石灰硫黄合剤  リンゴ、ナシ

4月3日にリンゴとナシの剪定をして、その翌日に石灰硫黄合剤を散布しました。この農薬は、札幌では芽出し前の3月〜4月上旬に散布します。害虫にも菌類にも効果のある殺虫殺菌剤です。
2022.4.4
石灰硫黄合剤散布直後の写真。 樹冠下の雪が黄色くなっています。 カッパを着て帽子を被って、マスクをして農薬を散布するのですが、散布後に手と顔を洗っても硫黄の匂いが残っています。

害虫は、卵、幼虫、蛹。成虫などで樹皮の間に隠れて越冬します。菌は果樹の蕾や枝などに胞子で越冬します。それらは、気温が上がる5月中下旬、ちょうど草木が芽吹き始める頃に合わせて活動を開始るのです。なので、とりあえず、その樹木(果樹)にいる害虫や菌を駆除しておくことはとても重要です。

この石灰硫黄合剤の作用(病害虫への効き方)は、農薬便覧によると、「硫黄は菌体や虫体への透過力がつよい」と書かれています。
石灰硫黄合剤は強アルカリ性(pH11前後)なので、その液体が虫や菌の体中にしみ込んで殺虫殺菌しているようです。

随分昔の話ですが、私が札幌市農業センター(現在は小金湯さくらの森)で果樹を担当していたときに、「石灰硫黄合剤は垂れ流すようにしっかりかけた方が良い」と教えられたことを思い出します。
その意味は、樹皮の内側に越冬してる害虫の卵や幼虫などに十分液体をしみ込ませるためだったのです。 特に樹木は樹齢を重ねると樹皮が割れ隙間も多くなり、害虫の絶好の越冬場所になります。 古い樹ほどしっかりとかける必要があるのです。我家の洋ナシも樹齢30年を越えて、主幹の樹皮は不規則に割れができています。この部分に害虫の卵や幼虫などが越冬しているのでしょう。今回の久しぶりの石灰硫黄合剤の散布は、枝先はもちろんしっかりと、主幹には液が垂れ流れるようにかけました。

<余計な話>
果樹に石灰硫黄合剤を再度かけるようになった理由はリンゴです。 リンゴ(品種;ふじ)を植えて今年で6年目になるのですが、4年目は1個のみの収穫。 昨年5年目に60個ほど収穫できたのです。 それがとてもとても美味しかったのです。
リンゴの品種フジは、その柔らかな甘さとシャキシャキとした嚙み心地が特徴なのですが、我家のフジは、シャキシャキ感はもちろん、その柔らかい甘さに酸っぱさが加わっているのです。昔のリンゴ品種の旭や紅玉、レッドゴールドを思い出させる甘酸っぱさがあるのです。その美味しさは。スーパーで購入するもの以上で、自分の嗜好にぴったりだったのです、それで、この樹を大事に育てたいと思い、石灰硫黄合剤をかけることにしたのです。

 

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農薬散布

毎年、リンゴ、ナシ、プルーンの果樹4本に、3月下旬から4月上旬にかけて一度、石灰硫黄合剤をかけていました。 この薬は昔からの古い、殺虫・殺菌作用のある農薬です。 また、有機栽培(農薬の使用が厳しく制限される農法)に使ってもよい農薬になっているので、使用するにも安心感があります。

しかし、この薬を雪の残っている時期にかけると、雪面が黄色くなるので住宅街では使いづらく、また、衣服につくと腐った玉子のような、硫黄を含む温泉のような臭いがします。 農薬散布後、顔や手を洗ってもしばらくその臭いが落ちないので、あまり使いたくない農薬なのですが、使い慣れていることと安価なこともあって、30年近く?使ってきました。
今年もそれを使おうと農薬の棚を見るとほとんど残っていなかったので、ホーマックに買い求めました。 ところが、500cc瓶がないので、店員さんに尋ねると、
「もう500cc入りは販売しておりません。 製造元でつくらなくなって、あるのはこの18L入りだけです」と
それが置いてある棚に案内されたのですが、果樹3~4本かけるには量が多すぎるので諦めました。 この薬を使う人が減ったことで、果樹など大量に使用する農家のみを対象にせざるを得ない状況になったのでしょうね。

それで、春先の薬かけに何を使おうか?、虫にも菌にも効く殺虫・殺菌剤ってどんなものがあるの? 調べてみると、サンヨール乳剤、モレスタン水和剤などが並んでます。 しかし、モレスタン水和剤は見知ってはいましたが使ったことがなく、また、それらは2,000~3,000円/500CC本もするので、止めにしました。
それで、今までやってきた、葉が出る前に石灰硫黄合剤の25~50倍液をかけるのではなく、新葉が出てきて展葉する頃の5月上旬~中旬にオルトラン(殺虫剤)とダコニール(殺菌剤)を混ぜて使うことにしました。 5月8に農薬散布実施。
農薬
この2つを使った理由は、
① 手持ちだということ
② オルトランは、殺虫剤としては最も使われているものの一つで、接触性ではなく、浸透性(葉に薬が浸透して、それを食べる又は汁を吸った虫が死ぬ)なので、ある程度の期間効果がある
③ ダコニールも殺菌剤としては汎用性が高く予防的に使う薬