イヌタデ 石狩川河川敷 

この時期(10月上旬)は例年なら、雪虫が飛ぶなどそろそろ冬を予感させる現象が現れる時期なのですが、今秋は例年になく暖かい?熱い日が続いています。  この好天に誘われて、豊平川の河川敷をサイクリングしてきました。 2019.9.28
写真は石狩川河口近くの河川敷。 緑色の芝草部分は土手の法面で、左側の舗装道路は土手の天端。 写真中央を斜めに横切っている線がサイクリング道路。 遠くに見える樹木帯のその奥に石狩川が流れています。 サイクリングロードと樹林帯の間の赤茶けた部分がイヌタデ(オオイヌタデ)の群生地。
昨年春~夏にかけて、この部分(延長700~800m、幅100m)は、表土を剥いで砕石を敷く工事を行っていました。 秋には砕石が敷き詰められて大げさに言うと真っ白になっていました。
それから半年余、今春、この辺りを通ったときは変化に何も気づかなかったので、おそらく、砂利敷きのままだったのでしょう。

2019.9.28
さらにひと夏が過ぎた5ヵ月余。 そこは薄赤色に染まり、ほとんどイヌタデ(オオイヌタデ)単一の群生地になっていました。 表層土を剥がされたこの場所は、以前はクサヨシなどヨシの仲間を中心に多くの種類?の植物が生えていました。

それが剥がされることによって環境が激変し、一夏でイヌタデ(オオイヌタデ)の群生地に。 どうしてこのような現象が起こったのでしょうか? 工事関係者がタネをまいたのでしょうか? それで河川管理者に尋ねてみました。
「豊平川に架かる雁来橋上流左岸の河川敷にイヌタデが群生していますが、これは河川管理者がタネをまいたのでしょうか?」
「違います。 自然に生えてきたものです。 今回の工事は川の流れを良くするために表土を剥いだのですが、(河川の工事をしていると)このような現象はよくあることで、土壌が攪乱されることによって、土壌中にあったタネが発芽するようです。」
とのこと。
でも、なぜイヌタデ(オオイヌタデ)だけが生えてくるのでしょうか? 土壌の中には他の種子もたくさん混じっているはずなのに。
正確な答えを出すには、専門家による現地での調査やイヌタデ(オオイヌタデ)の発芽試験等特性調査が必要ですが、考えられることは

⓵ イヌタデ(オオイヌタデ)は他の種子に比べて発芽する環境(土壌・温度・乾湿条件)に適していたために、最も早く発芽することができた、
➁発芽後の生育が早く、他の植物の生長を抑えることができた

などですが、それにしても、このような現象に出会えることが面白いというか、楽し
いものです。

  2019.9.7
写真は中央区の環状通歩道脇(この北側に円山墓地がある)に生えているイヌタデ。 ここのイヌタデも規模は小さいですが群生しています。
このイヌタデの草丈は30~50cmですが、石狩川河川敷のインタデは60~120cmありました。 図鑑等で調べると、後者はどうもオオイヌタデのようです。 果実の色もイヌタデの桃色に比べるとオオイヌタデは色が淡いです。 正確な判別方法は茎を包むさや(托葉)に毛があるかないかで見わけがつくようですが、草丈と花色を見ればおおよその検討はすきます。 ちなみに、托葉に粗い毛がある方がイヌタデだそうです。

 

 

イヌタデ

2017.9.7
道端などでよく見かけるイヌタデ。 写真は円山墓地に接する歩道沿いに生えているもの。
2017.9.7
草丈は40~50cmで、タデ科特有の小さな花を穂状につけます。 穂の長さは3~5cm程度。
2017.9.7
犬蓼(別名;アカマンマ、オコワグサ)。 辛味がなくて食用にならないタデの意味です。 別名は二つともままごと遊びから出た名です。 花穂は1~5cmで蜜に花をつけます。 茎を包むさや(托葉)には粗い毛があります。 (北海道の野の花)

高さ20~50cmの1年草。 茎の下部は横に這い、節から発根する。 葉は互生し、長さ4~8cmの披針形~長楕円形で、托葉鞘の上縁に鞘と同長の長い毛がある。(新北海道の花)