キリ(その2):冬芽

084 キリ2011.3.13
004 キリ2011.3.19 005 キリ2011.3.19
冬芽は、対生して、球形ないし球状円錐形で、長さ3~8mmあり、ときに予備芽を伴う。燐片は灰褐色ないし帯紫褐色をし、短軟毛がはえ、2~3対が覆瓦状に並ぶ。頂芽は発達しないので、2~3位の側芽が発達し、二股分枝の枝ぶりになりやすい。(落葉広葉樹図譜より)
落葉広葉樹図譜では、「冬芽に短軟毛がはえ」と記述されていますが、この写真ではそれが確認できません。撮影時期が3月中旬ということもあるのでしょうか?
114 キリ 精進川公園2013.3.19
樹高約10m
081 キリ2011.4.9
花が咲いた年は、大きい実殻(さく果)が枝にのこる。
<余談>
桐箪笥といえば高級家具の代名詞です。①湿気を通さず、②割れや狂いが少なく、③燃えにくいといわれています。
①と②の理由は、キリ材が軽くてやわらかいことによるようですが、③について“日本有用樹木誌で”詳しく説明しています。
昔から桐箪笥が燃えにくいといわれている。科学的データでは、火がつきやすいかどうかは熱の伝導性に依存するのであるが、キリの熱伝導性は他の材より小さいので燃えやすいことになる。桐箪笥が燃えにくいといわれる理由は、①キリの材には他の樹種と違って木材内部に※柔組織が多く、乾燥による収縮、変形が小さいために、燃焼によって割れや隙間ができない、②表面が燃えて炭化層ができ、これが断熱層として働き、熱を内部に伝えにくくする。これらの理由により燃えにくいと考えられている。実際に、小さい桐箱を燃やしたところ箱の中の温度が100℃になるまでに8分かかったという実験例があるそうだ。この間に消化できれば被害が抑えられるという。
※柔組織:樹木の幹の内部(組織)は、①水分の通り道である主に道管(組織)、②木を支えるの木部繊維(組織)、③養分の貯蔵機能で柔組織があります。通常の樹木は、体を支える組織(木部繊維)の割合が60~70%程度あるのですが、キリは約40%で、その分③の柔組織が多い。丈夫でしっかりした木部繊維が少ないことが、やわらかくて軽い性質になっているようです。

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キリ:はぁっとする美しさ

6月中旬、街中の住宅街でキリの花の出会うと、一瞬その鮮やかさにはっとてしまいます。
1-031 キリ(赤字)2013.6.15 精進川公園
キリは、6月の澄み切った青空に樹冠一杯に薄紫の花を咲かせます。札幌の6月は、ツツジ、シャクナゲ、ライラックなど多く樹木が赤、白 黄色と鮮やかな花を咲かせます。しかし、それらはほとんど株物です。
ナナカマド、ニセアカシア、ミズキ、ハクウンボク、アズキナシ、ホオノキ、サンザシなどこれらの高木は6月に花を咲かせますが、ほとんどの花は白色です。色鮮やかな花を咲かせるのはベニバナトチノキとキリぐらいでしょうか。特にキリは樹高が10mと高くなるので、街中でも遠くから良く見えて目立ちます。そんなこともあって、街中でキリの花に出会うと一瞬はっとすると言うか、思いがけない喜びを感じます。
1-032 キリ(赤字)2013.6.15
キリの花は、葉が展開する前後に花を咲かせます。枝先に15~20cmもある大きな円錐花序をつくり、それを真っすぐ上に立てて薄紫の花を多数付けます。
1-035 キリ(赤字)2013.6.15
1-036 キリ(赤字)2013.6.15
キリの花の寿命は短いようで、円錐花序の花冠にまだ咲いていない蕾がある一方で、最初に咲いた花が地面に落ちています。精進川公園のキリではないのですが、他の住宅地にあるキリの花を今日(6月22日)見に行ったのですが、すっかり花は落ち、茶褐色の花軸だけが残っていました。キリの開花期間は短いようです。
1-038 キリ(赤字)2013.6.15
キリの筒状の花弁外側には細かい毛がびっしり生えています。
1-014 キリ 南12条order=2013.6.15
6月中旬に開花して、その2ヵ月後には、来年に咲く花の蕾が出来上がりつつあります。
1-037 キリ(赤字)2011.9.11 森林総合研究所
これは、キリの親木の横から出てきたヒコバエと思うのですが、1年でこれぐらい成長するようです。自分の背丈より高く、2mは超えていたと思います。葉もでかいです。縦横とも50cmはあると思います。
かつて日本では娘が生まれたら、桐の苗木を植え、嫁入りするときには、その木でタンスを作ったと言われています。20年ほどでタンスが作れるほど成長が早い木であることは、これで十分理解できます。
<余談:世界の植物より)>
キリは成長がいちじるしく早いため、その材は日本産の材のうちもっとも軽く、比重は0.27~0.3ぐらい。工作がきわめてやさしく、のり付けもしやすい。年輪がはっきりしており、辺材と心材の区別がない。色はくすんだ白かまたは褐色をおび、木目と光沢が美しい。湿気をあまり通さないうえ、割れたり狂ったりすることがなく、熱の伝導性も少なくて燃えにくい。これら材の性質が、「タンスは桐」と言われる所以でしょうね。
1-059 キリ(赤字)2011.6.12
これはキリの若葉です。葉と葉柄に長い毛(腺毛)が密生していて、指で触るとふわっとします。
1-061(赤字)2011.6.12

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