アンジェリア(ハゼリソウ) 景観緑肥

先週土曜日(7月1日)、百合が原公園に行ってきました。 ユリの最盛期には少し早かったのですが、それでも何ケ所かで花が咲いていました。  タケシマユリがちょうど見頃で、園路沿いに開花情報の看板が設置されていました。
百合が原公園にある温室とそれに隣接するリリートレイン駅舎につながるメインストリート沿いの宿根草花壇は今が見頃(6~7月)で、普段見かけない花がたくさん植えられていて、花好きの方にはもってこいのスポットです。 樹木では園内のあちこちにハシドイの白い花がきれいに咲いていました。 サイロ展望台に絡みついているイワガラミの開花には少し早かったようです。 今週末(7月9日)には咲いていると思います。

 

2017.7.1
上下写真の青い部分がアンジェリア。 百合が原公園内を1周するリリートレイン沿いに植えられています。
見慣れない花だったので管理をしている人に尋ねると、「アンジェリア」と教えてくれました。 この名前、 映画に出てくる金髪に青い目の女優さんをイメージしてしまいます。 しかし、これは緑肥に使う作物名です。 それにしてはかわいすぎる?似つかわしくない名前ですねぇ。
2017.7.1
タネまきはおそらく5月上中旬と思います。 緑肥なのでタネがつく前の7月下旬までには土の中にすき込まれるのでしょう。

 2017.7.1
ハゼリソウ Phacelia tanacetifolia(ファケリア タナケティフォリア)、ハゼリカソウ科
カリフォルニア原産の直立性の1年草で、高さ30~100cmくらいになる。 花は淡青色の筒状で小さく、散房状をなし、羽状に切り込んだ葉をもつ。開花期は6~9月。
ヨーロッパへは1832年に紹介され、日本へは戦前に入ってきてハゼリソウという和名をつけられたが、今日ではほとんど使われていない。(園芸植物大辞典)

上述に「今日ではほとんど使われていない」という記述がありますが、私が持っている園芸植物大辞典は1994年発行のものなので、ハゼリソウ(アンジェリア)はその当時は緑肥作物としても使われていなかったようです。 “ アンジェリア ” という名前を「新牧野植物図鑑」(平成20年11月初版)や「朝日百科 植物の世界」(1997.10初版:平成9年)で調べても載っていないのです。 新牧野植物図鑑はハゼリソウの名前さえ載っていませんでした。 おそらく種苗会社がこの商品を売り出すために付けた名前なのではないでしょうか?   2017.7.1
そして、もう一つ、ハゼリソウ(アンジェリア)が1990年頃までは見向きもされなかったのが、なぜ緑肥として使われるようになったのでしょうか?
ここ20~30年の農業生産者の高齢化で遊休農地が拡大して田畑の荒廃が社会的な問題になってい来ていました。 この課題の解決策の一つとして景観緑肥の導入が全国的に盛んになってきたようです。 緑肥作物になる条件として、①安価で大量に種子を生産できて、②発芽率・揃いが良くて、③雑草にも負けない早い成長をして、④肥料成分の含有量が高く、⑤葉や茎が柔らかく分解しやすいことなどの条件が必要です。 アンジェリアは緑肥としてこれらの条件が全て揃っていたかどうかは分かりませんが、それ以上に、他の緑肥にはない青色の花が景観緑肥として注目を浴びたのではないでしょうか。

この時期(6月下旬~7月下旬)、道央や道東へ出かけて、広々とした田畑のところどころに青い部分が見えたら、それはアンジェリアと思って間違いなさそうです。