トウモロコシ

しんとして幅廣き街の秋の夜の
玉蜀黍の焼くるにほいよ               啄木          玉蜀黍:とうもろこし

かつて、焼ききびとして用いられたのは、 “うるきび” ともいわれたフリントコーン(硬粒種)で、ロングフェロー、札幌八行、オノアなどの品種。

これに対して、通称 “もちきび” がスイートコーン(甘味種)で、もっぱらゆできびとされており、代表的なゴールデンバンタムは、明治37年に北海道農業試験場がアメリカから導入し、後に「黄金糯(もち)」の名で優良品種に指定したもの。 粒の黒いブラックメキシカンも愛好され、カントリーゼントルマン(田舎紳士)というユーモラスな品種もありました。

そうそう、“はぜきび” (爆裂種)は、茶の友や、こどものおやつとして素朴な味わいがありましたね。 これらは、すべて開拓使以降に入ったものばかりです。

<生命を支えたトウキビだんご>
終戦の翌年、私が農学校を出て就職したのが北海道農業試験場札幌玉蜀黍試験地。北大第二農場の外れ、恵迪寮に接しており、明治34年から大正4年まで、北海道農業試験場(現在の農研機構 北海道農業研究センター)の所在したところです。 当時は見事なポプラ並木があり、合間からサイロと乳牛の群れが見え、牧歌調豊かな環境に恵まれ、といいたいところですが、実は国民総飢餓、食べることに精一杯の時代でした。

トウモロコシの実るころとなれば、夜な夜な柵を越えてしのび寄る予科生 と攻防戦を交えたこと。トウキビダンゴで命を支えたこと。 いまは、みな懐かしい思い出となりました。

イネ科、原産地はアメリカ大陸。 北アメリカの先住民族やインカの洞穴、古墳から野生種に近いものが発見され、その歴史は数万年前にさかのぼるといいます。野生種については諸説がありますが、今日メキシコに野生しているテオシントが有力です。

<時のながれで品種も変わり・・・・・>
わが国には、天正年間(約300年前)、土佐海岸に漂着したポルトガル人により伝えられたようで、四国山脈、阿蘇、富士などの山岳台地に定着、「阿蘇」、「甲州」の地方種が成立したといわれています。

戦後は、ゴールデンクロスバンタムなど一連の交配種がアメリカから入りました。雑種強勢をたくみに利用したこれらの品種は、大きさも味も優れていたので、たちまち市場を独占し、前段の固定種は、ほとんど姿を消す憂き目となりました。さらに近年は、甘みの強いシュガースイート系のハニーバンタムなどが入り、消費指向も移りつつあります。 トウモロコシの品種に、栄枯盛衰を思い、時の流れを感ずるのは、かつて、この作物と生活をともにした男の郷愁でありましょうか。
トウモロコシ2013.8.7 雄花
トウモロコシ2013.8.7
トウモロコシは、花というより花器、雌雄異化。 また、風媒花なので、昆虫を魅惑するような美しさはないものの、人は、雄穂にタッセル(飾りふさ)、雌穂からでる花柱にシルク(絹糸)と優美な呼び名をつけました。人類に貢献した作物に対する賞賛でもあるように。
(札幌市農業センター 林 繁)

<余談:トウモロコシ(コーン)の種類>
トウモロコシにもいろいろ種類があるようで、おやつに食べた “ポップコーン” がトウモロコシの種類の一つと知りませんでした。 

・デントコーン
 デントコーンは馬歯種コーンとも呼ばれ、穀粒の側面が固い澱粉層からなり、冠部は柔らかい澱粉層からなる。粒が成熟するにつれて柔らかい部分が収縮して冠部にくぼみ(デント)ができ、馬歯のようになる。デントコーンは主に澱粉(コーンスターチ)製造用、飼料用、さらに近年バイオエタノール生産原料として利用されている。

・フリントコーン
 フリントコーン(硬粒種コーン)は硬い澱粉層が穀粒の全体に広がり、粒の冠部にくぼみがない。害虫抵抗性があり、低温でも受粉が可能である。フリントコーンは主に食用として利用される。

・ポップコーン
 ポップコーン(爆裂種コーン)は穀粒が小さく、硬いコーンである。加熱により穀粒の水分が膨張してはじけ、ポップコーンになる。ポップコーンはスナック菓子として幅広い人気がある。

スイートコーン
 スイートコーン(甘味種コーン)は澱粉含量が少なく、糖質の含量が高い品種であり、世界的な規模で食用の野菜として栽培されてきた。茹でトウモロコシや焼きトウモロコシとして広く食用に供されている。

・フラワーコーン
 フラワーコーン(軟粒種コーン)は穀粒全体が軟質澱粉からなり、粉に挽きやすい品種で、メキシコ、南アメリカのインカ帝国で栽培されていた最も古い栽培種のひとつ。

・ワキシーコーン
 ワキシーコーンは粒の外観がワックス様を呈しているため、ワキシー種と呼ばれている。中国南部の雲南地方が発祥の地であり、それが20世紀に米国に渡り、改良されたものが米国や南アフリカで栽培されるようになった。澱粉はアミロペクチンからなり、糯種コーンとも呼ばれ、主に食品用途に用いられる。

・ポッドコーン
 ポッドコーンは観賞用として栽培され、有?(ふ)種コーン、またはさやトウモロコシとも呼ばれ、穀粒が一個ずつムギのように小さい穎(えい)に包まれている。
(独立行政法人農畜産業振興機構のホームページより)

スイートコーン:とうきび

8月下旬は曇りがちの日が多く、昨日(8月31日、土曜日)は一日中雨で、今日も曇っています。涼しくなって過しやすいのはありがたいのですが、雨や曇りがちの日が多くては、気分は晴れないし週末の樹木観察の気分にもなれません。すっきり爽やかな秋晴れの日が待ち遠しいです
004 トウモロコシ(アカジ)2013.8.31
5月24日にトウキビの種をまいて、約3ヶ月が経ちます。やっと3本収穫できました。ほかのはまだ細く、収穫できる太さになるまでにはもう少し時間が必要なようです。
011 スウィートコーン(赤字)2013.7.13
種をまいてから50日が経っています。やっと大きくなってきました。
〇トウキビ栽培履歴
・耕起:ゴールデンウイーク
・施肥:全面施肥(は種1週間前、2回目の耕起前に乾燥鶏糞と高度化成肥料(N:P:K=14:14:14)を混ぜたものを手でまく。施肥量は適当
・は種:平成25年5月24日 品種:キャンベラ86
・植付け間隔:畝幅80cm、植え幅:20~30cm
*畝幅は90~100cmが必要、植え幅も20cmは狭すぎ。 土地が狭いので間隔を狭く植えつけているのですが、株が大きくなると株と株の間を通れなくなります。また、株間も20~30cmと狭いので、茎も細いようです。
・土寄せ:7月10日過ぎ?(背が高くなるので、風で倒れないように土寄せする)
*土寄せ時に追肥を忘れる。
005 トウモロコシ(アカジ)2013.8.31
株のてっぺんに付けるのが雄花で、雌花(トウキビ)は株の半ばに2本ほどつけます。最初に出てきた雌花を残して、後から出てきたものはへし折って取り除きます。
雄花が成長して花が咲き、花粉を飛ばす時期に、ちゃんと雌花の穂?が葉の基部から出てきます。当たり前の話ですが、それでも「上手くできているな」思ってしまします。
草丈は2mくらいになり、狭い畑では、この時期少々圧迫感を感じます。家庭菜園用に草丈が1.5mくらいで納まる品種が出てこないものですかね。
006 トウモロコシ(赤字)2013.8.31
茎と葉基部の間から雌花の穂が出てきてから3週間強を過ぎると収穫適期です。その目安は、雌花の穂が茶色く縮れてきて、触るとかさかさ乾燥しています。
栽培品種“キャンベラ86”は、は種後86日で収穫できるタイプという意味ですが、我家では99日かかっています(“初期成育が遅いな”とは感じてましたが・・・・)。
〇今年の我家のトウキビ
採れたてのトウキビは本当に美味しいのですが、今年のトウキビはどうもいまいちのようです。収穫時期は、雌花の穂が縮れて茶色になってからですので、間違っていないと思うのです。栽培方法で畝幅と植え幅が少々狭かったこと、土よせ時に追肥を忘れたことなど例年と多少違うのですが、茎が例年に比べて細く、トウキビ自体も小さめのようです。このことと食味が関係あるかどうかわかりませんが、今年のトウキビは甘みが薄く、残念ながら“採れたの美味しさを味わった”という感覚が薄いです。
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