フランスギク 空地にあふれる

シャスターデージー 2016.6.11
6月中旬、ちょうど今頃、道端や空地、手入れの行き届いていない個人の庭、ガレージや物置など家の裏手に、この花をよく見かけます。 白い花が株立状になって咲くのでよく目立ちます。
今から30~40年前は、街路樹の植樹枡など道端でも見かけたけど、個人の庭でも同じように見かけていたような気がします。 しかし最近は、新興住宅地の庭ではまったく見られません。 その一方で道端や空地などでやたら目につきます。 完全に野生化しているようです。

シャスターデージー 2016.6.11
フランスギク:路傍や空地に生える多年草。 茎の高さ30~50cm、まばらに枝分かれする。 葉は倒卵形~倒披針形で長い柄をもち、両面とも無毛。頭花は径5cmほどになり、枝頂に単生する(枝先に1個の花をつける)。・・・・・・・・・・ 北海道、本州に分布。特に北海道に多い。 原産地はヨーロッパの温帯地域。 渡来は江戸時代末期で、観賞用の栽培から逸出。 シャスターデージーも観賞用に広く栽培されフランスギクに似るが、葉は革質で、ふつう頭花も大きい。(日本の帰化植物)

シャスターデージー 2011.6.21
シャスターデージー 2016.6.11

<余談:この時期、道端や空地でよく見かけるキク咲きの白い花はシャスターデージー?それともフランスキク?>

そのように教えてもらったのか?、それとも、自分で調べてそう思い込んでしまったたのか?、まったく記憶にないのですが、このブログを書き始める前まで、6月中旬に道端などに株立状になって白いキク花を咲かせる植物は、シャスターデージーと思っていました。 しかし、“北海道の野の花” や 新北海道の花などで調べてみると、シャスターデージーという名前は索引にはなく、どちらの本もフランスギクのみが載っているのです。
〇北海道の花(北海道新聞社)
花期  : 6月~8月
生育地 : 道端、庭先、
草丈  : 30~90cm
〇新北海道の花(北海道新聞社)
花期  : 6月~8月
生育地 : 道端や空地、時に高山帯の道端や草地まで浸出
草丈  : 30~50cm

ウェブページ:ガーデニングの図鑑では、
シャスターデージーは、アメリカの育種家ルーサー・バーバンクによって1901年に作出された園芸品種です。 交配に利用されたのは、フランスギク、ヨーロッパ原産のマキシムム種(Leucanthemum maximum)、西ポルトガル原産のラクストレ種(L.lacustre)、日本のハマギクの4種です。 日本へは1940年に導入されています。「シャスターデージー」の名前は、カリフォルニア州にあるシャスタ山に由来します。 万年雪に覆われたこの山の近くで育成されたとも、純白の花を雪の白さに見立てたとも言われています。

世界の植物(朝日新聞社)では、
牧野富太郎が1929年にバーバンクにちなんで、学名(Chrysanthemum.burbankii Makino)をつけた。 牧野富太郎は植物体の記載はしなかったが、自宅に栽培していたものから多数の標本をつくった。 これを見るとフランスギクに似て全体が大きく、頭花は直径6~7cmある。 茎や葉にはちじれた毛がある。 多年草でよく分岐し、高さ1.0mくらい。 茎の下部の葉は花期には枯れる 。 中部の葉は倒披針形で、基部は狭まってやや茎を抱き、縁には鋭い鋸歯がある。 長さ12cm~16cm。 上部の葉は細く小さくなる。

ということで、
シャスターデージーは、フランスギクや日本のハマギクなどを掛け合わせた交配種なので、タネで増える場合、その次の世代以降は個々の株に明らかな違い(先祖帰りする)が出てくるはずなのに、道端に群生しているシャスターデージーを見てもそれぞれの株に茎の太さや花の大きさなど多少の違いはあるにせよ、それほどの違いが見当たりません(但し、交配元のマキシムム種やラクストレ種がどんな花か知らないのではっきりしたことは言えないのですが) 。 となると、土手や空地に野生化しているものは、人工的に掛け合わせてつくられたシャスターデージーではなく、一つの種(しゅ)であるフランスギクということになるようです。 但し、人間の手で飢えた個人の庭や街路樹の植樹枡に咲いているものは、フランスギクかシャスターデージー、両者の可能性があります。