ヤドリギ 開花

2026.4.20
公園樹木ハルニレに着生しているヤドリギ。ヤドリギの大きさは大小様々ですが、大きいものは直径が50cmくらいになるのでしょうか。
公園などで見かけるヤドリギは、あちらこちらと散逸的に樹木に着生しているのではなく、高木の1本若しくは近くにある数本の樹木に着生していることが多いようです。 2026.4.20
ヤドリギの開花株
2026.4.20
ヤドリギは雌雄異株(雄花が咲く株と雌花が咲く株が別々)。

写真はおそらく雄株(花の大きさ;5~7mm)。雌株の花は、花の中央に丸い膨らみがあるが、花の大きさは2~3mmと雄花に比べてかなり小さい。
もし、ヤドリギの雌花が咲いていたとしても、ヤドリギは幹枝の高い部分に着生していて、しかも、雌花は雄花に比べて地味でかなり小さいので、それに気づかなかったのでしょう。

🔵ヤドリギのまだ小さい若木、樹木の幹に対して水平に枝を伸ばすヤドリギを見かけます。それは垂直の幹にどのようにしてタネを落ち着かせ、根を張るのでしょうか?

→ ヤドリギって、どうして樹の垂直面に着生できるの?

 

 

ブドウ(バッファロー)の枯死

4年前に植えたブドウ(品種;バッファロー)が昨年の夏に突然枯れてしまいました。
以下の➀~③は、ブドウの枯れた年の春から夏までの経緯
①新芽がでてきたので、5月中旬に芽かき、
②6月上旬から新しく伸びてくるツルの間隔を適正に保つための誘因もして、
③7月上旬にはタネ無し化のためのジベレリン処理もしました。
異変に気づいたのは、③のジベレリン処理をする少し前、6月下旬ごろでしょうか?
葉の色が例年に比べて薄い、新梢の伸びが良くないと思っていました。 それでもブドウの粒は直径5mmに、房の長さも10cm前後にはなってきていたのです。
確実におかしい、変だと思い始めたのが7月中旬頃。ツルは全く伸びず、葉色はだんだんと薄くなっていきました。このころになると例年なら葉腋(葉の付け根;)から脇芽が伸びてきているのですが、それが全くなかったのです。そして、8月中旬を過ぎると葉は褐色に、果実は7月上旬からほとんど大きくならなかったのです。

ブドウが枯れた原因についてネットなどで調べてみたのですが、それらしき答えは見つかりませんでした。一つ「それかな?}と思い当たる節がありました。 それは、果樹全般に言えることですが、
「苗木を植えて実を成らせるのは3~4年経ってから」
と言います。
その理由は、幼木若しくは若木に実を成らせると木に負担がかかり樹勢を弱らせ、寒さ(耐寒性)や病気に対する抵抗性が低下するためです。 しかも、我が家のブドウ(バッファロー)には植えて2年目、翌年からタネ無し化と果実の肥大化のためのベレリン処理を毎年2回行っていました。 この処理は、ブドウ木の生理バランスを変える作用があったり、果実の肥大化は当然に樹勢を弱めます。

以上の事柄がブドウが枯れた、ではなく、枯らした原因ではないか と推測していました。

雪も解けて庭の土も乾いてきたので、家の周囲や庭の片づけを始めました。昨年ブドウが枯れたので、同じ場所にキウイを植えようとその場所を掘り返しました。 2026.4.13  そのときに撮った写真;ブドウの根と地際の幹

根と接する10cm弱の幹の細い部分から本来の幹の太さになっています。 この細い部分はネズミ(ヤチネズミ?)が食害したようです。幹を一周きれいに食われています。
おそらく、ブドウが枯れる前年の冬にネズミにやられたようです。
「有限会社ユニテックス大阪・有限会社ユニテックス HP 油脂・油化事業の会社」さんの画像をお借りしました。

🔵 ブドウがネズミに食害された詳細
上図の樹木の断面図を見てください。樹皮、形成層、辺材、心材という単語があります。樹皮の内側に形成層があって、そのまた内側に辺材、心材と中心に向かいます。それぞれ幹を一周しています。

食害されたブドウ(写真)は、おそらく、樹皮、形成層、辺材の部分まで食害されて、残ったのは一部の辺材と心材だけのようです。
毎年、形成層を境に外側に師部(葉で作られた養分を幹や根に運ぶ管)と木部(根から枝葉に水分と養分を運ぶ管)を作るのですが、師部は樹皮となって剝がれていき、木部は辺材に、最後は心材にとなって蓄積されます。木部のうち「まだ水を運んでいる部分」が辺材で、機能を失い貯蔵・支持に特化した部分が心材です。

心材は死んだ組織で根からの水分や養分を全く通すことはありません。辺材も樹皮に近い部分は水を通しますが、年数を経た心材に近い内側の辺材はほとんど水を通さなくなっているようです。

今回、ネズミに食害されたブドウは、とりあえず、6月中下旬?までツルを伸ばし、果実も小さいながらも付けました。そのころまでは根から水は上がってきたようです。 このことは辺材の一部は残っていたことになります。 夏が来るまでは少ない水分でかろうじて生きてきたものの、夏に向かうに従って葉の枚数・面積も多くなり、果実も小さいながらも付けていて、夏の暑さと水分不足で持ちこたえきれなくなったのでしょう。

ブドウの枯死の原因は、私が思い描いていた幼木時からの実の付け過ぎではなく、ネズミの食害によるものでした。
この4月にブドウの植えてあったところにキウイを植えました。 今冬はネズミ対策として、地際の樹皮を保護するもの、例えば50cmほどの円筒状の筒か、金網を巻くなどの対策をする必要がありそうです。

⇒ この樹はどのようにして生きているのか?

 

 

 

堆肥(15)  植物の根と菌類の関係(その4)

🔵 菌根菌とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の関係

菌根菌とは、植物の根と共生する菌類の総称で、大きく分けると、外生菌根菌(ECM菌)と内生菌根菌(AM菌)があります。
・外生菌根菌は主に森林樹木(ブナ科・マツ科など)と共生する菌で種類は約7,000~10,000種以上と非常に多く、マツタケ、シメジ、テングタケのように秋になると立派なキノコ(子実体;植物の花に当たる生殖器官)を付けます。
・一方、内生菌根菌(AM菌)は、根の内部にアーバスキュール(樹枝状体)を作るのが特徴で、子実体(キノコ)を作らない種類です。土中に菌糸を拡げ地上には出てこないタイプです。繁殖は土壌中の胞子によって行われ、数は300~500種と少ないですが、全植物の約80%と共生しています。

この二つの菌根菌以外に、酸性土壌で栄養吸収を助けるツツジ科に特化したエリコイド菌根菌や、種子の発芽に必要な栄養を菌から得るラン科植物に必須のラン菌根などがあります。ラン科植物はこの菌がないと発芽・成長できないのです。

🔵 内生菌根菌(AM菌)=アーバスキュラー菌根菌は、なぜ、全植物の大半と共生することができたのか?

アーバスキュラー菌根菌(AM菌)が陸上植物の大半と共生できたのは、 植物の陸上進出初期から共生関係が始まり、その仕組みが植物界全体に 受け継がれてきたためでです。AM菌は植物を選ばない汎用的な共生システムを持ち植物の免疫反応を刺激しないで、リン酸などを供給するなど、植物にとって大きな利益をもたらしました。これらのことが植物とAM菌との共生を永続させる基盤となり、現在の植物の 約80%がAM菌と共生するようになったのです。

🔵「 AM菌は植物を選ばない汎用的な共生システムを持ち、・・・・・」 について
野菜を犯す病原菌は、例えばトマトを例にとると、うどんこ病は一つの種(しゅ)だけれども、トマトにつくうどんこ病はトマト専用のうどんこ病菌で、トマトについたうどんこ病が横に育っているキュウリにはつかないのです。 キュウリにはキュウリ専用のうどんこ病が付くのです。 これは病原菌の一つの特徴で、「宿主特異性」という性質を持っており、特定の植物にしか感染できない「専門家」のような進化を遂げています。かし、AM菌にはそのような特異性が病原菌のように強くはないのです。 このことは、植物側にとってAM菌には害がなく、反対に、栄養を供給してくれる、利益を与えれくれる存在だったので、植物が自分の身を守る防御的なシステムを作る必要がなかったのです。 植物側は、AM菌を認識すると根の細胞を緩めて菌を受け入れて、アーバスキュール(樹枝状の栄養交換器官)形成を誘導するような共通する遺伝子プログラムを持つようになったのです。これが全植物の大半がAM菌と共生している理由です。

ビワ 収穫

豊平公園緑のセンターの相談で、
「鉢に植えてあるビワを植え替えたいが、いつ頃が良いか?」
という質問を受けました。
その質問者は、1.5m?の大きさになるビワを育てていて、今春、ビワを10個ほど収穫したとのこと。美味しく頂いたことを楽しそうに話されていました。
植替えについては、
「 ビワを3月中に食べられたようなので、植替えは、収穫後の、札幌でも暖かくなるこれからが適期です。」
と答えました。

ビワについては、5年前に以下のブログを投稿しています。

ビワ  開花

2021.11.6
先日、東京に立ち寄ったついでに新宿御苑に行って、そこで撮ったビワの樹。樹高は4m強?、ウェキペディアでは5~10m、NHK趣味の園芸では2~5mと書かれているので、写真のビワは成木に近いと言っていいのではないでしょうか
 2021.11.16
写真の中央にビワの花が咲いています。 その左右全面に奥の濃緑の葉と違う薄緑色の葉が見えます。最近芽出しした若葉のようにも見えます。 調べてみると、多くのwebページに、ビワは春・夏・秋と3回し伸長すると書かれています。ので、写真の若葉も秋に芽出しした葉なのでしょうか。
 2021.11.16
ビワは11月~翌年の1月にかけて温度の低い時期にゆっくりと開花していくようです。 花は良い香りがするそうですが、残念ながら、今回はその香りを嗅ぐことはできませんでした。
ビワの花は一見するとあまり目立たず寂しい印象ですが、暖かそうな綿毛に包まれた小さな花には風情があります。12月頃から枝の先に白色五弁の小花をたくさん付け、花の色が白から黄みを帯びてくるにしたがって、香りが徐々に強くなってきます。

<余談>
地球の北半球に育つ樹木のほとんど?は春から夏にかけて花を咲かせ、その年の秋にに実を生らせます。 わざわざ寒くなる冬に向かって花を咲かせ、その翌年に実を生らせる樹木は、珍しい部類に入ると思うのです。 日本では、サザンカ、チャの部類でしょうか。 しかし、東京よりもっともっと寒い札幌でも、ビワと同じ生活史を持つ樹木があるのです。
 2011.11.4
それはアメリカマンサクです。 日本に自生するマンサクは札幌では4月に花を咲かせるのですが、webページで検索すると、本州ではアメリカマンサクはマンサクと同じ時期の2〜3月に咲くらしいのです。 しかし、札幌では原生地の北アメリカと同じ秋です。

⇒ アメリカマンサク:2年越しの結実

 

本州では、ビワは10~11月に花を咲かせ、翌春の5~6月に果実を生らせます。札幌の屋外では冬を越せないので、鉢の栽培になります。特に、晩秋に開花、冬期間に果実が大きくなり、翌春に収穫というパターンは、札幌の冬期間の室内の環境(室内は15~25℃前後の気温があって、温度的にはビワにとって問題はないのですが、札幌の冬はどんよりした空と雪の日が多く、日照時間が極めて少ない)を考えると、果実は成らないか、若しくは小さな実で、成ってもスーパーで買うような鮮やかなビワ色した果実が穫れるとは思ってもいなかったのです。
ところが、相談者は
「きれいなビワ色の実を美味しく頂きました」
と楽しそうに仰るのです。

🔵 それでは、なぜ札幌の室内で美味しい実がとれたのか?

札幌で、暖地性の果樹、例えば、ミカンやアボカドなどを収穫して美味しく食べたという話は聞いたことがありません 。 アボガドは、豊平公園緑のセンター展示温室という条件の良い場所でも、花は咲くが実は成らないのです。
それは、両者とも年間を通して太陽の強い光を要求する植物だからです。ミカンは光要求度が非常に強く、糖度・品質に直結します。 日本のミカン産地を見渡しても、冬でも毎日日照が得られて、日照時間は200時間/月で、静岡、和歌山、愛媛など関東以西の太平洋沿岸地域です。
一方、ビワが収穫できる我が故郷、福井県の若狭地方は、冬場の日照量は60~80時間/月で、太平洋沿岸地域の1/3少なさです。毎日どんよりとした曇りの日が多いのです。 札幌の冬場の天候も我が故郷と似たり寄ったりで、シベリアから吹き込む北風が強く曇天の日が多い日本海側特有の気象です。

ビワは陽樹?陰樹か?で分けると陽樹に属しますが、アボガドやミカンなどの柑橘類の光要求度ほど強くはなく、ある程度光があれば育つ、実をつけるようです。言い換えれば、光がたくさんあればより美味しい果実ができるが、ある程度の光でも、それほど強い光が無くても果実は育つのです。
ビワは、札幌のような北国でも、室内で春先に美味しい実が食べられる珍しい果樹のようです。

🔵 余計な話

ビワについては懐かしい思い出があります。
我が家では、お土産などを頂いたときは、必ず仏壇に供え、しばらく経ってからいただくのが決まりでした。 まだチョコレートやケーキなど美味しいお菓子が無かった頃、今から70年近く前、昭和20年代末から30年代初頭 、小学生1~3年の頃ので、学校から帰ってくると、
「今日は何かお供物があるのかな?」
と必ず仏壇を見るのがくせになっていました。
春、5月?のある日、仏壇を見ると黄色ものが供えられていました。
それがビワで分かると、母親にねだって食べることができました。
その当時、いただくビワの実は、現在スーパーで売っているような大きなものではなく、しかも果肉の割にタネが大きて食べるところが少なかったのです。あのビワ特有の素朴な甘さは、いまでも幼少期の懐かしい思い出の一つです。

 

 

堆肥(14) 植物の根と菌類の関係(その3)

今から5億年前弱(地球が誕生して41億年が経過)、ゼニゴケ様の植物が陸上に進出したとき、すでに陸上に進出していた菌類は菌糸で岩盤を溶かしながらその中に入り込み栄養素を取り出すことができていました。
一方、植物は仮根だけでは十分な栄養を吸収できず、菌類の菌糸が仮根に絡みついてリンなどの無機栄養を供給しました。 この原始的な菌根との共生こそが、陸上植物の生存と進化を可能にしたのです。植物が陸上に進出した当初から両者は共生関係にあったのです。言い換えれば、植物は菌類との共存無しにでは陸上への進出はできなかったのです。
堆肥(13)植物の根と菌類の関係(その2)で記述したように、ゼニゴケ様植物の仮根はリンや窒素、微量要素を吸収する能力を持っているのですが、仮根だけでは栄養を取り込む力が弱かったので、菌類の菌糸が仮根の周囲に絡みつき、栄養を届けるという関係が自然に成立したのです。

🔵アーバスキュラー菌根菌(AM菌)

植物の根と最初に共存した菌がアーバスキュラー菌根菌と考えられています。菌類は菌糸を土壌中の微細な隙間に入り込ませ、植物の根の届かない何倍もの範囲から栄養を吸収することができるのですが、このアーバスキュラー菌根菌は、その菌糸を植物の根の細胞内に入れて、アーバスキュール(樹枝状構造)を作り、土壌中から吸収したリン酸などの栄養分を植物に渡します。一方、植物は光合成で作った糖を菌に渡すというお互いが利益を得る「相利共存」の関係にあったのです。

〇 それでは、植物と菌根菌はお互いにどれくらいの量、割合を物々交換いていたのか?

研究によれば、おおよそ、植物の光合成でつくられた有機物で4~20%を菌類が受け取っていて、反対に、植物が菌類から受け取るリン酸や微量要素などの栄養素、例えば最も量の多いリン酸では、植物が吸収するリン酸の50~90%をアーバスキュラー菌根菌が供給し、土壌がリン不足の場合はほぼ100%を菌が供給する例もあるそうです。

リン酸は土壌中の鉄(Fe)やアルミニウム(Al)といった金属イオンと結びついて、水に溶けない化合物(リン酸塩)になって、植物はそれを根から 吸収できなくなります。 例えば、畑にリン酸を含む肥料をまくと多く(70~90%)は数日~数週間で不溶化(根が吸収できなくなる)してしまいます。その意味で、植物にとってアーバスキュラー菌根菌は、切っても切れない大きな役割を果たしている存在だといえます。