ナツツバキ シャラノキ

このごろの新築の庭や玄関前のちょっとしたアクセントに植えられる樹にナツツバキをよく見かけます。 成長が比較的遅く、樹形がこじんまりとまとまっているので、剪定などの管理が不要なところに人気があるようです。

ナツツバキ
2011.7.13
玄関前の添景木として植えられたナツツバキ。 最近、このような使い方をよく見か
毛ます。
ナツツバキ
2014.7.6
花は名前のとおりツバキにそっくりです。 ツバキと同じツバキ科ですが、属が違います。 ツバキはツバキ属(Camellia:カメリア)ですが、ナツツバキはナツツバキ属(Stewartia:スチュアーティア)です。
ナツツバキ
2011.7.13

ナツツバキ
2011.5.18 芽だし
ナツツバキ
2015.7.12 最盛期の開花状況
ナツツバキ
2014.7.22
ツバキは、花芽を夏場につくって、冬の終りから春先にかけて花を咲かせますが、ナツツバキは、その年に延びた枝の各葉柄基部に花芽を1個つけて、花は7月~8月にかけて次から次と咲かせます。 ので、写真のように、蕾の横に果実をつけます。
ナツツバキ
2011.8.11
これは、種が飛んで中が空になった果実(昨年の果実)。 ナツツバキの果実は9月~10月に成熟するので、この実殻は冬を越して1年近く枝についている。
ナツツバキ
2015.3.26 樹肌
ナツツバキを庭に植える良さは、“清楚な花を楽しむ” こともありますが、その赤褐色と灰褐色の “ 斑模様を呈する樹肌 ” です。 特に、札幌のように冬場、雪で覆われる地域では、辺りが真っ白な雪の中では、赤い斑模様は目立ちます。

<余談>
ナツツバキの別名をシャラノキといいますが、ナツツバキと発するときの響きより、シャラノキと発するときの滑らかな響きのほうが良いので、後者の名前で憶えている人も多いと思います。
それで、なぜ、シャラノキと呼ばれるようになったのか?をウェブページで調べてみると
“インド原産の沙羅双樹(サラノキ)と間違えた” と、ただそれだけのようです。
それで、さらにその樹がどんな樹なのかを調べてみると、フタバガキ科の30mにもなる高木のようです。 花はナツツバキとは全く違う、小さな花が集まって咲く集散花序で、葉もナツツバキの数倍もある大きな葉です。 強いて言うなら、ハクウンボクの葉を少し縦長にしたような葉形で、ナツツバキの葉と間違えそうもない大きな葉です。
どうして、ナツツバキをサラノキと間違えたのか不思議です。

サラノキ:Shorea.robusta(ショレア ロブスタ)
インド原産。 仏教三霊樹のひとつで、釈迦がクシナガラで東西南北に1対ずつ生えていたサラノキの林で涅槃に入ったと伝えられ、双樹と名づけられた。 サラノキはチーク、ヒマラヤスギとともにインドの三大有用樹である。(園芸植物大辞典)