ホオノキ  冬芽

2017.12.30
冬芽は暗紫褐色をし、無毛で、托葉起源の、2枚の革質の芽鱗に包まれる。 頂芽はきわめて大きく、円筒形をし、先がとがり、長さ40mm、径10mに、花芽は紡錘形で径15mにもなる。 (落葉広葉樹図譜)

頂芽、長さ3cm以上あり、革質の芽鱗に包まれている。 芽鱗は托葉と葉柄が合着してキャップ状になったもの。(樹に咲く花)

写真右上の冬芽は、最初、花芽と思ったのですが、どうも葉芽のようです。 理由は、上述の説明と、写真を撮った樹は毎年ないし2~3年の間隔で剪定がされていて、樹形がコンパクトにまとまっている庭木だからです。

2018.1.8
豊平区西岡にある森林総合研究所に行って、ホオノキの花芽を撮ってきました。
花芽は葉芽と違って、冬芽の中央がぷっくり膨らんでいます。
小枝の中に白い斑点が見えますが、これらは皮目のようです。
葉痕の上の部分がえぐれているように見えますが、昨年、ここに花が咲いたようです。
葉痕の下部に細長い楕円形がいくつか見えますが、これらは芽鱗痕のようです。

<余談>
ホオノキの葉は食べ物を包むことに昔から使われてきた。 地方によっては田植えの時期や端午の節句にご飯を包んで食べる習慣がある。 これは葉が大きくて食べ物が包みやすいことも理由の一つであろうが、朴葉のさわやかな香りが食欲を増加させる効果も無視できない。 飛騨高山の名物になっている朴葉味噌はホオノキの葉の上に味噌を乗せて焼き、その香を楽しむものであるし、山女魚などを包み焼きにすると素朴に朴葉の匂いが移るので、これもまたおつなものである。 山中でホオノキを見つけたときは葉を持ち帰って山の香を楽しんでみてはどうだろうか。 (日本有用樹木誌)

 

1億年前から咲いている花


追記:10月7日
ホオノキの花は、5月下旬に咲き始め、サクラやモクレンのように一斉に鮮やかに咲くのではなく、電飾を節約したクリスマスツリーのように、こちらにぽつんあちらにぽつんという咲き方を約1ヶ月間続けます。
1-021 ホオノキ2012.7.21
そして、7月下旬になると立派な実ができあがります。長楕円形で長さ12~15cm程あります。
1-015 ホオノキ2012.10.7
いつの頃からか(8月下旬?9月に入ると?)、果実は着色し始め、赤みを増していきます。そして、果実(袋果)が乾燥してくると、それが裂けて中から朱色の種子が顔を出します。
1-016 ホオノキ2012.10.7
ホオノキの写真を撮るために知事公館に行ってきました。樹に近づくとガサガサと音がして、カラスが2~3羽樹から飛び出すのです。その次は、頭上から大きなホオノキの葉の付いた実がドスンと落ちてくるのです。おいしいのでしょう、カラスがホオノキを実を食べているようです。樹冠下にはいくつもの実が落ちています。
1-017 ホオノキ2012.10.7
これは、その時の写真です。袋果が裂けて赤い実が出てくる時期になると、小鳥達にも啄ばむこともできるのでしょうが、こんな食べ方をされると、他の鳥にとって本当にいい迷惑でしょうね。
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6月25日のブログ
これは、ホオノキが5月中旬にちょうど展葉したときの写真です。
褐色の葉状に見えるのは、芽を守るための芽鱗です。
029 ホオノキ2012.5.19
ホオノキは、幅が20cm長さが50cmにもなるような大きな葉を枝先に車輪状につけます。
082 ホオノキ2012.6.3
そして、葉が展葉して2週間余で、その上に白いこれまた大きな花を咲かせます。
044 ホオノキ2012.6.23
開花しました。
045 ホオノキ2012.6.19
ホオノキは、1億年前から生き延びてきた広葉樹としては古いタイプの樹だそうです。
広葉樹は、針葉樹から進化したグループで、1億年前の白亜紀の中頃(地球に隕石が衝突して恐竜を初め多くの生物が絶滅したのは6,500万年前)までは、針葉樹が栄えていましたが、1億年前を境に広葉樹が優勢な時代変わって、現在に至っています。ホオノキは広葉樹ですが、その花の構造は1億年前に現れた広葉樹の一面を残しているといわれています。
以前に、キタコブシのがくが花弁化する話をしましたが、ホオノキはがくと花弁が未分化で、ほとんど花弁のように見えます。写真では、外側の3枚が少し反り返っていて、がく状に見えます(がくと花弁が未分化のもの:花被片)。これは、1億年前の花の形態を残している一つの証拠なのでしょうね。
植物は受粉を促すために、花から蜜を出して昆虫を引き付けます、しかし、ホオノキの花は蜜を出しません。その代わり、良い香りを放って昆虫を引き付けようとするのだそうです。その香りをかぎたくて、樹上の花に近づくのですが、いまだその香りをかぐことはできません。どんな香りがするのでしょうか?
018 ホオノキ 知事公館 D=60~70cm H=10m強2012.6.24
このホオノキは、知事公館で撮ったものです。大きさは、樹高10~13m、樹幅もそれぐらいあり、目通幹径は70cm弱です。、独立樹でこの質感のある樹はなかなか見当たりません。
020 ホオノキ
この写真では、花は見ることはできませんが、前回6月上旬に来たときは、樹冠のあちこちに花を咲かせていました、今回もまだ、3個咲いていました。ホオノキの花は、サクラのように一斉に咲くのではなく、あちらこちらと樹冠に万遍なく、悪く言えば、だらだらと見栄えのしない咲き方をします。こちらの花は完全に咲き終わり、花弁は褐色になっているのに、その隣には、これから咲こうとするつぼみがあるような咲き方をします(1個の花の開花期間は1週間は持たなくて数日で、その花があちこちで約1ヶ月続く)。なぜ、このような咲き方をするのでしょうか?これも太古の花のこん跡なのでしょうか?

ホオノキの実殻

036 ホオノキ2012.4.8
森林総合研究所の樹木展示圃で見つけました。ホオノキの実殻です。多くの樹木図鑑には、白い大きな花や赤い実の写真は掲載されていますが、この時期のホウノキの実はあまり紹介されていませんので、載せてみました。大きさ(長さ)は10cm~15cmくらいです。4~5mの高さについていた実を下から撮っています。
北海道主要樹木図譜では、ホオノキの実を次のように表現しています。
果実は深紅色の球果になり、長楕円形で反転した柱頭があり、平骨で通常長さ13.5cm、径4.5cm、合生し、かつ永存する鞘果には2個の種子があり、核果様で背部で裂開する。
この記述は、熟した10月ごろの実を表現しています。
現在のホオノキの実を表現すると、
長さ10~15cm、径4~5cmある長楕円形の柱頭は、昨年10月頃には深紅色で表面が平骨であったものが、現在は褐色に変化し、裂開した鞘果の先が棘のように尖っている。赤色の2個の種子が入っていた鞘果は裂開して空になっている。
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