ムラサキウマゴヤシ(2) 紫馬肥し

9月下旬になると朝晩は冷え込みますが、陽射しがある日中は過ごしやすく快適です。 今年の9月は30℃超えの日が何日かあるなど全般に暖かい日が多く、しかも晴れの日が多かったように思います。 そして、ここ数日晴天が続き、大陸から乾いた空気が流れてきて朝晩の冷え込みも急で、公園の樹木や札幌周辺の山々では紅葉・黄葉が始まりかけました。 葉が淡黄化するヤチダモは、周りの少し色あせた樹木の葉の中で存在感を現しています。 後2~3週間もすると札幌周辺の山々は黄色に染まります。 今秋の晴天の多さは例年に比べてより鮮やかで美しい紅葉を見せてくれそうな予感がします。 札幌の短い秋本番が始まろうとしています。

今回の話題はムラサキウマゴヤシ。 スプラウト(発芽野菜)としてのアルファルファ、こちらの名前の方がよく知られています。

2019.7.10
写真は豊平川の堤防(東橋下流左岸)に生えているムラサキウマゴヤシ。 土手の多
くの部分を被っています。 草丈は0.6~1.0mになります。
2019.7.29
豊平川の堤防(ミュンヘン大橋上流右岸)に生えているムラサキウマゴヤシ。 7月上旬?中旬?の草刈り後に生えてきたムラサキウマゴヤシ。

豊平川の堤防(東橋~ミュンヘン大橋)にこの植物が多くみられるのは、堤防の植生の更新若しくは改良が行われるときに、この種子が使用されているためのようです。 具体的には、改良または更新を行う土手の草を剥がし、その後に数種の種子を混ぜた土をその法面に吹き付ける方法です。 その数種のタネの中にムラサキウマゴヤシが入っているようです。

今夏の札幌は雨が少なかったために芝生地は赤茶けて芝草の伸びは悪かったのですが、ムラサキウマゴヤシは例年通りに伸びているよです。
雨が少なくても(乾燥に強く)、一度や二度、草を刈られても全然平気で、他の雑草を抑えて勢力拡大できる丈夫さを持っているようです。そして最近、この植物が豊平川の土手で勢いを増して拡大しているように見えます。

2017.7.25
写真は札幌市の北部を東西に走る国道337号の中央分離帯。 以前、10年?程前まではこのムラサキウマゴヤシを見かけることはありませんでした。 ところがここ最近、写真のように、この植物がやけに目立つようになってきたのです。 草刈り後の成長が早く、他の植物を圧倒する生長を示すのです。

ムラサキウマゴヤシの根は地中5~10mまで入っていくといわれています。 一度試しにこの草を引っこ抜こうとしたのですが、土が固いこともあってか無駄でした。 何回か試して引っこ抜いた根は表面を走っている裂けた根の一部でした。
このことは、河川管理者にとって洪水時の土手の土壌侵食を防ぐ意味では最良の植物なのですが、豊平川のサイクリングを楽しむ人間にとっては、この植物だけが勢力を拡大して単一の植生になるのは少し寂しい感じがします。

2019.9.20
写真はムラサキウマゴヤシの花と種子。 茎の各葉腋から3出葉が数枚出てその先に花をつけます。 近づいてい見ると 葉腋ごとに種子がびっしりついています。 
2019.9.20                                                      2019.9.20
ウマゴヤシの種子。 左はまだ未熟種子。 右は完熟したもの。
種子の殻の形状が面白いです。 ゼンマイ状にくるくると捻じれています。

<アルファルファ>
マメ科の多年草で,ヨーロッパ原産。ムラサキウマゴヤシの和名もある。乾燥地,寒冷地などで多量の収穫をあげる牧草として有名である。日本には明治の初期に輸入された。高さ 30~90cm,根が深く,よく乾燥に耐える。栄養,ビタミン類も豊富で牧草としては特にすぐれ,また緑肥として土地の改良にも効果がある。芽生えたばかりのものは食用にもされる。ヨーロッパからの帰化植物である。(ブリタニカ国際大百科事典より抜粋)

日本では明治時代に導入されたが、多湿で酸性土壌の多い日本での生産は定着せず、ごく一部が野生化するに留まっていた。しかし、近年では北海道北海道農業研究センター及び雪印種苗により耐病性・耐寒性を持たせた新品種が開発され、栽培が広まっている。 (ウィキペディアより一部抜粋)

 

 

 

ムラサキウマゴヤシ  アルファルファー

2017.8.5
写真は豊平川の堤防。 場所は南22条大橋下流左岸(柏中学校側)。
写真では雑草が生えている法面に見えますが、この法面はムラサキウマゴヤシ(アルファルファー、ルーサン)でびっしり埋め尽くされています。
自転車で上流(南側)に向かって進んでも、このムラサキウマゴヤシがミュンヘン大橋上流まで続いています。
2017.7.10
ムラサキウマゴヤシは、マメ科で、花の大きさは2~3cm、クローバーを一回り小さくしたくらいでしょうか。 花色は濃い紫から白に近いものまで幅があり、写真の花が平均的な色です。
2017.7.10
葉は3出葉で、細長く2cm弱の大きさ。
下の写真は種子ができつつあるところ。
2017.8.5
ムラサキウマゴヤシは、名前のとおり ミネラルも豊富で、栄養価の高さから「飼料の王様」と呼ばれています。 他の草花では到達できないような根が地中5~10mに達することやマメ科特有の根粒菌の共生により土壌からの養分(窒素)吸収能力が高いために、乾燥重量あたりの栄養価は極めて優れており、世界的に飼料作物として利用されています。
当植物は飼料としての起源は古く、メソポタミア(現在のイラン辺り)が原産地と考えられており、日本には明治時代に導入されました。 多湿で酸性土壌の多い日本では生産は普及しませんでした。 しかし、近年、北海道の北海道農業研究センター及び雪印種苗により耐病性・耐寒性を持たせた新品種が開発され、栽培が広まっています。
(ウィキペディア等抜粋要約)
また、家庭でタッパートレイに水を浸してタネを発芽させてつくるアルファルファプラウト(極細のモヤシ)もサラダなどの料理に利用されています。 栄養価が高く、テレビなどマスコミで取り上げられています。
ムラサキウマゴヤシは、牧草として野菜として利用されていて、いいとこづくめのようなのですが・・・・・・・・・。
2017.8.5
写真真ん中のピンクの花はクローバーで、周りに咲いているのがムラサキウマゴヤシです(解りづらですが)。
ムラサキウマゴヤシは草丈が50cm前後から高いものは1m以上になります。 一方、クローバーは大きくなっても50cmくらいまでで、草丈ではムラサキウマゴヤシにとても敵いません。
この辺りは以前もっとクローバーが生えていたような気がするのですが、現在では園路脇に追いやられ細々と生き残っているといった状態です。 この土手の法面に覆っているムラサキウマゴヤシと共存?しているのは花梗がそれより高く伸びるノラニンジンくらいで、既存の帰化植物さえ駆逐するその生命力は極め付けです。 この繁殖力を目の当たりにすると、有用な植物だけに、この植物が今後札幌でどのように勢力を拡大していくのか少し不安な気持ちを抱いてしまいます。