ナス  半身萎凋病(その3)

我家の家庭菜園では、ナスを植えると必ず7月中旬から半身萎凋病に罹っていました。 それで今年はその対策としてベンレートを土壌潅注することにしました。 その経緯は下記の投稿を読んでください。

 ナス  半身萎凋病(ベンレート)
 ナス  半身萎凋病(ベンレート)(その2)

2020.7.15
写真は、毎年症状の出始める7月中旬でも順調に生育しています。 ベンレートを6月中旬に土壌潅注したことによる効果があったように見えます。 しかし、7月下旬に1株に半身萎凋病の症状が現れました。 その株は8月上旬に引っこ抜いて捨てました。
2020.8.20
そして、8月のお盆前に2株目がやられてしまいました。 上の写真のようになってしまったらもう回復は不可です。 投げるしかありません。

ナスの半身萎凋病に対するの農薬使用基準は、
1株に500倍液を200~300ccを土壌潅注するのですが、今回は同じ希釈倍数で使用基準の2倍の量、500ccを潅注しています。 土壌潅注の処理の時期についても、農薬使用基準では定植後14日以内にと書かれていたので、定植4日後に行っています。 農薬の使用方法に問題がないにもかかわらす、4株植えて2株が病気に罹りました。

それじゃ、どうすればいいのでしようか。

半身萎凋病の病原菌は、ナスの根(根毛)が土壌中にいる菌(菌核)の近くに伸びてくると、菌核が発芽し、根の表面から侵入して、根から吸い上げた水や養分を通す管、導管で増殖し、それを詰まらせ半身萎凋病を発現させます。 また、定植時の植え傷みや土壌中の虫等が根を食害することから出来た傷は病原菌の侵入をしやすくさせます。 要は、半身萎凋病を防ぐには、土壌中の菌の密度を低くすることしか方法はないのです。
なので次年度は、購入したポット苗にもベンレートを土壌潅注します。 この方法は潅注量が少量でも薬剤を十分に土と根にしみ込ませることができるので効果が高いように思えるのです。 そして、定植後ではなく、定植時に土壌潅注することです。

とりあえず、次年度はこれをやってみます。

ナス  半身萎凋病(ベンレート)(その2)

2020.7.15
写真は5月29日に定植したナスです。草丈は約60cm 。 最初につけた果実(1番果)はとりあえず落としました。 理由は半身萎凋病に罹る確率を低くするために、実を生らすより株の充実を優先させました。  昨日(7月20日)、2番果を収穫しています。

ナスの半身萎凋病は決まったように必ずこの時期、札幌に本格的な夏がやってくる7月中旬にその姿を現します。 下葉の縁が内側に少し巻いてきて、本来の濃い緑色である葉の一部が褪色して淡緑色に変わるのです。

今年は、殺菌剤のベンレートをかけたので、写真のとおり半身萎凋病の兆候は全く見られていません。 しかし、ナスの収穫期間はまだ1ヵ月半ほどあるので油断はできませんが、それでもとりあえず、ベンレートの土壌潅注は効いているようです。

今夏は、ナスの浅漬けが楽しめそうです。

〇 半身萎凋病の病徴と対策(原色 野菜の病害虫 診断事典より)
はじめ下葉のところどころの葉脈間に周縁不鮮明な褪色斑が生じ、葉はしおれ、葉縁は上面に軽く巻き上がる。 褪色部は1~2日後には黄白色となり、しだいに病斑の中央部から枯死する。 発病は徐々に上の葉にすすみ、発葉病はしおれて垂れ下がり、最後には落葉する。
初期の症状は枝の片側の葉だけにかぎられ、1枚の葉では、主脈を中心として片側の葉だけにかぎられ、一枚の葉では、主脈を中心としてだけがしおれることが多い。 病勢がすすむと反対側の葉も発病し、さらに健全であった枝も発病して株全体が枯死する。 茎を切断してみると、導管が褐変している。 発病株は生育が非常に悪く、着果と果実の肥大も不良となる。

発生条件と対策
地温22~26℃の時期に発生しやすく、18℃以下の低温や30℃以上の高温では発病しにくい。 したがって、施設の前進型栽培や冷涼地の露地栽培で多発する。 平坦地の露地栽培の場合に、夏の高温期に発病が一時休止し、秋口から再発するのも温度の影響である。 土壌湿度は乾燥より湿潤状態で発病しやすく、日照不足は発病を助長する。 トマト、イチゴ、ウドなどとの輪作頻度の高い畑で発生しやすい。

⇒ ナス  半身萎凋病(ベンレート)

ナス  半身萎凋病(ベンレート)

5月29日に、ナス(購入苗)を畑に植え付けました。
現在の家に住んで30年以上経つのですが、その間に数回程、3回? 4回?ナスを植え付けました。 当初は接ぎ木をしていない苗を植えて半身萎凋病に罹ってダメにしてしまったので、その後は接ぎ木苗と接ぎ木していない苗の両方を植えたのですが、やはり、両者とも病気にやられてしまいました。
2014.7.13
7月中旬、ちょうど一番最初の果実が大きくなり始める頃、株の片側半分だけに、下葉の一部が少し内側に巻く葉や、葉の一部の緑色が抜けて黄化ないし淡緑色になる葉が出てきます。 そして、その症状に気づいてから何日後に雨が降った翌日にそれを見ると病徴が急激に進んでいるのです。その日は気温が高めで太陽が降り注ぐ夏の日なのです。 その後の病徴の進行は株の片側だけからが全体に広がり、葉は垂れ下がって枯死します。 それらは引き抜いて処分するしかないのです。
2014.7.13
それで、我家の家庭菜園ではナスをほとんどつくっていなかったのです。
ところが今春、ある園芸好きの方から、トマトの半身萎凋病に効く薬があることを教えてもらいました。

写真の箱の中には、0.5g/袋が10個は入っている。 正味5g。
ベンレート(殺菌剤)を土壌に潅注する方法です。
ナスの農薬使用基準を見ると以下のように書かれています

希釈倍数     使用液量
500倍     200〜300cc/株
1000倍     400〜600cc/株

その方いわく、希釈倍数500倍で、液量を使用基準の2倍使えば効くというのです。 それで、定植後4日目の5月2日に1株に500倍で500ccの液をジョウロで株元に土壌散布しました。

とりあえず、農薬をかけて半身萎凋病対策は行ったので、7月中旬にその症状が出る?出ない?を待つばかりです。
農薬の商品名ベンレートの取扱い説明書には「土壌潅注は定植後~収穫14日前まで」と書かれているのですが、潅注(ジョウロで土壌散布)を行う一番適切は時期は、定植直後のように思います。 その理由は、定植後日数が経つと根が伸びてしまいます。しかし、定植直後なら根鉢周りにたっぷりかけられるので、薬の効果も高いように思うからです。

<余談>
最寄りのホーマックに行ってベンレートを買ってきたのですが、0.5g/袋が10個入っていいる1箱の値段が640円?でした。
農薬液をつくるときにその必要量を計算すると、
1株に500倍液を500cc潅注するには、べーレートの粉が0.5g必要です。 今回は4株植えたので2g(4袋)となります。 農薬代だけで1株に64円かかることになります。 今回4株植えているので合計256円かかったことになります。 これで確実に効くのならいいのですが、葉にそれらしき兆候がでてきたなら、再度かける必要が出てきます。 そのときはナスの株も大きくなり、それだけ根の範囲も広くなっているので、薬をかけるとなると1回目の倍以上かけないと効かないように思います。 そう考えると、この農薬代はたとえ少額であっても割高のように思えるのです。
それで、もし今夏ナスに半身萎凋病が出なかったら、ベンレート1回の土壌灌注で効果があると判断できるので、栽培農家が使う業務用の100g/袋で1000円前後のものを使おうと思っています。 それにしても、小袋に分けたものは使い勝手は良いのですが、業務用に比べるとべらぼうに割高です。

ナスの半身萎凋病(愛知農業試験場)
 https://www.pref.aichi.jp/byogaichu/seitaitoboujyo/3-nasu/nasu-hannsinnityou.html

 

 

 

ナス

一富士二鷹三なすび・・・・・いわずと知れた初夢の吉兆を占うことわざです。松・竹・梅のようにめでたい席で使われる植物はありますが、どうしてナスが?

ものの本によると、富士、その南にある愛鷹山(1188m)、そしてナスは駿河国の三大名物とか。またの説には、徳川家康は富士の偉容、鷹の風格、ナスの漬物を愛好したことから、とも言われています。

原産地はインド、野生種は発見されていませんが、この地方には栽培から逸脱し、野生化したものが見られるそうです。

わが国には中国を経て渡来しましたが、年代は不詳。 古書から推測すると、1200年以前にさかのぼることは確かです。 農業全書(1696年)には、「なすびには紫白青三色あり。又丸きあり長きあり」と、種類の多いことをあげ、作り方も詳しく書かれており、当時としては重要な野菜でした。

中国や欧米では煮物や油いために用いられ、これを漬物としているのはわが国だけ。ぬかみそ、からし、こうじ、あらゆるものによく調和します。 品種も小型で実の締まった形のよいものが育成され、他国に類を見ないほど発達した野菜です。漬物のほか、ふろ吹き、しぎ焼きなど風味のある調理法もあり、古来から日本人の食生活に密着して、いくつかのことわざさえ生みました。

秋なす嫁に食わすな
秋口のナスは、とてもおいしいので、日ごろ折り合いの悪い嫁にたべさせたくない、という姑の心理なのでしょう。 しかし、秋ナスはタネが少ないので、大事な嫁が子無しになっては、また、おいしいナスを食べ過ぎておなかをこわしては、という心配からという逆説もあります。 しかし、これには科学的な裏づけはありませんし、食べ過ぎて悪いのはナスばかりではないですよね。

親の意見となすびの花は千にひとつの無駄もない
最近の親は、こんなことを言わないでしょうが、私たちの小さいころは、さんざん親から聞かされたものです。 さて、果たしてナスに無駄花がないのでしょうか?
花冠は合弁、先端は裂片となり淡紫色、両性花で1本の花柱(雌しべ)を囲み、5~8本の雄ずいが葯頭を形成しています。 雄しべに比べて雌しべの短いものを短花柱花といい、このような花はほとんど落果します。 両者の長さのほぼ等しいものは、中花柱花で、50%の着花率。雄しべより雌しべの長い花は、長花柱花と呼ばれる健全花で高い着花率を示します。 ナスも人の世も、女性上位の方が安泰なのかもしれませんね。
めまぐるしく多様化する現代、ナス同様親の意見にも無駄が多いのかなと、ふと考えさせられるこのごろです。
ナス

★栽培一口メモ
ナスは南方原産、したがって高温と光線が必要で、寒い年は不作です。 6月に入り暖かくなってから苗を植えること。 マルチやトンネルで保温するとよく生育します。枝を整理して日当たりがよくなるようにしてやりましょう。 生育期間が長いので、収穫初期と中期には追肥も必要です。 初夏になると、毎年ナスが枯れる畑※1は、土中に病菌のいる恐れがあります。 このような畑では、当分作付けを見合わせ、ほかの野菜を作るほうが賢明でしょう。
(札幌市農業センター 林 繁)

※1 毎年ナスが枯れる畑  →  半身萎ちょう病 参照
ナス 半身萎凋病

半身萎凋病の症状が出た葉
家庭菜園でナスに半身萎ちょう病がでたら、接木苗を購入するのが一番良さそうです。 値段が安いからといって、接木をしていない株を植えると、一度、病気の出たところでは、実が大きくなりだして、そろそろ食べようかなと思う頃、7月中旬~下旬にかけて確実に病気の症状がでてきます。

我家のミニ家庭菜園でも萎凋病が出てきました。
今から30年程前、家庭菜園を始めて3~4年後?に半身萎凋病が出て、その後毎年で出るので、20年以上?ナスを植えるのを止めていました。 しかし、畑を少し広げたこともあって、再度、ナスを植えてみました。 最初の1年目は病気は出なかったのですが、その次の年から病気が出始めました。
それで、今年は、接木苗と普通の苗を2株づつ購入して植えてみました。 やはり、普通の苗の1株に半身萎凋病らしい症状が最下葉に出てきています。 まだ、上の方に拡がる気配はないのですが、おそらく、その症状は上の葉に拡がっていくはずです。 雨がしっかり降って、高温で晴天の日が何日か続いた後にナスを見ると、症状が既に出ていた株は萎れた葉が増えて、病気の進行が急に早まったのを実感します。 今まで病気に罹っていなかった株にも、半身萎凋病の症状が出ている株があるはずです。 それはナスの実が大きくなってくる7月中旬、ちょうどこれからです。