ネムノキ  冬芽

2015.6.9
ネムノキの芽出しは遅く、札幌の郊外では6月上旬。 市内では芽出しの最も遅い樹種のようです。 その時期にこの樹を見ると、芽の出ていない枯枝(生きているが、枝先からは芽が出ない)が目立ちます。 それは、前年に花が咲いた花茎でジグザクしていて、その基部に葉痕が3~4個?ついています。

2018.1.20
冬芽は葉痕の中にあり、見えない(隠芽) 葉痕の上に予備芽が出る。 枝は緑色を帯びた褐色。 ジグザクに屈曲し枝先ほど強く屈曲する。 皮目は円形で目立つ。
(冬芽ハンドブック)

冬芽は、3/8ないし2/5のらせん生であり、球形で、いちじるしく扁平し、長さ1~2mmあって、暗赤褐色であり、材中に半分埋没し、しばしば平行芽を持つ。 仮頂芽は発達しない。 枝の頂部に果軸が残り、豆果もしばしば残る。
(落葉広葉樹図譜)
2014.12.4

実際に枝(花茎)を見ると、葉痕は明確に分かるが、冬芽は確認できない。 葉痕の上部には花軸痕と思われるものがあるが、予備芽はあるようでないような、はっきりと確認できない。
上述の冬芽について2つの説明文を載せているが、冬芽ハンドブックの方がすんなりと入ってくる、分かりやすい。 同じマメ科のニセアカシアも隠芽を持つ。

⇒ ネムノキ:眠る樹

 

 

ネムノキ  樹皮・樹肌

画像

       

幹径:10cm                                        幹径:左20~25cm、右25~30cm

左の写真、若木の樹肌は褐色気味で、縦に赤っぽい筋が並んでいますが、これは皮目のようです(拡大すると良く判ります)。
成木になるとそれが縞模様のように変化します。 樹皮は褐色気味から白っぽい褐色になるようです。
樹皮ハンドブックによると、
皮目の様子にかなり変異がある。 ほとんど目立たないもの、縦すじ状に連なるもの、イボ状に目立つも、やや横長になるもの」
とありますが、写真中央のものがイボ状に目立つものに当てはまるようです。

ネムノキ(その3)

今年は、7月上旬から北海道にも「日本の夏」が襲ってきました。その後一時暑さも和らいだのですが、今週初めから、その暑さがぶり返してきています。札幌でも本格的な日本の夏を味わっています。窓を開けて寝ても全然平気です。あの爽やかな北海道の夏が戻ってきてほしいものです。こんなことを書くと、関東以西の方から、「そんなのちょろいちょろい、本当の日本の夏、極暑を送ってあげますよ」と言われそうですが・・・・。
ネムノキの花が最盛期を迎えています。
015 ネムノキ(赤字)2013.8.3
この写真は、昨年このブログで紹介した南区妙現寺にあるネムノキです。花の付き具合は、昨年より少し少なく見劣りはしますが、まあまあ咲いています。
036 ネムノキ(赤字)2013.8.3
ところが、6月末でこのような状態です。何か病気でも罹って半分死んでいるように見えます。それくらい、6月下旬にしては葉が少ないです。
R0010933(赤字)2013.6.29
新芽が出て、ようやく新葉が成長しだしたようです。やっと、葉が大きくなりだした時期です。
006 ネムノキ(赤字)2013.7.5
それから1週間が経っています。だいぶ葉も大きくなってきています。しかし、枯れている枝先が目立ちます。昨年12~今年3月までの異常な寒さでやられたのでしょうか。枝先の枯れ具合や花芽が見当たらないので、「今年は花は期待できない、無理だろう。」と思いました。
002 ネムノキ(赤字)2013.7.15
ところが、ネムノキは葉が出葉すると同時に花芽も大きくなるようで、当初はそれほど目立たないのですが、7月中旬には花軸が伸びてくるようです。
この時期、ネムノキを遠くから見ると、樹冠全体に葉を拡げ、その上に毎年ピンク花を咲かせて、順調に生育しているように見えます。その姿は優美で繊細です。しかし、よく観察すると、細枝の枯れが目立ち、しかも、北海道の短い夏で十分に生育できるのか と思うくらい芽出しが遅いです。北海道の短い夏を精一杯生きているのです。
ネムノキにとって、札幌の地は生育するにはぎりぎりの場所のようです。北海道での生育適地は道南から道央までで、それ以東は難しいようです。
037 ネムノキ(赤字)2013.8.3
細長い刷毛のような形をした淡紅色の花は、ひとつの花に見えますが、実は小さな花が10~20個集まったものです。細長いピンクの糸はおしべです。つぼみを見ると、その1つ1つから束になってピンクの細い雄しべを出しているのがわかります。

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ネムノキ(その2)

8月15日のブログで「眠る樹ネムノキ」を紹介してからて2ヶ月弱が過ぎます。
020 ネムノキ 妙現寺2012.8.8
南区石山 妙現寺境内
1-042 ネムノキ2012.9.22
ネムノキはやはりマメ科の植物で、長さ10cm程の鞘(豆果)をぶら下げています。同じ仲間のニセアカシアやエンジュに比べると豆果が大きいことこともあってか、その数は幾分少なめです。
1-007 ネムノキ2012.10.6
10月入ると、鞘は緑色から褐色に変わっていきます。
余談 その1
ネムノキの属するネムノキ属は熱帯・亜熱帯を中心に150種ほどが分布しているのですが、ネムノキはその中で飛びぬけて寒さに強い種だそうです。なので、札幌でも育っているのです。札幌から約200km北で日本海に面する羽幌町にネムノキがある話を聞いたことがありますが、、北海道では、石狩以南の南西部が生育限界なのでしょうね。
余談 その2
この頃はテレビで電機メーカーのCMを見かけなくなりましたが、10年以上前ならソニーや松下電器、東芝などの電気製品がテレビを賑わせていました。その中に、日立のCMで有名になった「この木なんの木、気になる木」があります。樹幅が樹高の3~4倍ある、その形がユーフォー(UFO:未確認飛行物体)に似ているあの樹が、ネムノキと同じ仲間なのです。モンキーポッドの名前で有名ですが、アメリカネムといいます。この樹は、熱帯アメリカ原産で、樹形が見事なことから世界の熱帯地域に庭園樹や街路樹として植栽されているそうです。
1-800px-Hitachis_tree.jpg
グーグル画像より

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ネムノキ:眠る樹

023 ネムノキ 妙現寺2012.8.4
少し時期がずれてしまいましたが、、ネムノキの花が咲いています。
数年前、時期は8月上旬です。道南を自転車で走ったとき、道路沿いにネムノキの花が咲いているのをちょくちょく見かけました。ネムノキは暖かい地方に育つというイメージを持っていましたので、「やっぱり、道南は札幌より暖かいんだな」と思ったことを覚えています。
ところが先日、石山の旧国道を自転車走っていると、右前方の空にピンクのものが見えるのです。「何かな?」と思ってしっかり見ると、ネムノキの花です。この南区に30年以上住んでいて、この立派なネムノキがあることを知らなかったのです。 初めて見ます。場所は,石山まちづくりセンター近くの妙現寺の境内です。
樹高は7m前後で目通幹径が30cm程度でしょうか。本州では10m位にはなるそうですが,北海道では5~7m位です(北海道樹木図鑑)。 札幌では、おそらくこの大きさがマックスなのではないでしょうか。
020 ネムノキ 妙現寺2012.8.4
そして、花の咲き方がみごとです。花数、花の大きさ、色の濃さ、すべて揃っています。ここまできれいに咲いているネムノキはなかなか見られません。
ところが、家に帰ってパソコンで画像を見ると、いまいちその美しさが出ていないのです。問題はバックの色です。この写真を撮ったときは曇気味でした。空の色が白でべったりとした感じで、いまいちきれいに撮れていません。
それで、晴れた日に撮ったのが下の写真です。
011 ネムノキ 妙現寺2012.8.8
青空がきれいなのはいいのですが、花がぐっと少なくなっているのです。そして、花の色も先日のピンクが色あせて白っぽく見えます。 花数が少なくなっているとの、咲き終わった後の花殻が白っぽく見えるのです。
ネムノキ1個の花の開花期間は極短く、1~2日くらいなのでしょうか?8月4日と8月8日を見比べてください。その差は歴然としています。その後も2回ほどこの樹を見ているのですが、晴れた暑い日でも当初の豪華さ、美しさにはなりません。ネムノキはつぼみをたくさん持っていて全体の開花期間はさほど短くはないのですが、本当に美しい、見ごたえのある時期はほんの1~2日のようです。
見る機会はいくらでもあったにもかかわらずネムノキを知らなかったのは、豪華に咲いている期間が極短い期間しかないためのようです。
019 ネムノキ2012.8.4
花と思っているピンク色をした細長い線状のものは、雄しべです。花弁は花の基部にある白っぽいもののようです。
024 ネムノキ2012.8.4
ネムノキ。いい名前です。眠る樹なのです。ご存知のように夜になると葉が閉じます。
でも、見た人は少ないと思います。私も見たことがありません。撮ってきました。
045.jpg2012.8.11
時刻は6時50頃。太陽が沈んで1時間弱が過ぎた頃です。
葉は垂れ下がり、小葉はしっかり閉じています。本当に眠る樹です。
樹木図鑑によると、小葉は閉じ始めて完全に閉じるまでに1時間ほどかかるそうです。太陽が沈む頃から小葉を閉じ始め、夕闇から夜にうつる頃に完全に閉じるのです。

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