テレビの天気予報は関東以西でサクラが満開を迎えていると伝えています。2月の厳しくて寒い冬が一転して、例年にない早いサクラの開花になっています。
サクラの開花は温度が高くなることが基本ですが、その前に、サクラのつぼみが開花準備に入るため(冬の眠りから覚めるためには)ある一定期間冬の寒さにあたる必要があります。これを休眠打破といいます。そして、その寒さが厳しいほど、つぼみはその後の温度に敏感に反応するのだそうです。たとえば、2月の気温が高いと休眠打破が起こりにくくなり(目覚めが悪くなる)、3月の気温が高めでも、思ったほど早く開花することにはならないのだそうです。
今年の異常に早いサクラの開花は、2月の厳しい寒さと3月に入ってからの、特に中旬以降の春を通り越して初夏のような気温がサクラの開花を早めたようです。
しかし、札幌は相変わらす雪の世界です。札幌市の積雪の深さはまだ1m前後あります。今年の根雪が消えるのは、4月中旬になるのでしょうか。ちなみに、通常の年は4月上旬(3日)ですが、雪の消えるのが最も遅かった年は、1984年の4月16日だそうです。
先週の日曜日 森林総合研究所に行ってきました。雪は相当締まってきましたが、長靴で歩くとまだ雪の中に足をとられることがびたびあります。それで西洋カンジキを履いて樹木の中を散策です。夏場には下草が生い茂って入って行けない場所も冬場はらくらくOKです。そこで見つけたのがこれです。
2013.3.17
見たこともない冬芽です。枝がゴツゴツした感じに見えます。冬芽の横の大きな丸い痕は何なんでしょう?葉痕?それにしては大きすぎます。うぅーんと悩みながら、「もしかしてウワミズザクラかもしれない?」と思い、同研究所の別の場所に樹高8~10mのウワミズザクラがあるので、そこに行き確認することにしました。二つは同じ冬芽の形態をしていました。特に、冬芽の横の丸い痕が同じです。これはウワミズザクラと確信しました。
その冬芽の横の丸い痕はというと、落枝痕なのだそうです。ウワミズザクラは小枝がパラパラと落ちる樹なんですね。
“樹に咲く花”には、「側枝は秋になるとほとんど脱落し、翌年の春に葉の展開とともに同じ節から伸びだすので、小枝は節くれだってジグザクになる。」とあります。
2012.4.21
4月中旬に芽吹きます。
2012.5.19
5月中旬につぼみがあがってきます。
2012.5.27
そして、5月下旬にやっと開花です。樹冠全体に白い花を咲かせます。
2012.5.27
2012.5.29
ウワミズザクラは、シウリザクラやエゾノウワミズザクラと同じような姿の花を咲かせます。筒状をした花の長さ(花序)は15cm前後でしょうか
2012.5.27
このウワミズザクラを公園や自然林で見たことがありません。札幌の周辺では見ない樹です。森林総合研究所で樹冠全体に真っ白い花を咲かせたウワミズザクラを見たときは、このような樹が公園などにもあっても良さそうだと思ったのですが、サクラはやはり、ソメイヨシノやヤマザクラのような咲き方をするのがサクラで、サクラという名がついても、サクラのようでサクラのようでない花を咲かせるウワミズザクラは、サクラとして扱ってもらえないようです。
名前の由来
牧野新日本図鑑では
ウワミゾザクラ(上溝桜)の転訛したものである。昔亀甲で占いを行うとき、この材の表面に溝を彫って使ったので上溝という。
いまいちはっきりしない説明ですが、亀甲占いってどんな占いなんでしょうね?
興味のある方は、以下のアドレスへ
http://ameblo.jp/kamemaru555/entry-11136120376.html
追記(2013.3.31)
ウワミズザクラという名の由来については、亀の甲の裏に溝をつけハハカの木(ウワミゾザクラの木)で起こした火で焼いてできるひび割れの形で占う亀トから、この木をウワミゾザクラ(上溝桜)といい、それが訛ったものとの説が広く行われているが、上溝ではなく占溝、裏溝あるいは占見と解する方がよいという深津正の考えが妥当であろう
「木の大百科」より
Data
・科名 バラ科
・属名 サクラ属
・学名 Prunus grayana
・花期 5月下旬~6月
・分布 日本、中国中部、本道は南西部 “北海道主要樹木図譜”では、「北海道南部の肥沃な林地に普通で、ブナノキ、エゾエノキ、トチノキ、アサダなどと混交。北限は小樽。」分布:北海道、本州、四国
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春が待ち遠しいですね
ウワミズザクラ、小樽にも山の際などに生えています。
「サクラ」なのにあまり目立たなくひっそりとしたイメージですが、
とても美しいと思います。
6枚目の写真には、ハチの姿が映っていますね。
いい写真ですね!!!
雪が融ける前の、冬芽の観察、私も日課です。
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こんばんは
いつもコメントありがとうございます。
ウワミズザクラを見たのは森林総合研究所でだけで、他の場所では見たことがないのです。
「札幌の植物」(札幌とその周辺に、どの場所にどんな草花、樹木が分布しているかを調査した本)を見ると、山、公園、市や町など57地点のなかで、小樽市にfだけに〇がついているのです。
また、北海道主要樹木図譜には、北限を小樽としてます。分布は北海道、本州、四国となっていますが。
トチノキも元々札幌には自生していなくて、同著では、小樽市、銭函・天狗山、春香山の3箇所に〇がついているだけです。小樽と札幌では、距離はそれほど離れていなくても、海岸部と内陸部の違いがあって、その差がトチノキやウワミズザクラに分布の違いとして出てくるのでしょうね。
それにしても、小樽にはウワミズザクラが普通に見られる樹のようですが、小樽水族館に行く途中の山裾にも生えているのでしょうか?
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独特な雰囲気をもつ桜ですね~。
こちらではブナ林帯の代償植生内や中山間部で見られます。
ヤマザクラなどとはひと月くらい間を置いて開花しています。
ソメイヨシノはようやく所々ほころび始めてきましたが、平野部周辺ではヤマザクラが見頃を迎えています。
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おたる水族館周辺では見たことないです。。。
小樽商大の付近の山にある遊歩道などでは、
花穂が揺れているのを見かけますよ!!
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こんばんは。
こちらは、まだ辺り一面雪の世界です。
サクラが咲くまでには1ヶ月ちょっとの時間が必要です。
ウワミズザクラは、エゾヤマザクラの開花後、3週間遅れで続きます。
それにしても、関東以西に住む人々が羨ましい。
どうしようもないのですが、羨ましい。
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小樽商大のウワミズザクラ、機会があれば見に行きたいです。
一つ疑問に思ったのですが、
花穂が垂れている との話ですが、
ウワミズザクラは花穂はぴんと上に伸びるような花の咲かせ方をします。
花穂がたれるのは、
もしかして、エゾノウワミズザクラかもしれませんね。