サンシュユ  冬芽

2014.11.20
サンシュユの赤い果実と冬芽。 果実は長楕円形で、ナツグミに似る。
冬芽はほとんどが花芽のようである
 
2011.10.21               2013.11.18
冬芽は対生し、長卵形で先がとがり、やや偏平し、長さ2.5〜4mmあり、やや開出する。 頂芽はやや大きい。 芽鱗は灰褐色をし、短毛ないし垢状毛がはえ、2枚が接合状に冬芽を包む。 花芽は短枝に頂生し、ほぼ球形で、やや先がとがり、2枚の芽鱗につつまれ、径4mmくらいあって、黄褐色である。(落葉広葉樹図譜)

2016.4.27
高木類のほとんどがまだ芽吹いていない4月下旬、エゾムラサキツツジやレンギョウの花が街中に目立つ頃、サンシュユの淡黄色の花が満開を迎えます。
写真は、北2条通に面する北大植物園南側。 歩道右側のガラス屋根は北大植物園の温室。

⇒ サンシュユ
⇒ サンシュユ(その2)

 

 

 

 

サンシュユ 冬芽

2013.11.18
冬芽(花芽)は、短枝に頂生し、ほぼ球形で、やや先がとがり、2枚の芽鱗に包まれ、径4mmくらいあって、黄褐色である。(落葉広葉樹図譜)
短枝には輪状に筋が周っているが、その筋毎に花芽を付けていて、この枝で5~6生のようである。
2011.10.21

2013.11.21
冬芽(葉芽)は、対生し、長卵形で先がとがり、やや扁平し、長さ2.5mm~4mmあり、やや開出する。 芽鱗は灰褐色をし、短毛ないし垢状毛がはえ、2枚がが接合状に冬芽をつつむ。
(落葉広葉図譜)
サンシュユの成木ではほとんどが花芽で、葉芽は目立たない。 緑色の丸印の中ものが葉芽のようである。

 

サンシュユ(その3):赤い果実 

11月28日のブログ、“サンシュユ(その2)”の続きです。
1-022  サンシュユ2014.11.30
サンシュユの実は、長さ1cm強~1.5cmの長楕円形で、その中に長さ1cm程の種子が入っています。 それを食べてみました。 口に入れると最初 “グミ” に似た甘い味がします。 その後、甘苦い味が口の中に拡がります。 ニガキのようにつばを吐きたくなるような強烈な苦味ではないのですが、“グミ”の味より、その甘さの中にある苦味の方が印象に残ります。そんなに食べられるものではありません。
サンシュユは、江戸時代半ば(享保7年:1722年)に、朝鮮から薬用として果実が渡来したのが最初といわれている。秋、赤く熟した果実の核をのぞき、果肉をほしたものを薬用で “山茱萸(サンシュユ)” といい、煎じて強壮、強精薬、健胃剤とし、また、果実酒として飲用する。 朝鮮半島中北部と中国の浙江省晶化※ 付近に野生し、晶化では果肉をとるために栽植していた。 (世界の植物より)
※晶化 : 上海の南約300kmにある温州市郊外にある場所のようです。
<余談>
インターネットでサンシュユの画像を見ると、赤い実が枝にびっしりついている写真を見ます。
→  サンシュユの実がたわわに生っている写真
一方、 札幌市内の公園などで見るサンシュユは、花はきれいに咲くのですが、赤い実はポツポツとしかつけないのです。 「札幌は北国で寒いし、植えている場所が公園だから、剪定はしていないし、確実に肥料もやってはいないだろうし、 だから、札幌では実を大してつけないのだろう」 と自分で勝手に結論づけていたのです。 ところが、当ブログを書くために、インターネットで調べていたら、札幌の方でサンシュユを庭に植えていて、それがたくさんの実をつけている写真を載せているブログを見つけてのです。
→  花ときどき十七音
これだけ実をつければなかなかのものです。
サンシュユは、高木の中では春先一番に花を咲かせる樹です。 他の樹木が長い冬を終えてやっと芽を出す頃に花を咲かせます。 北国の人々にとって“春”を待ちわびていた最初に花を咲かせてくれる樹です。 そして、10月には赤い実をつけます。 それは、薬用になり、果実酒もつくれます。 そして、この樹は比較的生長の遅い樹でそんなには大きくならないので、 剪定もあまりする必要はないようです。 北大植物園にあるサンシュユは8mくらいの大きさになっていますが、精進川公園、藻岩小学校、個人の庭で見る樹は、樹高3~4mです。

成長が比較的遅く、樹冠がこじんまりとまとまり、薬用・果実酒として利用できるとなると、個人の庭や小さな公園などにピッタシです。 もう少し街中にあってもよそうな樹ではないでしょうか? それにしても、あの赤い実のサンシュユの果実酒を一度つくってみたいものです。

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サンシュユ(その2)

サンシュユの実が赤く色づいています。
札幌にまだ新緑が少ない5月上旬、公園や個人の庭にレンギョウやエゾムラサキツツジの花が咲く、ちょうどそれと同じ頃にサンシュユの花も開花します。   花・樹形はサンシュユ(その1)、20123.5.10ブログ参照
1-014 サンシュユ2014.11.23
札幌で最も早く咲く花も、実が赤くなるのは10月です。 実の大きさは、1.5cmの長楕円形です。 接近して撮ると赤くてかわいい実に見えますが、
1-013 サンシュユ2014.11.23
樹冠全体を撮ると、 このように赤い実の数が少ないためか、付いているかどうか気づかないくらい目立たないです。 しかし、 このサンシュユの実は、果実酒や果肉を乾燥させて薬用に利用されています。 薬用については別の機会に。
<追記:2014.12.9>
自分が今まで見たサンシュユの樹は、実の生りかたが少なかったので、札幌(北海道)ではこんなものかと思っていたのですが、札幌在住の方のブログで、サンシュユの樹に赤い実がたくさん生っている写真を掲載されているので紹介します。
→ 花ときどき十七音
これだけの実を生らせるには、ブログの方は肥料をきちんと与えられているのでしょうかね? 公園など公共に植えられている樹は無施肥なので、実が少ないのでしょうかね?
1-019 サンシュユ2012.5.26
1-041 サンシュユ 精進川公園2011.6.8
花が終わってしばらくすると、小さな実が出来始めています。
1-099 サンシュユ2010.8.10
写真は長枝。 サンシュユの葉の特徴は、①対生、②鋸歯のない全縁、③葉脈(即脈)がはっきりしていることです。
1-007 サンシュユ2011.8.12
8月になると実の大きさは完成です。
1-022 サンシュユ 精進川公園2011.10.21
そして、10月になると赤く熟します。 葉柄基部についている1対の丸いつぼみは、来年花の咲く花芽です。

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サンシュユ

札幌にもやっと春らしい陽気(5月8日:水)がやってきました。最高気温は13℃と例年のこの時期としては低いのですが、今年は今までが寒すぎたために、この気温で体に当たる風は冷たくても、やっと春が来たと思える陽気になりました。札幌の中心部にある大通公園にはコブシ1-016 コブシ 大通西7丁目?やレンギョウ1-020 大通4・5丁目が遅まきながら咲き始めています。
これらの樹木と同じように春一番の開花を競う樹木があります。サンシュユです。
1-RIMG0015.jpg2013.5.8 精進川公園
樹の大きさは3m強です。背後にある樹木は、ちょうど芽吹き始めたナナカマドです。
1-RIMG0018.jpg2013.5.8
まだ、花弁は開いていません。正確には開花と言えないのですが、つぼみが開いてその中から雄しべの白い葯(やく)が出てきてそれが見えるより、花弁が閉じているつぼみの方が黄色が鮮やかに映るように思います。
1-RIMG0012-001.jpg2013.5.8
1-052 サンシュユ2012.4.30
これは北大植物園にあるサンシュユです。樹高は8m前後ありそうです。サンシュユとしては大きい部類(最大級?)に属するのでしょう。
以前夏場にこの樹を見て、「春の開花時には樹冠全体が鮮やかな黄色に覆われると美しいだろうな」と思っていたのですが、その翌年、いざ見てみると花はまばらで鮮やかさに欠けるのです。周りにブナの高木がサンシュユの上部を覆っているために花芽がつきにくいのか、それともその年がたまたま花付きの悪い年だったのかその理由はわりませんが、残念というか期待はずれでした。見上げるような高木の樹冠全体が鮮やかな黄色に覆われるサンシュユを一度見たいものです。
この樹のもう一つの特徴(目を引くところ)は樹肌です。
1-102 サンシュユ2012.5.28
一見すると、樹肌は白っぽくザラザラしている感じですが、
1-101 サンシュユ2012.5.28
よく見ると、プラタナス、ナツツバキやヤマボウシと同じように、樹肌が斑模様状に剥げ落ちていくタイプようです。
このサンシュユは公園はおろか個人の庭でもほとんど見かけません。ここで紹介した精進川公園と北大植物園以外では、南区にある藻岩小学校の校門横の植込みぐらいです。市場での流通量が少なく手に入れるのが難しのでしょうか。それでも、春一番に花を咲かせ、成長がゆっくりで大きくなっても8m位ですから、個人の庭や小さな公園にぴったりです。街中にもう少しあってもよさそうな樹です。特に札幌のように半年近くを雪の中に埋もれる北国では、人々の春を待ちわびる気持ちは一際強く、春一番に花を咲かせるサンシュユは最も喜ばれる樹木と思うのです、いかがでしょうか?
名前の由来
牧野新日本植物図鑑では、
サンシュユは漢名を山茱萸とみていて、それの音読みである。この漢名の宛て方に疑問を持ったので、前版では春黄金花と名付けたが、これは春に黄色い花が咲くからである。
Data
・科名 ミズキ科
・属名 ミズキ属
・学名 Cornus officinalis
・花期 4月下旬~5月状中旬
・分布 中国、朝鮮半島

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