藻岩山のシナノキとオオバボダイジュ

先週土曜日(7月6日)、地下鉄真駒内線沿いの道路を自転車で走っていると、どこからともなく甘酸っぱい香りがしてきます。
011 オオバボダイジュ2014.7.6

写真中央の白っぽい花のようなものを付けている樹がシナノキかオオバボダイジュ。樹木の間から見える白っぽいものは地下鉄真駒内線のシェルター。
この時期に公園や街路樹で出合える“香り”です。「どこから来るんだろうか?」と辺りを見渡すと、はっきりとは分からないのですが、シナノキかオオバボダイジュの大きな樹が擁壁の上に枝を拡げています。
001-001.jpg2014.7.9
国道230号(石山通)、南33条辺りから藻岩山を撮っています。写真中央にところどころにこんもりとした白っぽい色の樹が見えます。おそらく、シナノキかオオバボダイジュの花が咲いていて、白っぽく見えるのではないでしょうか?
015 シナノキ2014.7.13
街路樹シナノキの花が満開
<余談:ハチミツについて>
〇 シナノキのハチミツ
シナノキ(オオバボダイジュ)というと、樹木ではニセアカシアと共に養蜂の蜜源植物として知られています。北海道でとれるハチミツはニセアカサアに次いで シナノキが多く、それから採れるハチミツは、その香り高さと濃厚な味からヨーロッパやロシアなどでは高級品とされ、高級蜜として扱われているそうです。
私自身は、「これがシナノキを蜜源としたハチミツだ」といって、食べたことがないので、その香りを知らないのですが、それは、おそらく、この時期にシナノキに近づくとかぐことのできる“香り”、あの甘酸っぱい、酸っぱいような独特の香りがするのではないでしょうか?
〇 ハチミツの効能
ハチミツは、体内に取り込まれてから素早くエネルギー源として働き始めることから疲労回復、ハチミツに多く含まれているカリウムが体内の余分な塩分を排出してくれる働きがあることから高血圧の予防、整腸作用があることから便秘や下痢の改善など数多くの効能がもあるとされています。その中で、面白いサイトを見つけました。関心のある方は以下のサイトへ
http://shuchi.php.co.jp/article/1888
〇 ハチミツとロイヤルゼリーの違い
働き蜂は花から花蜜と花粉を集めて巣に貯めます。働き蜂が花粉を食べて、腸で吸収し体内で合成された物質を頭部にある咽頭腺より分泌したものがローヤルゼリーです。一方花蜜を胃(蜜胃)で消化し、ブドウ糖と果糖に分解した後、口より巣房に戻され、これが熟成されて出来上がったのがハチミツです。このように、ローヤルゼリーは乳白色のクリーム状で酸っぱくて刺激臭があるのに対して、ハチミツは透明な淡黄色で甘いという違いがあります。
次にローヤルゼリーとハチミツの成分で特に大きく異なっているのが糖質であり、ローヤルゼリーが10%であるのに対して、ハチミツは78%もの糖質を含んでおります。その他にローヤルゼリーでは脂質、タンパク質もバランス良く含まれており、このような差が女王蜂と働き蜂の寿命や体格の差に影響を及ぼしているものと考えられています。
http://www.hit-1.net/royaljelly/rj-chigai.htm  転写元
〇 ロイヤルゼリーが世界的に有名になったお話
1954年にヨーロッパで起きたある奇跡的な出来事がきっかけでした。当時はローヤルゼリーがフランス保健省の認可を得て病院で薬品として処方され始め、少しずつ世間に知られるようになってきていた頃でした。
その頃、当時80歳を超えたローマ法王(ピオ12世)が肺炎により衰弱し、ありとあらゆる治療の甲斐もなく危篤状態に陥りました。ローマ法王とは全世界に13億人もいるといわれるキリスト教、ローマ・カトリック教会の頂点に立ち、「イエス・キリストの代理者」とも称される全世界のカトリック教徒の精神的指導者、いわば絶対的な存在です。そのローマ法王が死の淵に立っているというのですから、世界中が固唾をのんで状況を見守っていました。
このときローマ法王の主治医ガレアジー・リシー博士たちは当時の世界最高峰の医療技術で治療にあたりましたが、一向に病状は改善しませんでした。すがるような気持ちでローヤルゼリーを投与してみるとそれまで青白かったローマ法王の顔に生気が戻り、会話ができるようになったのです。その後もローヤルゼリーの投与を続けたところ、病状はどんどん改善していき、以前の元気な状態にまで回復しました。
この奇跡的な回復劇はドイツの国際学会で発表され、多くの有識者の注目を集めました。その後1958年にローマで開催された国際養蜂会議ではさらに衝撃的な事が起こりました。その会議でローマ法王自らがミツバチを「神の小さな創造物」と描写され、「私はローヤルゼリーのおかげで命が救われた」と演説して、ローヤルゼリーに対し感謝の意を示したのです。このセンセーショナルなニュースは世界中を駆け巡り、これをきっかけにしてローヤルゼリーは広く認知され、多くの人々がローヤルゼリーを求めるようになったのです。
http://www.rjkoutori.or.jp/knowledge/page/page_02.html  転写元

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オオバボダイジュ(その2):冬芽


076 オオバボダイジュ2011.4.10
冬芽は二列互生し、卵形ないし、広卵形で、先がややとがり、長さ5~8mmある。芽鱗は2枚みえ、托葉起源で、帯紫褐色ないし赤褐色をし、軟細毛が生え、外側が小さく内側が大きい。・・・・・・・・。
079 シナノキ2011.4.10
冬芽は二列互生して大きく、長さ7~10mmあり、卵形で、先が鈍く、無毛である。芽鱗は明褐色ないし帯赤褐色をし、つやがあり、托葉起源で、みえる2枚のうち、内側のものが大きい。・・・・・・・・・。
上述は、オオバボダイジュとシナノキの冬芽の詳細(広葉落葉図譜)ですが、実際にオオバボダイジュかシナノキかの区別は、冬芽と枝に蜜毛が生えているかどうかで見分けています。
016 シナノキ 真駒内九円2011.5.17
これは、真駒内公園内にあるオオバボダイジュとシナノキの群植です。5月中旬のちょうど芽吹き時期。夕日で赤く染まっています。わかりづらいですが、芽吹き出して少し緑っぽく見えるのがシナノキ、中央の背の高い、まだ芽吹いていないのがオオバボダイジュのようです。
<余談 その1>
オオバオダイジュは、枝や冬芽に蜜毛が生えているだけではなく、葉裏にも毛が密生していて、新葉の頃の風が少し強めのときは葉が裏返しになり、その白さで、「あの樹はオオバボダイジュだ」と気づくことがあります。
<余談 その2>
オオバボダイジュは上述のとおり葉の裏面が蜜毛で覆われているために白っぽく見えるのですが、この蜜毛が少なくて緑色に見えるのを“モイワボダイジュ”と言うそうです。「モイワ」は藻岩で、札幌中心部からほど近いところにある標高531mの藻岩山のことです。
また、本州には、葉はオオバボダイジュとシナノキの中間ぐらいの大きさで、裏面は粉白色を帯び、まばらに星状毛(蜜毛)が生える、シナノキとオオバボダイュの雑種と考えられている“ノジリボダイジュ”(樹に咲く花)があるそうです。
モイワボダイジュはオオバボダイジュの変種(北海道樹木図鑑)となっていますが、本州のノジリボダイジュのように、シナノキとオオバボダイジュの雑種という可能性はないのでしょうかね?

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シナノキとオオバボダイジュ(その2)

オオバボダイジュとシナノキは、共に樹高が15~20mになる北海道に自生する落葉高木です。公園に,街路樹として多く利用されています。札幌市内の街路樹について言えば、平成23年4月現在で約10,000本(国道:1,300本、市道・道道:8,700本)植栽されています。しかし、この数字はシナノキとオオバボダイジュを併せたもので、両樹種の正確な数字はわからないのです。その理由は、オオバボダイジュと言われている街路樹路線でもシナノキが混じっているのです。その例として、中央区大通西20~28丁目に植えられているオオバボダイジュの街路樹がありますが、その中にシナノキが混じっているのです。
011 シナノキ2011.7.2
これは、大通西20丁目以西の街路樹オオバボダイジュを7月上旬に撮ったものです。この頃になると、両種の違いはほとんど分からなくなります。
公共工事で使う樹木は、現在は実生の育苗ものがほとんどと思いますが、昭和40~60年代の公共工事が盛んであったころは、山採りを利用することも多く、両種が混じるケースもあったようです。札幌市で、シナノキとオオバボダイジュの街路樹本数を合算してい扱ってきたのも、その見た目の類似性によるもののようです。
しかし、見た目による類似性もよく見るとその違いはあります。
153 オオバボダイジュ シナノキ2012.5.13
これは、真駒内公園のシナノキとオオバボダイジュの群植です。まだ新葉が少なく芽吹き初めのがオオバボダイジュで、新葉が青々としているのがシナノキです。石山緑地(北ブロック)にも両種があるのですが、やはり、オオバボダイジュのほうが出葉は遅いです。1週間前後の差があるように思います。
葉が成長してしまう夏場になると両者の違いは分かりづらくなるのですが、オオバボダイジュは新葉から若葉までの期間、葉裏が蜜毛におおわれているため樹冠全体が白っぽく見えます。044 シナノキ2011.5.19
041 オオバボダイジュ2012.5.30
上の写真がシナノキで、下がオオバボダイジュです。オオバボダイジュの葉柄を見てください。蜜毛に覆われて白く見えます。オオバボダイジュの葉裏もこれほどでないにしても 蜜毛が多く白っぽく見えます。
041 シナノキ(字入り)2012.7.21
シナノキには、新梢にも葉柄にも新芽にも毛はありません。
040 オオバボダイジュ(字入り)2012.7.21
一方、オオバボダイジュには、葉柄と新梢にびっしりと毛が生えています。そして新芽にも
このように、オオバボダイジュは枝葉に蜜毛がおおいことから、遠くからでも白っぽく見える原因 のようです。
109 オオバボダイジュ (マル付き)2011.5.30
先程の大通西20~28丁目の街路樹オオバボダイジュを5月末に撮ったものです。
オオバボダイジュの芽出しがシナノキより少し遅く、芽出しから新葉時にかけて樹冠全体が白っぽく見えることを念頭において、ここの街路樹を見ると、赤丸の樹がシナノキのように思えます。

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