ドロノキ  強剪定 

2022.9.17
豊平川沿いの国道230号線を自転車で走っていて、写真のドロノキが枯れているのに気づきました。 樹の大きさは7~8mくらいでしょうか。 確か、この樹木は3年前?の令和元年(2019年)の夏に葉っぱが1枚もなくなる丸裸(強剪定)の状態にされtていたのを記憶しています。 その後の枝の伸び方を見ると、強剪定されたその年は新しい枝は全く出なかったのですが、その翌年(一昨年)と翌々年(昨年)は枝が伸びたのです。
2022.9.17
では、強剪定されてから2シーズンは新梢が伸びていたにもかかわらず、なぜ今夏突然枯れてしまったのでしょうか?
樹木が葉を1枚もなくなるほど強剪定をされたとき、このドロノキの根や幹はどのように反応するのでしょうか?
先ず根です。根にも太根や細根といろいろありますが、水分や窒素、リン酸などの養分を吸収できる根は根の先端付近あるの根毛です。 この根毛は根の表皮細胞が突起したもので、長さは80~1200µm(マイクロメートル)です。 1µmは0.001mmなので、最も長い根毛(1200μm)でも1mmちょっとで、ほとんどの根毛は目に見えないくらい細くて小さいものです。 それがすべての根の先端付近にびっしり生えているのです。 この根毛の寿命は数日から数週間と言われています。
太根、細根、根毛すべての根は呼吸をしていて、常に水と空気と養分を必要としています。特に根毛は寿命が短いために新しい根を常に出し続けなければならないので、葉でつくられる養分が途絶えると、新根を作り出すことができなくなります。 それでは、どうするのでしょうか? とりあえず、太根などに蓄えている養分を使って新しい根を出すのです。
それでは、地上部の幹ではどうなっているのでしょうか。 写真で分かるように、このドノノキは強剪定されて太枝しか残っていないので、新芽を出しにくいのですが、太枝などにも潜伏芽といって、幹枝の内部に長く休眠している芽があるので、それが活動し始めるのです。 それらの芽も太枝から芽を出して枝を伸ばすには養分が必要になります。 強剪定されて葉が全くないので幹枝内に貯えてるある養分と水分を使って芽を成長させます。 それが強剪定された翌年に伸長した新梢と思われます。
翌々年の2年目になると、このドロノキも少しですが新梢も根も伸びたので、このまま元気に成長してくれそうに見えたのですが、そうではなかったのです。3年目の夏になるとすべての枝が枯れあがったのです。
なぜでしょう? その原因は二つ考えられます。 一つは、根から運ばれてきた水分や養分を運ぶ導管が機能不全に陥った(導管の機能不全とはどのような状態のことをいうのか説明はできないですが、虫やカビなど病虫害によるものか?、それとも生理的なものなのか?とりあえず、可能性として挙げてみました )ことです。 二つ目は、葉の蒸散による水分を引き上げる力が弱かったことと、根圧が足りなくて地下に新しくでてきた根からの水分と養分を樹冠上部の葉まで上げられなかったことです。
世界には100mを越す高木がありますが、これらの樹木はその一番高いところにある葉にどのように水を上げているのでしょうか? 植物が水を高い所へ持ち上げる仕組みは、根圧による水を上部に押し上げる力と葉からの蒸散による水を引き上げる力によるものです。 水は細胞膜を通して濃度の低い方から高い方へ移動しますが、根毛の細胞内水溶液は土壌中の水分より濃度が高いために、水は根の方に移動し細胞内の圧力を高めます。 これを根圧といいます。
100mを越す樹木がてっぺんの葉に水を上げることができるのは、樹冠一杯に拡がる葉からの蒸散による水を引き上げる力と、地下の縦横無尽に広がった根、その先端付近の根毛が水を吸収する力、それらひとつひとの根毛が吸い上げる力、その集合体としての根圧が100m先の葉に水と養分を届けるのです。
このドロノキは、おそらく、強剪定されたために葉で養分を作ることができなくなり、それでも生きようと樹体内に貯えていた養分を使って新芽と新根を出すのですが、いかんせん、貯えを消費するだけで、光合成をして養分をつくる葉からの養分補給がないために、新梢も新根も十分に成長するることができなかったのです。 葉も根も十分でないということは、蒸散による水を引き上げる 力も水を押し上げる根の根圧も小さいことを意味します。 水を樹冠上部にまで引き上げる力が弱かった、引き上げられなかったために、強剪定後3年目で枯れ上がったのではないか?と考えています。
ちなみに、この写真では写ってないのですが、ドロノキの根元から伸びているひこばえは2~3mほど高さにまで成長しています。

 

 

ドロノキ  うどんこ病

2020.9.22
中央の白っぽい大きな樹はドロノキ。 白っぽく見えるのは、葉にうどんこ病がついているためです。 お盆を過ぎたころ、8月中旬過ぎからドロノキの樹冠が白っぽくなっているのをときおり見かけます。 2020.9.22
葉の全面若しくは部分的に斑模様となって白い粉をまぶしたようにうどんこ病が蔓延しています。

週2~3回、緑の相談(園芸相談)をしているのですが、8月を過ぎたころから、
「キュウリやカボチャなどの野菜の葉が白くなっているが、これは病気か?」
また、8月下旬になると、
「ボタンやシャクヤクの葉が真っ白になってしまったが、これは病気か?」
という相談を受けます。
「それはうどんこ病です。 うどんこ病が拡がる温度(生育適温)は20℃くらいなので、真夏は暑くて活動は弱くなるのですが、6月中旬~真夏前までとお盆前後から発生しやすくなります。 カビの病気は発生するとなかなか抑えにくいので、予防的に殺菌剤で予防効果の高いダコニールなどを6月中旬から定期的にかけるのがいいのではないか。 そして、うどんこ病の緊密度を下げるために、落葉期にうどんこ病がついた葉を捨てる、ごみで出すのがよろしいです」と答えているのですが、うどんこ病を完全に抑えることは難しです。

このうどんこ病は、葉の気孔から胞子が侵入して菌糸を伸ばして宿主の栄養をちょうだいするのですが、ナスによく発生する半身萎凋病や樹木の胴枯病のように宿主を殺す(枯らす)ようなことはないのです。 ちょっと?相当?やっかいな居候のようなものです。

上述のドロノキも葉は真っ白になっていますが、来年、新芽が出ないことはなく、例年通り6月になれば樹冠全体が新緑につつまれます。 しかし、今年うどん病菌がついた葉は落葉しますが、その葉についた菌は越冬し、来年春5月中下旬以降(樹木の新芽が出る頃、地面で越冬していた卵が孵化する時期、害虫の蛹が羽化する時期)からウドンコ病の胞子が飛び出して空気中をさまよい、新しい宿主を見つけるのです。

ドロノキは北海道に自生する樹木で、札幌市内では至る所で目にすることのできます。 しかし、うどんこ病のつくドロノキは決まっているようで、
「また、このドロノキにうどんこ病がついている」と思いながらその樹を見上げています。 遺伝的にうどんこ病に罹りやすい系統があるように思えるのです。 それでも、その系統が樹木間の中でいままで生きながらえているのは、このうどんこ病がこのドロノキの生存競争を脅かすほどの影響を与えていない、うどんこ病に罹ってもその樹の成長に致命的なダメージを与えていない、と推測しているのです。

 

 

 

 

 

狂い咲き(その2) ドロノキ 

2017.8.5
写真は、真駒内公園内を走るサイクリングロード。  その両サイドが白っぽくなっていますが、これはドロノキの綿毛(種子)です。 このサイクリングロード側(そば)に大きなドロノキが立っています。
ドロノキの綿毛(種子)が飛ぶのは6月下旬で、この時期にこのような光景を見ることは通常有り得ないことです 。 このドロノキも今年6月中下旬に花を咲かせ、その種(綿毛)が樹冠下のサイクリングロードを白くさせていました。 そして、8月上旬に再度の綿毛です。 8月7日に投稿したテマリカンボクの狂い咲きは害虫の食害が原因と考えられるのですが、今回、このドロノキの狂い咲きの原因は何なのでしょうか?  このサイクリングロードは頻繁に通るのですが、今夏このドロノキの異常落葉もなく、この樹に何か変化があったのか記憶にありません。 その原因が思い当たらないので、今夏の開花結実後の異常高温? と思ってしまうのです。

 

 

 

 

 

ドロノキ  冬芽

ドロノキ : 冬芽
ドロノキ?2014.4.19
冬芽は、2/5のらせん生であり、大きく、褐色をし、無毛で、樹脂をかぶる(。ネバネバしている)。頂芽は長卵状円錐形ないし卵状紡錘形で、大きく、長さ15~20mmあり、先はとがり、6~10枚の芽鱗に覆瓦状につつまれる。側芽はやや細く、紡錘形をし、3~4枚の鱗片につつまれる。 花芽は太く、いくらかか開出する。

ドロノキ2012.4.24
ドロノキの雄花の咲き始め。 この雄花序は10cm近く垂れ下がる。

ドロノキ(その5)

日曜日(6月23日)に石狩浜へハマナスを見に行く途中で見つけました。国道230号線(川沿5条1丁目付近)沿い豊平川河岸に生えていました。
写真手前は河岸に生えている樹々で、奥のほうに見える樹は豊平川を挟んで対岸に生えているもの(藻南公園)です。
 ドロノキ2014.6.22
見つけたとき、「この真っ白の樹はなんだろう?」と検討がつかなかったので、近くまで行ってみました。
025 ドロノキ 豊平川2014.6.22
その白いものは、20cm以上もある長い棒状をしており、枝先からぶら下がっています。 「ドロノキの綿毛だろう?」と思うのですが、樹冠全体が真っ白になるほど綿毛をつけるドロノキを見たことがなかったので、さらに、近づけるところまで近づいてしっかり見ると、やはりドロノキの白い綿毛のようです。それにしても、こんなに綿毛をつけるドロノキを見るのは初めてです。

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