エゾヤマザクラ  てんぐ巣病

エゾヤマザクラはもうすっかり葉桜になって、いまちょうどサトザクラ(ヤエザクラ)が見頃を迎えています。
2019.5.12
写真は、石山緑地(南区)の一番南側、石山2号線沿いに列植されているエゾヤマザクラです。 普段見かけるエゾヤマザクラに比べると花つきが悪く、見頃を迎えている割には 本来の美しさに欠けます。 樹高は8m前後、幹径は20cm。

ここのサクラは平成6年の春に、公園樹や街路樹に植えられる規格(樹高3m、幹周12cm程)のものが植えられているので、樹齢は35年くらいでしょうか。 この場所は道路の両サイドが高くなっていて、そこに高木が生えているために朝は10時頃まで、午後は3時を過ぎると日が射さなくなり、この場所に来ると少しひんやりとします。 このような環境のためか、植栽後25年を過ぎたサクラにしては細身というか、元気がないように見えます。

そんなサクラにてんぐ巣病を見つけました。
2019.5.12
3~4年前にはこの病巣を見ていないというか、今春初めて気づいたのです。 20本?程植えられいますが多くのサクラにてんぐ巣病がついています
2019.5.12
てんぐ巣病に罹って、その重みで枝がたわんでいます。 葉は出ていないので、おそらくこのほうき状の枝は枯死したのでしょう。

エゾヤマザクラ 2019.5.13
てんぐ巣病がついている枝にはほとんど花が咲いていません。

<サクラ類てんぐ巣病>
病原:Taphrina wiesneri(Rathay) Mix
病張:一部の枝が異常に多く分枝し、樹冠の一部が鳥の巣状やほうき状になる。 てんぐ巣の基部は小さなこぶ状に膨らむ。 罹病枝上の葉は小形で少し縮れ、葉裏がやや粉白色(病原菌の子実層)になったのち、早期に褐変落葉する。 てんぐ巣部分はすぐには枯死しないが、いずれ枯死し、病巣の多い激害木は衰弱する。 また、罹病枝は花を着けないため観賞価値が著しく損なわれる。
備考:てんぐ巣部のこぶ状の部分を含めて幹部を切り取り、焼却する。 切り口にはチオファネートメチルペースト剤(トップジンMペースト)を塗布する。 エゾヤマザクラ、ソメイヨシノ、カスミザクラ、サトザクラなど多くのサクラ類に発生するが、ソメイヨシノは特に罹病しやすい。

(北海道 樹木の病気・虫害・獣害)

<てんぐ巣病>
てんぐ巣病(てんぐすびょう)とは植物病害の一種で、植物(多くは樹木)の茎・枝が異常に密生する奇形症状を示すものの総称である。高い木の上に巣のような形ができるためこの名がある。英語ではwitch’s broom もしくはwitches’ broom(魔女のほうき)という。
直接の原因としては、植物ホルモンの異常が考えられる(と考えられている)。通常は、頂芽から出るオーキシンがその下の腋芽の生長を抑えている(頂芽優勢)。しかしオーキシンに拮抗するサイトカイニンの量が多くなると、多くの芽が一度に生長することとなり、天狗巣症状が現れる。
これを起こす原因は様々で、菌類、昆虫、線虫、ファイトプラズマ、ウイルスなどがある。特に子嚢菌類タフリナ科に属するサクラのてんぐ巣病菌 (Taphrina wiesneri) がよく知られる。日本では、他にバッカクキン科の糸状菌・タケのてんぐ巣病菌 (Aciculosporium take) もタケノコの生産に支障をきたすために問題化している。
(ウィキペディア)

 

 

 

エゾヤマザクラ? モンクロシャチホコ

モンクロシャチホコ 2016.8.23
この時期に全く葉がない!! 枯れた? 何故?
真駒内公園内の園路を自転車で通過するときに見つけました。
ほとんど葉はありません。
モンクロシャチホコ 2016.8.23
全く葉がないエゾヤマザクラ?に近づいて見ると、 枝先には葉柄は残っています。 枯れたわけではなく、葉を食害されたようです。
薄い赤丸の中にモンクロシャチホコがいます。

モンクロシャチホコ 2016.8.23
主幹から枝先まで至るところにうじょうじょいます。
毛虫のモンクロシャチホコのようです。

加害樹種はサクラ、シラカンバなど広葉樹。 最大体長約50mm。小さなときは赤褐色で毛はまばら。 終齢は紫褐色で黄色の長毛が生える。
年1回発生。 蛹越冬。 成虫は6~7月出現。 幼虫は7~8月に数十頭の集団で葉を食害する。 毒毛はない。 (北海道 樹木の病気・虫害・獣害)

8月25日、丸裸にされたサクラを再度見ると、二日前まで枝先や太い主幹にうじょうじょいたモンクロシャチホコの幼虫は見当たりませんでした。 老齢幼虫は、木を降りて浅い土中でマユを作るのだそうです。

→ モンクロシャチホコの成虫

 

エゾヤマザクラ 冬芽

エゾヤマザクラ : 冬芽
Exif_JPEG_PICTURE2015.3.17
冬芽は、2/5のらせん生であるが、弱い枝では二列互生になる。 側芽(葉芽)は長卵形ないし長だ円形で、長さ5~6mmあり、やや開出する。頂芽は長卵形ないし紡錘形で、やや大きく、長さ6~8mmある。 芽鱗は栗褐色ないし明褐色をし、無毛で、つやがあり、8~10枚が覆瓦状に重なる。 花芽は太く、卵形ないし長卵形で、長さ6~8mm、径3~4mmあり、短枝ないし短枝化した枝に側生する。

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エゾヤマザクラ(その1):森林総合研究所 北海道支所

今(5月4日)、札幌はサクラが満開です。今年は、ゴールデンウィークがちょうどサクラの見頃(最盛期)と重なりました。円山公園、真駒内公園、モエレ沼公園などは多くの人で賑わっているのでしょう。今回は、いつもお世話になっている森林総合研究所のサクラ並木(エゾヤマザクラ)の紹介です。
025 エゾヤマザクラ 森林総合研究所2014.5.4
森林総合研究所の正面入口から研究本館に通じる約200mの道路の両サイドに約130本のエゾヤマザクラが植えられています。樹高は6~12mで、幹径は太いもので60~70cm、30~50cmが多いようです。植栽間隔は3~6m(おそらく植付け時は3m間隔で植えられたようです)。当研究所は、昭和49年に現在豊平公園になっている林業試験場北海道支場(旧名称)を当地に移設したもで、この並木(エゾヤマザクラの樹齢)は、開設当初に植えられたものなら、50年前後なっていると思われます。
042エゾヤマザクラ 森林総合研究所2014.5.4
病気に罹っている樹が少なく、樹の大きさも揃っていて、桜並木としてはなかなかのものです。強いて言うなら、道路両サイドに深い排水側溝が掘られていて危険防止のため仕方がないのですが、赤いセーフティコーンがいまいちいただけないです。
013 エゾヤマザクラ2011.5.14
<余談>ソメイヨシノとエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)の比較
1.分布及び特性等
(1)ソメイヨシノ
エドヒガンとオオシマザクラとの種間雑種と考えられる栽培品種。江戸後期に江戸染井村から「野桜」の名前で広まった。花付がよく生育も早いことから観賞用のサクラとして人気を呼び、明治期になると全国的に広く栽培され、名前も“染井吉野”とされた。今では海外でも数多く植栽されており、日本を象徴する栽培品種となっている。くびれが小さいがく筒には毛が多く、花柄が長く伸び花弁は丸く大きい。(日本の桜 勝木俊雄著)
(2)エゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)
北海道から本州・四国およびロシア極東部・朝鮮半島の冷温帯に分布している種。花が紅色なので「紅山桜」、北海道に多いことから「蝦夷山桜」とも呼ばれる。落葉樹林中で樹高が20mを超える大木となり、雪や寒さに強い。ヤマザクラより花弁が大きく鑑賞価値も高い。寒冷地では“染井吉野”と同じ頃に咲くオオヤマザクラがもっとも身近なサクラであり、“染井吉野”が育たない地域ではかわりに植えられることも多い。(日本の桜 勝木俊雄著)
東北地方の北部や北海道の代表的な野生のサクラ。中部地方や関東地方では標高800m以上に見られ、ヤマザクラやカスミザクラより高いところに生える。(樹に咲く花)
2. 花色 : ソメイヨシノは白に近いピンクですが、エゾヤマザクラは濃いピンクからソメイヨシノ近い薄いピンクまで幅があります。
3.花柄(花軸): ソメイヨシノのほうがエゾヤマザクラに比べて長いようです。
006 ソメイヨシノ、エゾヤマザクラ2014.5.5
左:エゾヤマザクラ 右:ソメイヨシノ
4.花数 : ソメイヨシノは2~5個(散形状又は散房状)の花を付けるのに対し、エゾヤマザクラは2~3個を散形状に付けます。
散房花序 (1)散形花序  散房花序散房花序
5.花と葉の出方 ソメイヨシノは花が先に咲いてから出葉するのに対し、エゾヤマザクラは先に出葉します。しかし、エゾヤマザクラは開花時に葉の目立つものと、ソメイヨシノのように開花時にほとんど葉が見えない樹もあり、それは樹によってばらつきがあります。
6.樹肌 : ソメイヨシノの白っぽい樹肌に対して、エゾヤマザクラは黒っぽいです。
001 ソメイヨシノ 2014.5.5
ソメイヨシノ
ソメイヨシノも樹齢を重ねると樹肌は黒っぽくなりますが、幹の上部及び枝は白っぽいです。
002 エゾヤマザクラ2014.5.5
エゾヤマザクラ
7.花柄(花軸)の毛の有無
003 ソメイヨシノ2014.5.5
ソメイヨシノ 有毛
005 エゾヤマザクラ2014.5.5
エゾヤマザクラ 無毛
8.開花時期
ソメイヨシノのほうが数日(3日~5日?)遅いように思います。