キショウブ  要注意外来生物


2018.6.10  中島公園
池畔に咲いています。 この時期、アヤメ属でキショウブと同じ仲間のジャーマンアイリスが庭先や街路樹の植樹枡でよく見かけますが、この種は青~紫系の花が多いので、キショウブの黄色の花が咲いているのを見つけると、ある種の新鮮さを感じます。


2018.6.10
キショウブの花の形状を調べていると、面白いですね、この花には通常の花でいう花弁は1枚もないことが分かりました。
上の写真で分かるように、花被片(外花被片と内花被片がそれぞれ3枚と雌しべ(花柱)3本?3枚?が一つの花を形成しています。 雄しべは雌しべの下に隠れています。 アヤメ(文目)属の花は、花被片(内外3枚づつ)、雌しべ、雄しべそれぞれ3本、子房も3室あり、3が基本のようです。

花被片とは、がくと花弁が区別できない場合(未分化?)のことで、キショウブ(アヤメ属)は花弁が1枚もありませんが、コブシやモクレンなどモクレン属(マグノリア属)は、がくがなく?、花被片と花弁で花ができています。

以前、チョウセンゴミシの花は、同じ株でその年によって雌花だけが咲いたり、雄花だけの場合も、また、雄花と雌花が咲くこともあることを取り上げましたが、植物の変異?進化?は偶然で出来上がっているので、本当に何でもありの世界ですね。

<余談>
キショウブの原産地は、日本ではなく西アジアからヨーロッパで、明治時代に移入されたようです。 アヤメやハナショウブなどアヤメ属は、青~紫~ピンク~白系の花が多く、黄色が珍しいこともあって普及したのでしょう。 今では日本全国で野生化しているそうです。
キショウブは太い根茎を持っており、また、汚れて富栄養化した場所にも生育し繁殖力が旺盛なため、在来種との競合や駆逐等既存の生態系を乱すおそれがあるということで、「要注意外来生物」に指定されています。

調べてみるといろんなことが分かってきます。 この時期、水辺できれいな黄色の花を咲かせるキショウブが要注意外来生物とは思いもよりませんでした。 この花の見方が少し変わってきそうです。