イヌエンジュ 冬芽

イヌエンジュ :冬芽
2018.1.7

冬芽は二列互生し、大きく、長さ5~8mmあり、広卵形ないし卵形で、先がとがり、扁平である。仮頂芽と次の側芽は接近し、やや大きく、二股分枝の枝をつくりやすい。勢いのよい枝では、冬芽はしばしば亜対生ないし亜二列互生となる。芽鱗は葉柄起源であり、暗黄褐色ないし暗褐色をし、短軟毛がはえ、2~3枚みえる。 (落葉広葉図譜)
イヌエンジュの冬芽は、大きさ・形状がアオダモに似ている。  しかし、イヌエンジュの冬芽と枝には白い毛が密生している。
冬芽の基部に白っぽい色をした半円が見えるが、これは葉痕。 その中に茶色の点々が2~3個見えるが、これは維管束痕(本来は3個)
イヌエンジュ 2012.12.23
写真左側の “ さや ” は実殻。

2018.1.7
イヌエンジュの小枝の出方は、冬芽が比較的大きめなので小枝もやや太めで、細い枝が少ないため枝の出方もすっきりしている。

イヌエンジュ(その5)

イヌエンジュは新芽が目を引きます。5月中旬、銀白色の新葉が開きます。
1-017 イヌエンジュ 柏ヶ丘2012.5.20
これは、国道453号線真駒内橋(エドウィン・ダン記念公園近く)から柏ヶ丘団地の斜面を撮っています。銀白色~萌黄色の新葉が斜面を連続して覆っています。
①冬芽
1-RIMG0033(赤字)2012.12.15
冬芽 : 形は広卵形で大きさは1cm前後。芽鱗の枚数は少なく2枚のものが多い。芽鱗に短毛が密生。
葉痕 : 形は半円系で、維管束痕が3個で、枝側に寄ってつく。
花軸 : 今年の夏に咲いた花の軸
枝  : 枝にも短毛が密生。接写すると、毛が密生しているのがリアルにわかります。黒い地肌に蜜毛が被うため白っぽく見えます。
実鞘 : 成熟した実(残念ながらピンボケ)
1-RIMG0035(赤字)2012.12.15
②新芽~若葉
1-060.jpg2012.5.17
5月中旬頃芽が吹きます。 葉全体が蜜毛に覆われていて、それで銀白色に光ります。
1-002 イヌエンジュ2011.5.22
芽吹きから1週間前後、銀白色に輝く新葉が目を引きます。
1-027 イヌエンジュ 真駒内めぐみ公園2011.6.2
しかし、銀白色の新芽から若葉に変わる頃、暗褐色の樹肌とそれから伸びる黒っぽい枝先につく萌黄色の若葉は他の樹々ではなかなか見られない美しさがあります。
③名前の由来
エンジュ(イヌエンジュではなく)は、古くはエニスと呼ばれていて、それが転訛したものといわれている。エニスの槐子(エスと読む)はエンジュの種子ことで、それが転訛したとのこと。
牧野植物図鑑には、
犬エンジュは、エンジュすなはち槐(エンジュ)に似ているが品がないのでイヌと名づけた。山の人はこれを単にエンジュと呼ぶので、槐のエンジュと混同することがある。エンジュにエニスという古名があるところを見ると、いわゆるエンジュは昔から日本にあった本種のことであって、槐のエンジュのことではあるまい。
ちなみに、エンジュは中国原産。
④Data
科名:マメ科
属名:イヌエンジュ属
学名:Macckia amurensis 小種名のamurensisは、アムール地方のという意味
花期:7月中下旬~8月中旬
分布:北海道中部以北
⑤余談
1-011 エンジュ 木口2011.4.25
これは、イヌエンジュの木口(断面)です。直径は10cmに満たない細いものです。イヌエンジュの辺材は黄白色、心材が暗褐色で他の樹木に比べて辺材と心材の色の違いがはっきりしています。この材は若いために白い辺材の部分が多いですが、太くなると暗褐色の心材の部分がぐっと多くなります。
このくらいの大きさのものを輪切りにして、表面をサンドペーパーで磨くと、表面につやで出てきます。黒く光って持ち上げると少し重みを感じ(重硬感がある)、コースターとしてはなかなかのものになります。
イヌエンジュはクワの代用としてかまち(床の間や床などの端にわたす化粧横木)、彫り物や彫刻の材料として使われる。また、非常に丈夫で狂いが少ないために洋風家具、机、棚、額縁、タバコ盆、などの比較的高級な材料として使われ、さらに、音響性がよいために三味線の胴に使われる。(日本有用樹木誌より)

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イヌエンジュ(その4)マメ科の実

1-047 真駒内公園2012.11.24
真駒内公園に行ってきました。ほとんどの樹木は葉を落としています。芝生が白く見るのは、先日降った雪の残りです。札幌の今日の最高気温は2℃です。郊外にある真駒内公園の最高気温は都心部より低いので0℃前後ではないでしょうか。12月中下旬?並の寒さだそうです。冬芽を接写で撮ろうとピントをあわすのに時間がかかると、素手だと痛くなってきます。
1-017 イヌエンジュ2012.8.11
これは、8月11日に撮ったイヌエンジュです。今年は数年に一度の見事な花が見られる年でした。
1-058 エンジュ2012.11.24
イヌエンジュは、アカナラやコナラと同じように紅葉(褐葉)時期が遅く、12月に入ってから葉を落とす樹なのでしょうか?
1-059 エンジュ2012.11.24
違うのです。これは、中に種子が入っている鞘です。ニセアカシア、ネムノキ、サイカチなどマメ科の樹木は、鞘の大きさは違いますが、このようにぶら下げるのが特徴です。街路樹のエンジュやニセアカシアは定期的に剪定されるため実をほとんどつけませんが、公園や自然林では、春先まで鞘をつけているのをよく見かけます。
1-060 エンジュ2012.1124
今年は街路樹でもエンジュの花が咲きました。ので、ちょっとそちらに気を向ければ、このような茶色の鞘を見かけると思います。

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イヌエンジュ(その3:今年は鈴なりに実をつけました)

1-017 イヌエンジュ2012.8.11
このイヌエンジュは、真駒内公園の五輪通沿い南側駐車場横にあります。高さは8mくらいで、そんなに大きくはなく普通の樹なのですが、落葉後の枝幹だけになると、枝の出方がはっきりと分かり、その柔らかく横に拡がる枝は、「これがイヌエンジュの樹形なんだ、このように枝を伸ばすんだ」と思わせる樹で、私にとっては、気になる木、イヌエンジュのキーポイント樹なのです。
1-017 エンジュ2011.3.20
話が逸れてしまいした。元に戻します。
この樹は今年、たくさんの花をつけました。イヌエンジュは毎年花を付けるのではなく、数年に1度、このように樹一杯に咲かせるようです。南区内の公園や街路樹もこの樹と同じようにたくさんの花を咲かせていました。確かにここ数年エンジュの花を見ていないように思います。
1-019 イヌエンジュ2012.8.11
1-013 イ9縫えんjy2012.8.25
数年に1度剪定している街路樹も、花を咲かせ、実をぶら下げています。
1-026 イヌエンジュ2012.9.29
7月中旬過ぎから咲き始め、8月上旬まで約1ヶ月間咲いているのですが、早いものは8月下旬に実を成らします。イヌエンジュはニセアカシアやフジと同じマメ科なので、当然のことですが、鞘ができ、写真のように鈴なりにぶら下がっています。
今年は数年に一度の生り年です。公園や街路樹で、樹木の濃緑色の葉の中に、黄緑色の鞘がぶら下がっているのを見かけたら、それはイヌエンジュの実です。

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イヌエンジュ(その2) やっと花が咲きました。

イヌエンジュの花がやっと咲きました。そして今満開です。同じマメ科のニセアカシアが白い花を樹冠一杯に咲せてから、もう1ヶ月も過ぎています。
035 イヌエンジュ2012.6.13
イヌエンジュの花芽は6月上旬頃から大きくなり始めます。
5月半ばに芽吹き、若草色の新葉が美しかったのは5月下旬~6月上旬です。その頃に、花芽が大きくなり始めているのです。
005 イヌエンジュ2012.7.20
それから約1ヶ月余かけてやっと開花です。この写真は、開花直前の花芽(円錐花序)です。
027 イヌエンジュ2012.7.28
029 イヌエンジュ2012.728
写真にすると一見豪華ですが、、イヌエンジュが植えられている道路を歩いても、その花に気がつかないくらい地味な花を咲かせます。一つの花房自体が小さく10㎝前後で黄色味がかった白い花を咲かせます。ニセアカシアは樹冠全体を真っ白な花で覆うのに比べて、エヌエンジュの花の咲き方は、花芽が大きくなり始めてから花が咲くまでの準備期間を十分に取ったわりに、おとなしい咲き方をします。
017 イヌエンジュ 平岸通2012.7.29
これは、平岸通の街路樹イヌエンジュです。しばらく剪定されていないようです。イヌエンジュにしては豪華に咲いています。
058 イヌエンジュ 真駒内公園2012.7.29
真駒内公園にあるエヌエンジュです。
今年は、全般的にエヌエンジュの花がたくさん咲いてるようです。

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