ヤチダモ  冬芽

2020.12.31
冬芽は、対生して、暗褐色ないし黒褐色をし、ほぼ無毛ないし短軟毛が生え、葉柄起源の1~2対の芽鱗につつまれる。 ときには、冬芽は対生ではなくて、亜対生や亜輪生することもある。 頂芽は大きく、円錐形ないしピラミッド形をして、長さ5~8mm、幅5~10mmあり、1対の予備芽ないし頂生側芽を伴う。 側芽は小さく、球形で、長さ2〜5mmあり、ときには予備芽をともない、下位のものは発達しない。(落葉広葉樹図譜)

今年伸びた長枝を撮りたかったのですが、なにしろヤチダモは上に枝を伸ばす樹なので、私のカメラでは無理でした。
葉痕の形状は円形ないし半円形。 葉痕の内側にU字状に点々と維管束が並んでいるのが見えます。 頂芽に比べて側芽は非常に小さいです。

2013.2.23
写真の枝は短枝化したもの。
側芽と葉痕が数珠状に並んでいます。

⇒ ヤチダモ
⇒ ヤチダモ(その2):ひげを生やしたヤチダモ

 

 

ヤチダモ  山本川(厚別区)

2017.9.24
写真は定山渓にある日帰り温泉湯の花の駐車場から国道沿いの山並をとったものです。  山裾に黄緑をしている樹が4本見えます。 ヤチダモではないかと思っています。 ヤチダモは他の樹種に比べていち早く黄葉します。 その色は鮮やかな黄色で、たまに、ほとんど脱色したような白っぽい葉した樹を見かけることもあります。  10月に入る前に鮮やかな黄色に染まった、背の高い樹を見つけたら、それはヤチダモの可能性が高いです。

2011.10.18
写真は、厚別区山本川沿いに植えられているヤチダモ。
このヤチダモは、山本川(山本排水路)の東側横に1.8キロメートル続いています。 昭和の初めに植えられたものがほとんどだそうで、樹齢は100年前後になるのでしょうか?

山本地区の開墾は、明治42年小樽の山本久右衛門が私財を投じて農場を開いたことに始まります。 一面泥炭地で造田に大変苦労したため、排水溝の造成に尽くしました。 これが発展し、今の山本川になりました。
その子の山本厚三も、父の意思を引き継ぎ、道路や排水路を整備し、広大な田畑の開墾を成し遂げました。 また、昭和19年には戦後の農地解放を待たず、低価格で農地を小作人に解放しました。山本親子に対する地域住民の感謝の思いは、「本田」と呼ばれていた地名を「山本」と改称しています。(札幌市のホームページを抜粋要約)
2011.10.18
このヤチダモ並木(防風林)は、山本川(排水路)が整備されるのと平行して植えられたものなのでしょう。 風除けをより効果的にするために、ヤチダモの樹林下には、ズミやヤマハギなど中低木が植えられています。

並木沿いを車で走るとその長さに圧倒されます。 それでも、未だにヤチダモは植え続けれています。 この幼木を見ると、この地域に住んでいる人々が、当時の人々の苦労を偲び、ヤチダモ並木(防風林)がこの地域の証として守り続けようとする強い意志のようなものを感じます。
2017.5.13
芽吹き前のヤチダモ並木(防風林)。
2017.9.22
夏場を過ぎて、そろそろ葉色が褪せてくる頃のヤチダモ並木(防風林)

ヤチダモ(その3):一足早く黄葉

今朝(10月7日)は札幌の中心部で最低気温が6℃くらいまで下がったようで、札幌郊外の山沿いに比較的近い我家では、おそらく5℃を下回ったのでは?と思います。 徐々に色づいてきた樹々も、この冷え込みでこれから急速にその色姿を変えていきます。
1-021 藻岩山2014.10.7
藻岩山 五輪橋から
ニセアカシアやプラタナス、シンジュのような外来種は、10月下旬に雪が降る札幌の気候に順応していないためか紅葉から落葉が遅いのですが、それに比べて、元々北海道に自生する樹種はそれらに備えて、比較的早めに紅葉・落葉します。 その中で、ヤチダモは早めです。 他の樹木が、まだその葉に夏の緑色を少し残している時期に、葉緑素がほとんど抜けた白っぽい葉というか、薄黄緑色をした葉を樹冠一杯につけます。そんな樹々を紅葉が始まるこの時期に街中や公園で見かけます。 そのような樹木を遠くから見かけると、「あれはヤチダモだ」と樹種判別してしまうのです。
1-003 ヤチダモ2012.10.14
真駒内公園
1-043 ヤチダモ2012.10.18
滝野すずらん公園  渓流口駐車場から
1-032 ヤチダモ2011.10.13
真駒内公園
1-035 ヤチダモ 南こども公園
2011.10.11 南区南こども公園
1-009 ヤチダモ2011.10.11 真駒内公園
このように黄葉するヤチダモもありますが、薄黄緑系が多いように思います。
1-105.jpg2011.10.18 森林総合研究所

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ヤチダモ(その2):ひげを生やしたヤチダモ

日曜日(4月20日)、真駒内公園とその近辺を自転車で回ってきました。やっと暖かくなり、素手で自転車のグリップを握っていても寒さをさほど感じませんでした。ほほを切る風もさわやかです。樹々の芽吹きにはもう少し時間が必要ですが、公園には、ジョギングをする人、犬と散歩する人、ゆっくり歩く夫婦連れなど多くの人々が、春の穏やかな日差しとさわやかな空気を楽しんでいます
006 ヤチダモ2014.4.20
五輪通の北側、少年野球場のある横の園路で見つけました。
なにやら、白っぽい髭?のような、ひょろひょろとしたものを樹冠全体の枝先に付けています
007 ヤチダモ2014.4.20
よく見ると、ヤチダモの実が落ちた跡に残った果軸のようです。最初、雌花か雄花かわからなかったのですが、写真をじっくり見直すと、ところどころ羽(翼果)のような実殻が残っています。雌花の果軸のようです。
017 ヤチダモ2013.10.14
ヤチダモの果実

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ヤチダモ

1-017 ヤチダモ2013.1.13
先週の金曜日(4月5日)に仕事の帰りに豊平公園へ立ち寄ってきました。この豊平公園は国の林業試験場跡地を公園化したもで、面積約7haの地区公園です。この公園は、多くの部分で当時の樹木をそのまま保存・活用していまので、通常の公園に比べて格段に多種多様な樹木と出会えます。その一つがヤチダモの列植です。
5月中旬になると、このヤチダモの列植の下にムスカリやチューリップなどの球根類が咲き誇ります。それは絵的にすばらしく、ここに載せようと思ったのですが撮ってなかったのです。5月中旬過ぎに掲載したいと思います。
1-RIMG0038.jpg2013.4.5
ヤチダモのすくすく上に枝を伸ばす樹形の特性がよくわかります。樹高は20mくらいでしょうか。
冬芽 ~ 開花 ~ 新芽
1-RIMG0031.jpg2012.12.15
これは短枝の先についた冬芽です。節間が詰まっていて、半円形の葉痕上部に1個側芽をつけています。
※短枝:短い枝のこと。枝には、よく伸びる枝(徒長枝)と節間の詰まった生長の少ない枝(短枝)があります。短枝は組織が充実していて、花芽や実が結実しやすいという性質があります。
1-196.jpg2012.4.30
ヤチダモは葉が出る前に花を咲かせます。これは雄花(ヤチダモは雌雄異株)のようです。ヤチダモの雄花は2~5cmの赤黒い紫色の塊で、ほとんど見るに値しません。しかし、ヤチダモは高木で枝も高いところにつけるので、なかなか花の写真が撮れないのです。これは赤レンガ庁舎のある道庁の池の辺で、垂れ下がっている枝に咲いた花を偶然見つけて撮ったものです。
1-050 ヤチダモ2012.5.19
5月中旬芽吹きます。芽吹く時期は遅い部類にはいるのでしょうか。北海道の北部や東部の農家では、ヤチダモの芽が開けば露地で何をまいても植えてもよいと言われており、その開葉は遅霜の終わりを告げる天然の便りなっているそうです。
しかし、市街地ではヤチダモの開葉が遅いというイメージがないのです。その理由は、ニセアカシア、プラタナスやシンジュといった外来種の芽出しが遅く5月中旬以降で、特に街路樹に植えられたこれらの樹種は5月下旬になってやっと芽吹くものが多いからです。
1-038 ヤチダモ 石山 善住寺2012.5.26
南区石山善住寺
5月下旬に新葉が展がり始めます。ヤチダモらしい樹形をしています。細枝が少なく、真っすぐな主幹に太い枝が上に伸びていく樹姿は、正に「これがヤチダモだ」という感じです。
1-088.jpg2011.8.9
これは東区の大覚寺にあるヤチダモです。樹高は優に20mは超えています。
1-089.jpg2011.8.9
幹径も1.2~1.3mはありそうです。この樹は法律で定める保存樹に指定されています
このような大木が、円山公園の円山川沿いに、西区役所前の広場などにも残っています。かって札幌の低湿地帯にはこのような大樹が数多く見られたのでしょうか。
北海道では、ヤチダモはヨーロッパトウヒと共に防風林の主要樹種として植栽されきました。ヨーロッパトウヒは鉄道の防風林として見かけますが、ヤチダモは札幌市から石狩市にかけての低湿地帯に見られます。これらついては改めて紹介したいと思います。
名前の由来
日本有用樹木誌より
タモの名の語源については、 水田の畦によく植えられていてタモノキ(田茂木)と称していたのが広まった、あるいは、自然信仰の対象にされ「霊(たま)」と呼ばれていたのが転訛した、などの説がある。ヤチは谷沿いの湿地(谷地)に多いことに因んだもの
Data
・科名 モクセイ科
・属名 トネリコ属
・学名 Fraxinus mandshurica var.japonica 小種名 mandshurica は満州産の という意味
・花期 4月下旬~5月
・分布 北海道、本州(中部以北)、朝鮮

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