 幹径10~20cm弱のものがほとんどです。若い樹ですので、5月中旬の春葉がでた後の伸張成長が盛んなために、その枝から出てくる葉が赤みや黄色味を帯びているのです。その葉が緑葉に映えて、特に午後3時以降の太陽の光に透かされるときに、一段とその柔らかい美しさを増します。
ヤマモミジ 石山緑地横
2012.6.23
上下2枚の写真も石山緑地沿いに植えられている街路樹ヤマモミジです。
033  ヤマモミジ2012.6.23

031 モミジ 豊平公園2012.6.16
豊平公園の中央にある芝生広場に植えられているモミジです。ノムラモミジのように見えますが違うようです。樹冠下部にいくほど葉は緑色を濃くしていきます。夕方少し前の太陽に照らされた葉は赤みを増し、周辺の緑に囲まれて、その陰影のある美しさが映えます。
006 モミジ イロハモミジ 南14条  -0012012.6.16
南14条西10丁目、山鼻小学校南側にあるイロハモミジです。道路沿いに現在30本ほどが残っているのでしょうか。説明板によると、大正4年(1915年)に当時の保護者会会長が京都嵐山より苗木200本を取り寄せて、全校児童によって学校周囲に植えられたと書かれています。
樹齢は100年前後です。樹高7~8m、幹径は20~25cmものが多く、中には幹径40cm強もある樹が数本あります。
札幌という北国で、この数の、この樹齢のイロハモミジが公共の道路に残っているのは、なかなかのものだそうですので、大事に守り育ててほしいものです。
にほんブログ村 写真ブログ 植物・花写真へ
にほんブログ村