アカイタヤ  大通西4丁目

モミジと言えばヤマモミジを思い浮かべます。 それでは、カエデは? 私は先ず最初にイタヤカエデが頭に浮かんできます。 カエデという名前のつく樹種には、イタヤカエデのほかに、ネグンドカエデ、カラコギカエデ、サトウカエデ、ハウチワカエデなどありますが、やはり、イタヤカエデが最初に出てきます。 札幌市内では質(大きさ)量(本数)共にイタヤカエデがずば抜けて多いからです。 札幌中心部の西1丁目から西12丁目までの大通公園や市内にある公園で見かけるモミジ・カエデ類で、その割合が多いのがイタヤカエデだからです。 大通公園で一番本数の多い樹がイタヤカエデだそうで、大通南側道路沿いには大きなイタヤカエデが並んでいます。 円山公園には幹周が2m以上ある大樹もあります。

このイタヤカデと花も葉も良く似ているカエデで、アカイタヤというイタヤカエデの変種があります。 街中ではときどき?というよりほとんど見かけない樹種です。
葉の形状は、
2013.6.15
左:アカイタヤ、右:イタヤカエデ

アカイタヤの葉は、イタヤカエデに比べて全体的に丸っこく、切り込みが浅く、その数は5裂。
北海道樹木図鑑では、
・アカイタヤ : 径6~14cmの偏五角形、浅く5裂し、裂片の先はとがり全縁(葉の縁にギザギザがない)、基部は浅心形~切形(葉柄に対し葉の基部は直角(水平)になる)。 しかし、写真の基部は浅いくさび形
・イタヤカエデ : 径5~15cmの偏五角形、5~7に中~浅裂、葉の裂け方、毛の有無などの変異が多い。

写真のアカイタヤの葉はイマイチで代表的な葉形ではなく、 基部の形状は切形(葉柄に対し直角)が普通。 これは失敗作。 葉柄は明らかにアカイタヤの方が長い。 

2016.4.27
大通西4丁目北西角
写真中央の黄色味を帯びえた樹冠の樹がアカイタヤ。 樹高は約15.0m。幹周:約2.0mの立派な樹です。 ちょうど花が咲いているところです。  アカイタヤ右の大きな樹はイタヤカエデ。

北海道樹木図鑑では、
「イタヤカエデは平地から山地まで、アカイタヤは山地に生える」
と記載されていますので、元々、平地(街中)に生える樹ではないのです。

時々定山渓温泉の湯に浸かりに行くのですが、ちょうどこの時期(5月上中旬)に国道230号線を定山渓に向って車で走ると、小金湯温泉を通り過ぎる辺りから、イタヤカエデとアカイタヤの黄色い花が道路縁に連続して咲いているのを見ることができます。 小さい花なので見過ごしてしまいますが、注意深く観察すると、少し緑色を帯びた鮮黄色のイタヤカエデと少し赤褐色味を帯びた黄色のアカイタヤの花が入り混じって咲いているのを見ることができます。 この花はイタヤカエデ? それともアカイタヤ? どちらかな?と樹種の判別に迷いながら眺めています。
さらに、定山渓温泉街から山肌を眺めると、まだ新芽の出ていない冬枯れの樹林に所々パステル調で黄色に染まる部分を見つけることができます。 おそらく、それらはイタヤカエデかアカイタヤなのだろうと思って眺めています。

2017.4.28
アカイタヤの黄色い花と赤みを帯びた新葉。 2014. 5.4
南区真駒内五輪公園
写真中央の黄色の花を咲かせている樹がアカイタヤ。 ピンクの花はおそらく、エゾヤマザクラ。