ウワミズザクラ   冬芽

 2016.11.14
冬芽は長さ3~5mmの卵形で、芽鱗は5~8個、色は赤褐色~赤紫色で無毛。 葉痕は三日月形~半円形でつきでる。 維管束痕は3個。 (樹に咲く花)
1-037 ウワミズザクラ2013.3.17
小枝は、暗紫色ないし灰紫色であり、横長の皮目が目立ち、側生枝は短枝化するが、落枝痕を残して落ち、その側方に冬芽(潜在予備芽?)をつけ、節くれだった枝となる。 (落葉広葉樹図譜)
ウワミズザクラの冬芽の特徴は葉痕です。 写真でもわかるように、枝から飛び出すというか、突き出ていて(落枝痕)、冬芽に比べて大きく目立ちます。 枝の白い斑点は皮目。

ウワミズザクラ

テレビの天気予報は関東以西でサクラが満開を迎えていると伝えています。2月の厳しくて寒い冬が一転して、例年にない早いサクラの開花になっています。
サクラの開花は温度が高くなることが基本ですが、その前に、サクラのつぼみが開花準備に入るため(冬の眠りから覚めるためには)ある一定期間冬の寒さにあたる必要があります。これを休眠打破といいます。そして、その寒さが厳しいほど、つぼみはその後の温度に敏感に反応するのだそうです。たとえば、2月の気温が高いと休眠打破が起こりにくくなり(目覚めが悪くなる)、3月の気温が高めでも、思ったほど早く開花することにはならないのだそうです。
今年の異常に早いサクラの開花は、2月の厳しい寒さと3月に入ってからの、特に中旬以降の春を通り越して初夏のような気温がサクラの開花を早めたようです。
しかし、札幌は相変わらす雪の世界です。札幌市の積雪の深さはまだ1m前後あります。今年の根雪が消えるのは、4月中旬になるのでしょうか。ちなみに、通常の年は4月上旬(3日)ですが、雪の消えるのが最も遅かった年は、1984年の4月16日だそうです。
先週の日曜日 森林総合研究所に行ってきました。雪は相当締まってきましたが、長靴で歩くとまだ雪の中に足をとられることがびたびあります。それで西洋カンジキを履いて樹木の中を散策です。夏場には下草が生い茂って入って行けない場所も冬場はらくらくOKです。そこで見つけたのがこれです。
1-037 ウワミズザクラ2013.3.17
見たこともない冬芽です。枝がゴツゴツした感じに見えます。冬芽の横の大きな丸い痕は何なんでしょう?葉痕?それにしては大きすぎます。うぅーんと悩みながら、「もしかしてウワミズザクラかもしれない?」と思い、同研究所の別の場所に樹高8~10mのウワミズザクラがあるので、そこに行き確認することにしました。二つは同じ冬芽の形態をしていました。特に、冬芽の横の丸い痕が同じです。これはウワミズザクラと確信しました。
その冬芽の横の丸い痕はというと、落枝痕なのだそうです。ウワミズザクラは小枝がパラパラと落ちる樹なんですね。
“樹に咲く花”には、「側枝は秋になるとほとんど脱落し、翌年の春に葉の展開とともに同じ節から伸びだすので、小枝は節くれだってジグザクになる。」とあります。
1-048 ウワミズザクラ2012.4.21
4月中旬に芽吹きます。
1-062 ウワミズザクラ2012.5.19
5月中旬につぼみがあがってきます。
1-058 ウワミズザクラ2012.5.27
そして、5月下旬にやっと開花です。樹冠全体に白い花を咲かせます。
1-060 ウワミズザクラ2012.5.27
1-059 ウワミズザクラ2012.5.29
ウワミズザクラは、シウリザクラやエゾノウワミズザクラと同じような姿の花を咲かせます。筒状をした花の長さ(花序)は15cm前後でしょうか
1-061 ウワミズザクラ2012.5.27
このウワミズザクラを公園や自然林で見たことがありません。札幌の周辺では見ない樹です。森林総合研究所で樹冠全体に真っ白い花を咲かせたウワミズザクラを見たときは、このような樹が公園などにもあっても良さそうだと思ったのですが、サクラはやはり、ソメイヨシノやヤマザクラのような咲き方をするのがサクラで、サクラという名がついても、サクラのようでサクラのようでない花を咲かせるウワミズザクラは、サクラとして扱ってもらえないようです。
名前の由来
牧野新日本図鑑では
ウワミゾザクラ(上溝桜)の転訛したものである。昔亀甲で占いを行うとき、この材の表面に溝を彫って使ったので上溝という。
いまいちはっきりしない説明ですが、亀甲占いってどんな占いなんでしょうね?
興味のある方は、以下のアドレスへ
http://ameblo.jp/kamemaru555/entry-11136120376.html
追記(2013.3.31)
ウワミズザクラという名の由来については、亀の甲の裏に溝をつけハハカの木(ウワミゾザクラの木)で起こした火で焼いてできるひび割れの形で占う亀トから、この木をウワミゾザクラ(上溝桜)といい、それが訛ったものとの説が広く行われているが、上溝ではなく占溝、裏溝あるいは占見と解する方がよいという深津正の考えが妥当であろう
「木の大百科」より
Data
・科名 バラ科
・属名 サクラ属
・学名 Prunus grayana
・花期 5月下旬~6月
・分布 日本、中国中部、本道は南西部 “北海道主要樹木図譜”では、「北海道南部の肥沃な林地に普通で、ブナノキ、エゾエノキ、トチノキ、アサダなどと混交。北限は小樽。」分布:北海道、本州、四国 

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