ナナカマド(その7):赤い実をついばむ小鳥

1月下旬~2上旬にかけてオホーツク海に低気圧が停滞し、北海道は強い西高東低の気圧配置になりました。 その間、道東地方はその低気圧の影響で猛吹雪の日が続き、 テレビに映し出される全てが真っ白になる世界(その映像)は、日々雪と寒さを身近に感じて 生活している者にとっては恐怖を感じさせるものでした。
私の住んでいるところでは、猛吹雪は襲ってきませんでしたが、その間ほとんど太陽を見ることが出来ず、時たま吹く強風と断続的に降る雪の1週間でした。 雪は40~50cmくらい降ったでしょうか。
低気圧が東に去って気圧配置も緩んだ2月4日(水)は、そんな天気と打って変わって雲一つない抜けるような青空で、低く垂れ込める雲と雪が降る日が多いこの地域で、その合間の少ない好天の1日でした。
国道沿いを歩くと、普段より人通りが多いようです。 外出を控えていた人が、この天気とばかりに用事をすませようとしているのでしょうか、それとも久しぶりに眩しい太陽の光を浴びるために、散歩でもしているのでしょうか。 久しぶりの太陽の日差しに気分もさわやかです。
1-015ナナカマド2015.2.4
国道(230号)沿いに植えられているナナカマド。
この道はよく通るのですが、今まで、小鳥がナナカマドの赤い実をついばむ姿を一度も見ていませんでした。 通行する車や行き交う人が多い国道のため、小鳥も警戒して近づかないのだろうと思っていました。
1-010ナナカマド2015.2.4
ところが、久々に太陽がまぶしいこの日、2月4日は違いました。 ピーピーと小鳥の鳴き声がするので、ナナカマドの樹を見上げると、小鳥の集団が枝にとまっていて、赤い実をついばんでいるようなのです。
1-013ナナカマド2015.2.4
ナナカマドの実は、美味しくないのか、小鳥達に食べられるのが他の樹より遅いようで、3月に入っても赤い実をたくさんつけている樹を見かけます。 しかし、場所によっては?、この時期から食べてもらえるようです。 2月に入ると、小鳥達も味の良し悪しを言っている時期は過ぎて、食べられる木の実はなんでも食べる時期になっているのでしょうかね? それとも、この鳥はこの時期のナナカマドの味が好みなのでしょうか?
ちなみに、この鳥の名前は何というのでしょうか? “ウソ”に似ているようなのですが、どうでしょう?

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ナナカマド(その5) 名前の由来、冬芽ほか

今日から、冬芽や名前の由来などを勉強しながら、このブログで綴っていこうと思っています。先ず最初はナナカマドです。これは、このブログで最初に取り上げたのがナナカマドだからです。
ナナカマド
①冬芽
border=2012.12.2
頂芽の長さは1cm強~2cmぐらいです。芽の形や表面のつやのようなてりはドロノキの芽を連想させます。
2012.4.252011.4.25
4月下旬、周りの樹々の芽は堅いものが多いなかで、ナナカマドの芽が動き始めます。
②名前の由来
「ナナカマドは材は燃えにくく、かまどに7度入れてもまだ焼け残るというのでこの名前がついた。」
これは、牧野新日本植物図鑑の説明文です。
また、他のものでは、「ナナカマドという和名は、大変燃えにくく、7度竃(かまど)に入れても燃えない、ということから付けられたという説が広く流布しているが、7度焼くと良質の炭になるという説や、食器にすると丈夫で壊れにくい事から竃(かまど)が7度駄目になるくらいの期間使用できるからなど諸説ある」
といろいろ諸説があるようです。が、ウェブサイトで最もよく見かけるのは、、牧野富太郎先生の説のようです。
一方、森林・林業を専門とする関係者が書くと、
「ナナカマドの名は、かまどで7回焼いても残るほど燃えにくいことに由来するという説がまことしとやかに流布している。ナナカマドの生木がたっぷり水を含み、燃えにくいことは確かである。そのため、アイヌ民族は冬季に雪上で暖をとるときに火床としてナナカマドを敷き詰めて焚き火を起こし、また、地方によっては焼肉の串に使ったという。しかし、同程度に十分乾燥させた多くの材を比較燃焼試験をすれば、多少は火持ちがよく、燃え尽きにくいものの、特別に着火しにくいわけではない」(日本有用樹木誌より)
となります。
③樹形
1-065 ナナカマド 藤野東
ナナカマドの典型的な樹形です。この樹は今から12~13年前に植えられていますので、樹齢は20~25年と思います。ナナカマドの樹齢はかなり短く、80年程度と言われています。老齢になると樹形は乱れてきますが、30~40年くらいはこの箒状の樹形を保つのでしょうか。
この樹は赤い実をつけていません。個々の樹木や周りの環境条件によって違ってきますが、通常、実がなるまでには、20~30年かかるのではないでしょうか。
Data
科名:バラ科
属名:ナナカマド属
学名:Sorbus commixta
花期:6月
分布:日本、南千島、サハリン、朝鮮
英名:Japanese Rowan
注:Dataは北海道樹木図鑑。

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ナナカマド(その4)

1-011 ナナカマド 南郷通2012.10.31
先週水曜日、厚別方面に所用があり、南郷通を車で走ってきました。街路樹ナナカマドが色づいています。なかなか鮮やかです。ナナカマドは、札幌市で街路樹として1番多く使われている樹種ですが、都心部に近い幹線道路のナナカマで、このように樹形が揃っていて鮮やかに色づく街路樹はそうお目にかかれません。この場所は、中心部から約15km弱離れた郊外で、北広島市に近いところです。
ここのナナカマドが鮮やかに色づくのは、道路が広い割りに交通量が少なく、排気ガスなどの悪影響を受けないことや、中央分離帯に植えられているために根を十分に張れる土壌環境があることなど、街路樹としてはストレスの少ない環境(比較的すくすくと成長できる環境)が大きな要因なんでしょね。

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1-053 ナナカマド 真駒内公園2012.9.22
ナナカマドの実は8月下旬頃から赤みを増してきます。そして、9月に入ると緑色の葉に赤い実がよく目立つようになり、季節が夏から秋に進んでいることを感じさせます。それからしばらくすると、周りはまだ夏の緑の葉でいっぱいの中で、ぽつんと赤く紅葉しているナナカマドを見かけることがあります。しかし、それは少数派で本格的な紅葉は10月に入ってからになります。
1-003 ナナカマド
2012.10.21
今年の紅葉は遅めでしかもいまいちですが、ナナカマドも本格的な紅葉が始まっています。
1-008 ナナカマド 真駒内公園
2011.10.14
<トリビアな話>
今から数年前、
「ナナカマドって、公園にはたくさんあるけど、私の近くの山では見かけないんだけど」
とその当時、同じ職場で円山に自宅のある職員が言うのです。
公園を散歩しても街中を車で走っても、この時期ならナナカマドが一番目立ちます。札幌市の街路樹で一番多く植えられているのはナナカマドです。本州では生花に使われるぐらいでほとんどお目にかかれない木で、北国の木というイメージが定着していて、そんな木が札幌の地に、周辺の山々に元々生えてないことを想像することもなかったのです。
そのときはそれほど意識はしなかったのですが、それでもその言葉が頭の片隅にあって、職場近くにあった藻岩山や自宅の近くの山や真駒内周辺の自然林を見るときなど、それなりにナナカマドを意識して樹林を見るようになっていました。先ほどのナナカマドの実が、夏の終りに赤くなることや、春先、周りの樹木より比較的芽出しが早いことを意識しながら。
1-029 ナナkマド 芽出し
2011.5.8  5月上旬には葉が開き始める
自宅近くの山を見ても、円山に登っても、藻岩山を双眼鏡で観察しても、自分の見た目では、藻岩山を中心とした近辺の山では、ナナカマドにお目にかかれないのです。北大植物園には年に数回行くのですが、開拓以前の樹もよく残っていて、もし、札幌の平地にもナナカマドが生えていたのなら、同植物園にも1本くらいあっても良さそうなものですが、見当たらないのです。
あるとき、森林行政に長く携わった市職員の方に、
「ナナカマドは春先の芽出しが早いことと、9月に入ると赤い実がなるので他の樹と区別がつきやすい。これらを目安に石山通(国道230号線)から見える藻岩山の斜面を見るが、ナナカマドの樹が見当たらない」という旨の話をすると、
「それは、渡り鳥にしろ、留鳥にしろ、冬場、猛禽類から自分の身を守るために、エゾマツやトドマツのような冬でも葉のある樹(針葉樹)に身を寄せる必要がある。藻岩山のように落葉樹がほとんどの山では、鳥にとって安心して身を隠す場所がないため、藻岩山に行かずに身を寄せることのできる針葉樹の山かその近辺で過すことが多い。だから、エサであるナナカマドの実を糞と一緒にその近辺で落とすので、ナナカマドは針葉樹林の中かその近辺の森林で見る機会が多いのではないか」という話をしてくれました。
なかなか説得力のある説明だと関心しました。
1-001 ナナカマド 精進川公園 2011.11.1
2011.11.1  真っ赤な葉に真っ赤な実をつけたナナカマド
自分でも調べてみると、北方植物園(朝日新聞:昭和43年発行)には
「北海道で庭に植えられるようになったのは、昭和7~8年ごろからで、高山植物収集に興味をもっていたときの道長官佐上信一氏が、この木を好み、「植えろ、植えろ」と大いにすすめた、という。札幌の高裁庁舎のまわりにあるナナカマドは、同11年の陸軍大演習を記念して、翌12年に植えたものだ。北海道のナナカマドは、こうして庭や公園などに植えられ、脇役をつとめてきたが、最近街路樹の並木にとりあげられ、主役としてはなやかに登場してきた。」
とあり、やっぱりそうなんだ。ナナカマドは、高山植物が生えるような高い山に生え、北国であるといっても、札幌のような平地にはナナカマドは降りてきていないのだ、と自分なりに納得していたのです。
ところがです。原 松次編著「札幌の植物」(北海道大学図書刊行会:1992年発行)という書物があるのですが、この本は、札幌とその近郊53ヶ所(真駒内公園や野幌森林公園、札幌岳や八剣山、そのた他札幌の主な地点)の草木を調べたものです。具体的には、それぞれの地点にどの植物が生えているかを表にまとめたものです。これを見ると、53ヶ所の内、43ヶ所でナナカマドが確認されており、その中には、市内はもちろん藻岩山、円山、八剣山、硬石山など南区周辺の山々には全てナナカマドが確認されているのです(ただし、これらは、自生しているものか、植えられたものかは不明で、そこにあったということです)
これには、やっぱりそうなんだ、ただ漫然と樹々を見ているだけで、しっかりと観察していなんだ という少々残念な気分にさせられました。樹木に関心のある方や林業関係の方には、「そんなこと当たり前じゃないか」と言われそうですが。しかし、ここ数年、自分なりに観察をしても見当たらないので、ナナカマドが生えているにしても藻岩山の高いところか、若しくは他の樹木に較べて密度の低い樹で、見つけにくい樹なのかもしれません。元々高山性の樹木なので、札幌から少し離れた山々にはあるにしても、円山や藻岩山などの身近な山、平地に近い山にはほとんど生えていないのではないか と思いながら、今でも近くの山々を見て、ナナカマド探しをしているのです。
追伸:自分なりの結論づけは、
ナナカマドは高山性の植物(樹木)で、北海道の山地には普通に見られるが、札幌の平地に近い山には生えていないか、あるにしてもまれな樹木、なかなか見かけない樹木
というぐらいに思っているのですが、いかがでしょう?

ナナカマド(その4)

9月15日、今日も暑かったです。今年の夏、特に、8月中旬以降の暑さは本当に異常です。9月に入ってから今日も含めて、最高気温が30℃を超える日が5日、29℃以上の日が5日あったのです。これは、例年の真夏よりも暑い日続いているのです。現在、超大型の台風が沖縄に近づいており、その影響で来週も、まだ、南風が入ってきそうで、30℃越す日があるかもしれません。今年の札幌の夏(残暑)は、本州の夏に似ています。
1-021 ナナカマド2012.9.15
そんな暑い日が続いていても、自然(樹木)は秋を感じて、冬に向けて着々と準備を進めています。ナナカマドの実は、すでに赤くなっています。
1-008 ナナカマド2012.9.2
最高気温が30℃が続いている9月初めに、もう実はすでに赤くなっています。ナナカマドの実は、秋に向かって温度が低くなることが赤くなる要因ではなさそうです。
1-022 ナナカマド2011.9.23
これは、昨年の9月23日に撮ったものです。
1-023 ナナカマド2011.9.23
ナナカマドの実が赤くなる時期は、その年の気候によるずれは多少あるかも知れませんが、今年のようなとんでもない暑い夏であろうと、大体同じ時期のようです。

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ナナカマド(その3):ナナカマドが満開です

001 ナナカマド2012.4.25
ナナカマドの芽吹きは他の樹種に比べて早いほうで、4月下旬に芽吹きます。
051 ナナカマド2012.4.49
出葉と同時に、花芽も顔を出しています。
029 ナナkマド 芽出し2012.5.8
芽吹きから約2週間が経っています。
042 ナナカマド2012.5.26
芽吹きから約1ヶ月で開花します。
035 ナナカマド2012.5.26
夕方6時過ぎに撮ったため、夕日に映えて、このような色になってしまいました。