雪割 雪の融け方とリンゴの枝折れ

リンゴの苗を植えて今年で7年目なります。 5年目の夏に、花芽をつけさせるために枝を横に寝かせました。 方法は、実を生らせたい枝にひもを括り付けて垂れ下がった片方の端を地面に置いた石に巻き付けて、その重みで枝を引っ張り下げるのです。 一夏固定しておくと枝が固まり、翌年の6年目にはその枝には花が咲き、実が生りました。
枝を横に寝かせたことにより雪の重みで枝が雪折れしやすくなったので、6年目の冬(昨年)から雪割作業を始めました。 昨冬は雪が多かったこともあり2回雪割をしたのですが、今冬(7年目)は1月に2回大雪があったので、2月初めに雪割をしました。 そのとき、「今冬はこれで終わりかな?」と思っていたのですが、その後の降雪でリンゴの枝が埋もれているのに気づき、とりあえず雪割をしました。
雪の重みでリンゴの枝、特に主枝が折れると、その裂けた傷口から病原菌(腐らん病等)の侵入による枝枯れが発生する可能性があることや傷口の処置、枝の仕立て直しとその後の手当てが何かと大変なのです。

2024.2.21
雪割作業終えたリンゴの樹姿

雪割作業は埋もれた枝を傷つけないようにリンゴの枝の外側からスコップで雪を掘っていくのですが、その雪が重くて体に堪えます。 1本ならまだしも、「3本やれ」と言われると返事に窮するくらい、この時期の雪は重いです。
今冬の札幌は、2月13日に札幌市として55年ぶりに10℃を超える記録的な暖かさを記録するなど、2月初旬から例年に比べてとても暖かかったのです。 そのためか2月21日の雪割の日に雪の上を用心して歩くと、雪中に足をとられて往生することもなかったです。 雪がしっかり締まっている、固まっているのです。

リンゴの樹の周りの雪割をしていると、上層は “ ざらめ雪 ” で重く、30~50cmほど掘り下げると ” しまり雪 ”  になっていることに気づきます。
この表面の雪が硬くなっているのは、2月全般を通じて暖かかったことによって暖かい風が雪面を走り、新雪が解けてざらめ雪(重い雪)になり、その後の寒さでざらめ雪が固まっていったからなのでしょう。
また、1月は気温が低いことと太陽が低く日照時間も少ないために雪は解けないで、その後に降り続く雪が下層にある雪を圧縮していくのですが、2月に入ると太陽の位置も高くなり、また、気温の高い日も出てくるので、そのことが表面の雪を溶かして
“ざらめ雪 ” にするのです。 そして、2月に寒暖を繰り返すことによって、新雪→ざらめ雪→ざらめ雪の固まり というように雪質が変化していったのです。
リンゴの枝は。この  “しまり雪” と “ ざらめ雪 ” が幹枝に絡みつき、雪が融けるとき、その重みに引っ張られて折れるのです。

下図の札幌の積雪深さと降雪量(札幌管区気象台;中央区北2条西18丁目)を見ると、積雪の一番深い2月下旬の積雪深さは約75cmで、降雪量は約3m75cmです。 降った雪は全体の20%まで減っている?、圧縮さてているのです。

・降雪量(cm)
札幌管区気象台の累計降雪量グラフ
・積雪深(cm)
札幌管区気象台の積雪深グラフ
札幌市ホームページ 「冬の暮らし・除雪」より

雪の解け方は、上述したように12月中下旬から1月下旬までに降った雪はその後に降ったの雪の重みで “ しまり雪 ” に、2月以降は表面の雪が融けて “ざらめ雪 ” になって積雪は減っていくようです。 また、積雪下の地面も氷点下ではなく0℃以上はあるので、表層の雪が融けるのに比べるとその割合は小さいかもしれませんが、地温によっても雪は解けていくのです。
なので、果樹や庭木、低木類など雪の絡みついた枝は、雪が圧縮される “しまり雪” と粒状の氷になる“ざらめ雪” によって、さらに、地温によって 雪がなくなる最後まで下に下にと引っ張られていくのです。

 

 

 

リンゴがぼける

リンゴは果物の中では日持ちのする方ですが、品種によってそれが違ってくるようです。 よく言われるのは、収穫時期が早い品種は日持ちが悪く、収穫時期が遅いものは比較的日持ちがすることです。
具体的には、9月入るとスーパーの店頭に並ぶ早生種の「つがる」は、購入後食べずにしばらく置いておくと、リンゴ特有のしゃっきとした食感がなくなる、「ボケ」てしまいます。 その点、晩生種の「ふじ」は翌年の5月 になっても店頭に並んでいます。「ふじ」の中でも、中生種の「早生ふじ」より、晩生種の「サンふじ」は貯蔵性が高く、「サンふじ」よりも更に貯蔵性が高いのが「ふじ」に袋をかけて栽培した「有袋ふじ」なのだそうです。
我家にあるリンゴも袋をかける「有袋ふじ」です。 有袋にしている理由は日持ちのよいリンゴをつくるためではなく、農薬の散布回数を減らしたいためです。

その有袋フジを11月上旬~中旬に収穫しています。 その頃に食べるフジは、フジ特有のシャキシャキとする食感はもちろん、甘みと少し強めの酸味があって、私好みのリンゴに熟成しているのです。 もっと具体的に言うと、古いリンゴ品種で申し訳ないのですが、紅玉の酸味とレッドゴールドの甘味を足して2で割ったような甘酸っぱさに、フジ特有のシャキシャキ感が加わり、口の中でリンゴを嚙み砕くときに広がる酸味の効いた美味しさ、旬に食べる「ふじ」は、リンゴ中で一番ではないかと思っています。
2024.1.7
昨年11月に収穫したリンゴ;フジ  数個ずつビニール袋に分けて、湿度を保つために新聞紙を敷いた段ボール箱に入れ、上部も新聞紙を厚めに被って、車庫の中で保管。

リンゴの美味しさは口に含んだときに拡がるあの甘酸っぱさです。 ところが、年を越して1月半ばになると、甘さは変わらないのですが酸味が依然に比べて少なくなってきて、シャキシャキ感も劣るものが出てくるようになりました。所謂、「ぼけ」が徐々に進行し始めているのです。

「酸味が少なくなる」について、日本植物生理学会の「みんなのひろば」では以下のように説明しています。

果実の酸味成分の主なものは、クエン酸とリンゴ酸です。ミカンなどの柑橘類は、クエン酸を貯めるタイプの果実です。一方、リンゴやモモなどはリンゴ酸を貯めるタイプの果実です。何れも果実の生長と共に果実に蓄積されますが、成熟に従って分解されていきます。長いこと果実を貯蔵しておくと味がぼけるのは、これらの有機酸が
分解され、酸味が減っていくからです。

※(リンゴの)「味がぼける」というのは、長期間保存しておくと、果肉内の水分が減ってリンゴ特有のシャキシャキ感がなくなって口の中でもさもさする、所謂食感が悪くなることを言うのですが、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸がなくなることも含めてのことのようです。

我家のリンゴの貯蔵方法は、上述したようにリンゴの水分が抜けにないようにビニール袋に入れて、それを段ボール箱で車庫に保存しています。 また、札幌の気温(12月の平均気温;-0.9℃、1月;-3.2℃)で、リンゴの長期間保存にはそんなに悪くない環境と思うのですが、それでもやはり徐々に「ぼけ」は進行するのです。
それでは、リンゴの「ふじ」がスーパーの店頭に5月や6月になっても並んでいるのは、どんな方法で貯蔵しているのでしょうか?

Webページ「りんご大学」;弘前中央青果株式会社は以下のように説明しています。
リンゴは収穫後も生きていて、呼吸するために空気中の酸素を必要とします。呼吸(酸化)をすることにより、エネルギーを消費し、味や鮮度が失われてしまうのですが、それ(呼吸量を最少限にする)をするために、「CA貯蔵」(Controlled Atmosphere)と呼ばれる方法を取り入れています。 それは、酸素・二酸化炭素・窒
素・温度・湿度を調整し、鮮度よく長期の貯蔵を可能とする方法です。

以下の表はCA貯蔵と大気の成分を比較したものです。

CA貯蔵 大気
酸素 3% 21%
二酸化酸素 3% 0.4%
窒素 3% 78%
温度 0%
湿度 90%

我家のリンゴが入っている段ボール箱内の環境は、温度と湿度はCA貯蔵とさほど変わらないと思うのですが、呼吸に必要な酸素濃度の低さが違います。 余計な話ですが、窒素を3%にする理由?と酸素と窒素が減った分、何が補填されているのでしょうかね?

<追伸>
CA貯蔵で、酸素と窒素の抜けた分は、二酸化炭素を補填しているのだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

リンゴ ヒヨドリ?

赤くなったリンゴの果実が10月末から食い荒らされるようになりました。 おそらく、ヒヨドリです。

⇒  リンゴ  防鳥テープ(9月8日投稿)

2023.11.5
写真はヒヨドリに食害されたリンゴ。 品種はフジ。 フジの収穫は11月に入ってからなのですが、ヒヨドリは食べごろをちゃんと知っているのです。

ヒヨドリの鳴き声 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=-DYmOCTDWc0

10月末から1日に1~2個、11月に入るとその数が増えてきました。 ヒヨドリは防鳥テープの間から樹冠内に入り、枝に止まってリンゴをつつくようです。 なので、防鳥テープ(キラキラテープ)の他に防鳥糸を樹の外回りと樹幹内に張り巡らしました。 細い黄色の防鳥糸(=水糸と似たようなもの)はヒヨドリには見えにくいようで、その後の食害はなくなりました。 効果はあるようです。

防鳥糸 500m/巻
それでも、来年はネットを樹幹全体に被せようと思っています。 防鳥テープと防鳥糸を張るより、ネットを樹冠全体に被せた方が良さそうです。 テープ?かネット?、どちらの方が手間がかかるか判りませんが、ネットはヒヨドリなどの鳥に食われないという安心感があります。

追記 2023.11.11
黄色の防鳥糸張ってから2~3?日はリンゴの食害はなかったのですが、その後また食われるようになりました。 ヒヨドリはちゃんと隙間を見つけるようです。来年は防鳥ネットにすることにしました。

リンゴ  防鳥テープ

リンゴ(品種;フジ)を植えて、4年目に初めて1個の実が生り、シンクイムシにも食われずに大きくなったので食べるのを楽しみにしていました。 ところが、9月下旬?にカラスに食害されてしまいました。 カラスは樹に1個しか生ってない実でもしっかりと見ているのです。
その翌年から、下の写真のように防鳥テープ(表と裏が赤色と銀色で風が吹くとテープが揺れてキラキラと光る)を張るようになりました。
2023.9.6
リンゴの主幹に4m程の棒(約φ4cmの鋼管)を立てて、その先から16本の防鳥テープを傘状に張っています。 樹冠周りには、カラスが側面と下から侵入しないように、野菜の促成栽培でビニールトンネルの支柱に使う折り曲げ自在のグラスファイバーポールを使って、防鳥テープを張りました。 この方式で、昨年と一昨年はカラスによる被害は無かったのです。
ところが、今夏(8月に入ってから?)は、朝食時に「ピーピー」と甲高くて、辺りに響き渡るような 鳥の鳴き声を時折耳にするようになったのです。 あの種の鳴き方は、おそらくヒヨドリです。
2023.9.6
写真の食害されている果実はリンゴではなく洋ナシですが、何者かが樹から果実を落として、白い袋を破って食害したものです。 洋ナシは昨年まで鳥の害はほとんどなかったので、防鳥対策をしていませんでした。 それは収穫後に追熟が必要で、樹についているうちは甘味がなく美味しくない?のでカラスは寄って来ないのです。
食害された洋ナシを見ると、カラスではなくもう少し小型の嘴の細い鳥のようです。 ヒヨドリではないかと思っています。 洋ナシ(品種;ブランディ)の収穫時期は9月20日前後なので、取り急ぎ、防鳥テープを樹に回しておきました。効果があるかどうかはわかりません。
我家の家庭菜園で鳥の被害にあう作物は、リンゴ、洋ナシ、ブドウ、ブラックベリーの果樹類すべて、トマトとトウモロコシ、発芽時のエダマメの野菜類です。 3~4

年程?前からはトマトとエダマメ以外は防鳥テープ(キラキラテープ)を張るようになりました。

<防鳥について>
鳥は眼が良くて学習能力も高く、しかもしつこいので、一度被害に遇うと、たとえ、その鳥を捕獲したとしても周辺から他の鳥たちが再び集まってくるので、その後も同じように被害が続くことが多いのだそうです。 2023.9.8
作物はリンゴと洋ナシ。 単管パオプを組んで側面は防鳥ネットを張り、上面はテグスを40~50cmの枡目で被う。
2023.9.8
作物はブドウ。 ブドウの両面を防虫ネットで囲う。

写真は元農家さんの防鳥対策です。 単管パイプを組んで防鳥網を張る方式です。 これならどんな鳥が飛来しても完全に防ぐことができます。しかし、これを設置するにはそれなりのコストがかかります。 一般家庭の果樹栽培では、リンゴ1本の樹に防虫網を設置することになるので、そのコストはともかく、設置と取り外しに伴う手間を考えると、なかなか手が出せません。
それで、簡易な防鳥テープを選択しているのですが、それでもやはり、一手間多い余計な作業、めんどうくさい感はいがめません。
昨年までは防鳥テープ(キラキラテープ)によりカラスの被害は出てないのですが、今夏、ヒヨドリの鳴き声を数回聞いています。パソコンで調べると、防鳥テープはカラスには効果はあるが、スズメやヒヨドリなどの小さな鳥には効果はないと記されています。 9月6日 にテープを張ったばかりでその効果は不明ですが、9月下旬にリンゴの除袋をすると、実が赤くなってより目立ってくるので、今後が心配です(リンゴの収穫は11月中下旬)。 キラキラテープの本数を増やす必要があるかもしれません。

 

 

 

リンゴ  摘果

2023.6.7
園芸店で苗木を買って今年で7年目になるリンゴ((品種;フジ)です。 樹高は2.5m弱で葉張りは4mはあります。花芽がつくように、植えて4年目から枝を紐で引っ張って横にしています。
リンゴの花が5月中旬~下旬にかけて咲きました。ナシ(洋ナシ)に比べると開花期間は長めです。 そして、花弁がおおよそ散ったころの5月下旬(今年は5月24日)に殺虫剤をかけています(このころから害虫が発生)。
花弁が散ったころに農薬をかける理由:リンゴは虫媒花なので、農薬をかけるとミツバチなどの虫が寄ってこない可能性が高いので、開花最盛期を避けるようにしている。
2027.6.7
5月中旬の開花始めから約3週間経ったリンゴの果実。 果実の大きさは縦が1.5cm、幅が1cm弱くらいでしょうか?
このころ(6月上旬)から摘果を始めます。 リンゴの花は1つのつぼみから数個の花が咲きます。 その中から果実が大きく、茎の太くてしっかりしたものを残します。 多くは中心から出た果実がそれに当たります。 2023.6.7
これは摘果後の写真。
りんごの摘果は、通常5~7月にかけて行います。 摘果の主な目的は2つあって、一つは大きさの揃ったリンゴを育てることと、二つ目は、摘果しないでたくさんの実をつけたままにしておくと、リンゴの樹にとってそれが負担となって樹勢が弱り、翌年花が咲かない実がならない隔年結果という現象が起きるので、それを防ぐために行います。
りんごの果実肥大は、 開花後約1 か月間は細胞数の増加、その後の収穫期までは細胞の肥大によって起こります。 なので、 開花後1 か月の間に養分が十分に行かなかったり、天候不順で細胞分裂が抑制されたりすると、 果実の細胞数が少なくなり小さい果実ができやすいので、摘果の時期は早いほうが効果があるようです。
我家の場合は、5月下旬に花びら散って6月に入ってから摘果をしています。 1回目の摘果は、1個1個の花についた果実をすべて1個の果実にします。 2回目の摘果は、果実の間隔を調整するためのものです。 大玉の品種は1個につき葉数が50~60枚程度、リンゴの間隔は15cm以上空ける等と言われているので、これらのことを考慮しながら2回目の摘果をし、6月20日までには終わらせるようにしています。 その理由は、摘果終了後すぐに薬をかけて袋掛けをするのですが、これをなるべく早くしたいのです。シンクイムシが幼果に卵を産み付けるを防ぐためです。農薬散布後の薬の効いている期間を2週間程度と考えているので、できるだけ1回目の農薬散布から2回目までの期間を短くしたいのです。

これでリンゴに関わる春の一連の作業は一段落です。これ以降の夏場の作業は、来月中下旬の薬かけと、これから出てくる徒長枝の剪定です。