キタコブシ  知事公館

2017.4.29
北海道知事公館にあるキタコブシです。 樹高は17~18mくらいあるのでしょうか。 双幹で1本は幹周146cm、もう1本は164cm。 樹形はきれいな三角形で、このクラスの大きさのコブシにしては見事なものです。
2017.4.29
樹上の花は花弁が褐色に変色しているものあり、また、地面に花びらが落ちていたりで、最盛期は過ぎています。 しかし、遠くから見える白いレースカーテンで覆ったような樹姿は、春空に浮かぶ薄い雲を連想したり、幼い頃の懐かしい味の綿菓子を思い出したり、何とも言えないふんわりとした美しさを漂させています。
2017.4.29
知事公館庭園の一般公開は毎年4月29日なので、その年よってはほとんど花が終わっていたり、またある年では花があまり咲かない年であったりと、なかなか美しい開花に出会うチャンスは少ないものです。 毎年ではないですが、7年通って初めてその美しさに出合えました。

 

 

春の訪れ  藻岩山のコブシ

2017.4.26
4月中旬に札幌市中心部に訪れた春もだんだんと郊外へ拡がっています。
写真は、国道230号(石山通)南35条辺りから藻岩山の裾野付近を写しています。
コブシが咲き始めました。 この辺りは車でよく行き来していて毎年見ているのですが、「こんなにコブシの樹があったのか?」と思うくらいたくさん咲いています。
尾根筋に樹冠が薄ぼんやりと赤く染まっているのはカツラでしょうか?
キタコブシの花が終わる頃、エゾヤマザクラの淡いピンクが山の斜面に彩りを添えます。

キタコブシ 冬芽

きたこぶし : 冬芽
キタコブシ2011.3.13
冬芽は二列互生し、、1対の芽鱗は緑色で、黄土色ないし灰色の長い絹毛に蜜につつまれる。頂芽は紡錘形で、小さく、長さ4~6mmあり、ほぼ伏生する。 短枝では、1個の冬芽が頂生する。 花芽は頂生し、大きく、長卵形で、先がとがり、長さ20~27mm、幅10~13mm
ある。
コブシ 葉芽2012.4.15
上が花芽で、下が葉芽。

 

 

キタコブシ(その3)

4月下旬、周辺の山々がまだ灰褐色の色合いの中で、ぽつんぽつんと白いもの、コブシの花が咲き始めます。ゴールデンウィーク頃には、山のあちらこちらにコブシの花を見ることができます。
1-157 コブシ2011.4.30
キタコブシの花です。右上のピンクの花はエゾヤマザクラです。
①冬芽
1-070 キタコブシ(赤字)2011.3.13
①花芽:花芽は長い毛に覆われています。もしかして、葉芽の左側にあるのは退化した?、出来損ないの芽鱗なのでしょうか?写真を見て初めて気づきました。キタコブシの芽には芽鱗はないものと思っていました。
②葉芽:短毛が密生。花芽と葉芽では同じ樹種とは思えないくらい様相が違っている。
③葉痕:V字型をしているのが維管束痕。その上の丸っぽいのは葉芽なんでしょうか?
④皮目:白っぽいのが皮目
1-022 葉芽(赤字)2012.4.15
②名前の由来
・拳の意味で、つぼみの形によるものである。実をかむと辛味があるので、昔はこれをヤマアララギまたはコブシハジカミといった。ヤマアララギは山に生えて辛味があるから言ったものだろうし、コブシハジカミのハジカミはサンショウのことで、サンショウのように辛味があるという意味である。(牧野新日本植物図鑑)
・こぶしの名はつぼみによるとするのが通説で、古い歌に、「時しあればこぶしの花もひらけたり、君がにぎれる手のかかれかし」というのがある。しかし、秋成熟した果実の形がもっと拳の形に近いので、これによるものだという人もいる。(木の大百科)
1-004 コブシ2012.9.1
1-034 コブシの実2012.10.12
上の2枚の写真はコブシの果実です。9月初めと10月中旬に撮っています。あいにく、つぼみの写真ファイルがなく、つぼみと果実の二つを比較できないのが残念ですが、私としては、夏の終わりにできる果実、果実のもこもこ感が手を握った拳を連想させ、木の大百科の後者の意見を持ちたいです。
③Data
科名 モクレン科
属名 モクレン属
学名 Magnolia kobus var.borealis Sarg * boreais は北方の意
花期 4月下旬~5月上旬
分布 北海道、本州中部以北
④知事公館のコブシ
1-211.jpg2012.4.30
樹高は12・3m~15m弱くらいでしょうか。コブシの独立樹です。撮影日が4月30日ですので、都心部だと花は咲いているはずなのですが、ほとんど咲いていません。上の枝先に白いものがぽつんぽつんと見えます。それが花です。今年は花が咲かない年なのでしょう。
この樹を撮った目的は、整然と伸びた枝先ときれいに整った樹形のためです。花が咲いていないので、かえって樹形の美しさが目を引きます。

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キタコブシの花弁数

5月2日に「春を告げる樹の花」でキタコブシを取り上げましたが、各樹木図鑑で、花弁の枚数や用語の使い方が異なっていました。
①北海道主要樹木図譜では、がく片が3枚、花弁が3枚、
②北海道樹木図鑑では、花弁が6枚、
③樹に咲く花では、花被片という用語を使って、外側に小さい花被片が3枚、内側に大きい花弁状のが6片
それで、実際にキタコブシの花を調べてみました。
その前に、花被片という目新しい用語も出てきましたので調べてみました。
「花被片」とは、がくと花弁を併せて花被片という。
花の構造は、がく片、花弁、雄しべ、雌しべの4要素で出来ている。普通の花は、この4つの器官がはっきり区別できるが、チューリップなどのように、がく片も花弁も同じように発達して、両者の色や形が似ていることもある。この場合は、外側のがく片を外花被片、内側の花弁を内花被片と呼ぶ。(「世界の植物」より)
とりあえず、「花被片」の意味が分かりましたので、実際に撮ってきたキタコブシの花を見てみます。
045 キタコブシ2012.5.4
自宅近くのコブシの花です。
キタコブシの花を逆さにして、花の基部を拡大して見ています。白色の部分が一般的にいう花弁です。花の基部から細長い先の尖った緑色の1cm弱のがく片状のものが見えます。写真では2個しか見えませんが、これが3個あります。
044  キタコブシ
この写真は、同じコブシの表側を撮ったものです。
白い花弁が6枚あり、3枚を1組にして2段になっている感じです。
この花のがく片状のものは小さく、花弁とは形状・大きさ共に明らかに違います。いくつかの花を調べたのですが、写真と同じです。
この段階で、私は、「樹に咲く花」でいうように、わざわざ「花被片」という用語を使う必要はないのではないか?、明らかに形状・大きさが違いますから、がく片3個、花弁6枚でいいのではないか と思いました。
北海道主要樹木図譜については、がく片3枚、花弁3枚とするなら、小さいがく片状のものについての説明が必要です。なのに言及されていません。北海道樹木図鑑も同様です。
(初心者用には、そこまで説明するとページ数が膨大になる等の理由から省いているのだと思いますが・・・・)
5月6日、自転車で、真駒内南町にある北海道警察学校の横を自転車で走っていると、手に届くところに花が咲いているキタコブシ3本を見つけました。その樹の花を調べました。
1本目は、先日見たキタコブシと同じで、小さいがく片状のものが3個と花弁が6枚ある花でした。同じ樹の花をいくつか調べましたが、いずれの花も構造は同じでした。
次に、2本目の樹を調べました。
106 キタコブシ
花の基部の左下に、細くて先がカールしているがく弁状のものが見えます。
このがく片状のものは、最初の写真のものより大きめの形をしていますが、1個しかありません。新葉や花柄の軸に隠れて見えないのではなく、1個しかないのです。表側から見ると
107 キタコブシ
花弁数を数えてみてください。何枚ありますか?8枚です。2枚のがく片状のものが花弁に近い形状に変化しているのです。この写真では、花の中心左下に、通常の花弁ほど大きくはないですが、白くて細長い花弁状のものが見えます。これが、がく片状のものから花弁になりかけのものなのでしょう。もう一つはどれが花弁化しているのか分かりません。
この花の花弁の付き方も通常6枚の花に比べるといびつです。
4本のキタコブシしか調べていませんが、花弁が8枚ある花を持つコブシの樹には、別に、小さいがく片状のものが2個と花弁が7枚の花もありました。
キタコブシは、がくのようでがくでない、花弁のようで花弁でない、どちらともつかない中間的な形状の花が少なからず出てくるようです。
その意味で、各樹木図鑑は、そこの部分で説明が不足しているように思います。
もし書くとすると、「がく(外花被片3個)は、多くの個体は細くて小さいが、個体によっては、大きくなって花弁化することもある」ぐらいなのでしょうが、図鑑の限られた紙面からすると、字数が多すぎるのでしょうね。
以上が、キタコブシの花弁について調べた結果です。
自分で読み返しても分かりづらいです。
最後まで読んでいただいた方には、感謝します。