堆肥(16) 植物の根と菌根菌の関係(その5) 外生菌根菌(ECM菌)

植物の根と共生する菌根菌には、大きなグループとして内生菌根菌(AM菌)と外生菌根菌(ECM菌)があります。内生菌根菌(AM菌)は堆肥(15)で取り上げたので、今回は外生菌根菌(ECM菌)です。

内生菌根菌(AM菌)⇒  堆肥(15)  植物の根と菌類の関係(その4)

外生菌根菌は、全植物の80%と共生する内生菌根菌と違って、※特定の樹木と強い共生関係をつくっています。地球上の樹木の種類は約70,000種で、その内ECM菌と共生している樹木が6,000~7,000種なので、樹木全体の約10%がECM菌と共生していることになります。
※ 特定の樹木とは
・ブナ科  ;ブナ、ナラ(ミズナラ)、カシワ、クリなど
・カバノキ科;シラカバ、ハンノキなど
・マツ科  ;アカエゾマツ、トドマツ、カラマツなど
・その他  ;ポプラ類、ユーカリ類など

また、ほとんどすべての樹木は何らかの菌根菌と共生しており、外生菌根菌(ECM菌 )と共生していない樹木(主に広葉植物)は、内生菌根菌(AM菌)と共生関係にあります。

🔵 外生菌根菌(ECM菌)の特徴;内生菌根菌(AM菌)との違い

特徴 外生菌根菌(ECM菌) 内生菌根菌(AM菌)
① 共生する樹木  ブナ科、カバノキ科など  それ以外の樹木
② 根への侵入 細胞外のみ(細胞内に入らない) 細胞内に侵入しアーバスキュールを形成
③ 形成構造 マントル(外套)、ハルティヒネット アーバスキュール、ベシクル
④ 子実体(きのこ) 多くがきのこを作る きのこを作らない
⑤ 生育環境 森林土壌(腐植が多く貧栄養) 草地・農地・一般的な土壌
⑥ 栄養吸収 有機態窒素・リンの吸収に強い 無機態リンの吸収に特に強い

🔵 外生菌根菌の特徴
・外生菌根菌はキノコ(子実体)を作るのが特徴で、近くの公園の芝生地や樹木の近くに生えているキノコ、あれが外生菌根菌(ECM菌)の花(子実体、生殖器官)です。 樹木周辺の地下には菌糸が張り巡らされています。
〇 内生菌根菌と外生菌根菌では栄養の吸収ではどのような違いがあるのか?
内生菌根菌はリン酸の吸収に能力を発揮し、植物のリン酸吸収量の60~90%を賄っていると言われていますが、一方の窒素についてはその力は弱いようです。 一方、外生菌根菌は窒素分の吸収力に優れ、樹木の窒素吸収量の40~80%を賄っていますが、リン酸についてそれほどではないようです。
・森林には落葉や枯枝など未分解の有機物が毎年蓄積されますが、ECM菌はこれらを分解する酵素を持っているので、その中に含まれる窒素を樹木に供給することができるのです。

我が家の庭にリンゴ・洋ナシ・ブラックベリーの果樹があり、毎春それらを剪定し、細かく刻んで畑に入れています。
「もし、その細かく刻んだ枝をECM菌が分解して、窒素を供給してくれれば、もっと真剣になって剪定枝を畑に入れる気になるのに」
と、ふと思ったのです。
それで、AIにこのことを尋ねると、
「落ち葉や枯れ枝を畑に入れても、それだけで ECM菌(外生菌根菌)が畑に定着することはほぼありません。 理由は、ECM菌が共生できる植物(特定の樹木としか共生できない)が畑には存在しないためです。」

とAIに言われました。 しかし、畑に剪定枝を入れることは、有機物を分解する土壌微生物(菌類や細菌など)のエサになり、その効果は、
・腐植が増える
・団粒構造が形成される
・保水性・通気性がよくなる
・土が柔らかくなる
などの利点が多くあります。
別の言い方をすると、
有機物を畑に入れないと「土がやせる」「作物が穫れなくなる」ので、これからも、剪定枝を畑に入れていこうと思っています。

🔵 では、 なぜ、ECM菌は野菜などの草本類と共生できないのか?

〇 ECM菌とAM菌の根の構造の 違い
・内生菌根菌(AM菌 )は、細胞内にアーバスキュールという樹枝状菌糸構造をつくり、そこで栄養源のやり取りをしている。
・一方、外生菌根菌は(ECM菌)は、細胞内ではなく、細胞と細胞の間に菌糸を侵入させ、張り巡らして養分のやり取りをする
・そして、外生菌根菌(ECM菌)は内生菌根菌(AM菌)には無い、根の表面に菌鞘(さや):マントルをつくること、これが両者の大きな違いです

〇  ECM菌が野菜などの草本類と共生できない理由
・野菜などの草本類の根は細胞間隙が小さく、ECM菌が侵入できるスペースがないことと、草本類の根は表皮が薄くて柔らかく、根毛が密生しているため、マントルの形成に適していない、要は物理的に共生ができない
・草本類は細根が大量に出る「ひげ根」タイプで寿命が短いが、一方、ECM菌と共生している樹木は、根毛が少ない、表皮が厚くマントルの形成に適しているなど、ECM菌と共生するための構造を持っている

植物の根の構造(細胞間の幅、細胞壁の柔らかさ)や形状(ひげ根・根毛の多さ)がECM菌と共生できるかどうかを決めているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特定の樹木と強い共生関係をつくっています。

 

内生菌根菌(AM菌)は植物根の細胞内に入り込んでアーバスキュール(樹枝状体)を作りますが、外生菌根菌は根の外側に菌糸の層(マントル)を、根に入り込んで 細胞間に菌糸を巡らす菌糸の網(ハルティヒ網)を形成する2つのパターンがあります。

外生菌根菌は、根の表面に何層も重なって菌糸の膜をつくるマントル、それは乾燥や病原菌から根を物理的に保護する働きをします。もう一つの菌糸、ハルティヒ網は根に入り込みますが、細胞内ではなく細胞と細胞の間に菌糸を入り込ませ、そこで菌類と植物の栄養交換をしています。樹木が菌類に光合成で合成した糖(でんぷん)を、菌類は根から遠くに広げた菌糸でリン・窒素・微量要素などを吸収し植物に供給します。

内生菌根菌(AM菌)はリンの供給に優れていますが、外生菌根菌(ECM菌)は窒素や微量要素など内生菌根菌に比べると栄養素全般を吸収します。

内生菌根菌は地球上の80%の植物と共生していますが、外生菌根菌は

 

堆肥(15)  植物の根と菌類の関係(その4)

🔵 菌根菌とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の関係

菌根菌とは、植物の根と共生する菌類の総称で、大きく分けると、外生菌根菌(ECM菌)と内生菌根菌(AM菌)があります。
・外生菌根菌は主に森林樹木(ブナ科・マツ科など)と共生する菌で種類は約7,000~10,000種以上と非常に多く、マツタケ、シメジ、テングタケのように秋になると立派なキノコ(子実体;植物の花に当たる生殖器官)を付けます。
・一方、内生菌根菌(AM菌)は、根の内部にアーバスキュール(樹枝状体)を作るのが特徴で、子実体(キノコ)を作らない種類です。土中に菌糸を拡げ地上には出てこないタイプです。繁殖は土壌中の胞子によって行われ、数は300~500種と少ないですが、全植物の約80%と共生しています。

この二つの菌根菌以外に、酸性土壌で栄養吸収を助けるツツジ科に特化したエリコイド菌根菌や、種子の発芽に必要な栄養を菌から得るラン科植物に必須のラン菌根などがあります。ラン科植物はこの菌がないと発芽・成長できないのです。

🔵 内生菌根菌(AM菌)=アーバスキュラー菌根菌は、なぜ、全植物の大半と共生することができたのか?

アーバスキュラー菌根菌(AM菌)が陸上植物の大半と共生できたのは、 植物の陸上進出初期から共生関係が始まり、その仕組みが植物界全体に 受け継がれてきたためでです。AM菌は植物を選ばない汎用的な共生システムを持ち植物の免疫反応を刺激しないで、リン酸などを供給するなど、植物にとって大きな利益をもたらしました。これらのことが植物とAM菌との共生を永続させる基盤となり、現在の植物の 約80%がAM菌と共生するようになったのです。

🔵「 AM菌は植物を選ばない汎用的な共生システムを持ち、・・・・・」 について
野菜を犯す病原菌は、例えばトマトを例にとると、うどんこ病は一つの種(しゅ)だけれども、トマトにつくうどんこ病はトマト専用のうどんこ病菌で、トマトについたうどんこ病が横に育っているキュウリにはつかないのです。 キュウリにはキュウリ専用のうどんこ病が付くのです。 これは病原菌の一つの特徴で、「宿主特異性」という性質を持っており、特定の植物にしか感染できない「専門家」のような進化を遂げています。かし、AM菌にはそのような特異性が病原菌のように強くはないのです。 このことは、植物側にとってAM菌には害がなく、反対に、栄養を供給してくれる、利益を与えれくれる存在だったので、植物が自分の身を守る防御的なシステムを作る必要がなかったのです。 植物側は、AM菌を認識すると根の細胞を緩めて菌を受け入れて、アーバスキュール(樹枝状の栄養交換器官)形成を誘導するような共通する遺伝子プログラムを持つようになったのです。これが全植物の大半がAM菌と共生している理由です。

堆肥(14) 植物の根と菌類の関係(その3)

今から5億年前弱(地球が誕生して41億年が経過)、ゼニゴケ様の植物が陸上に進出したとき、すでに陸上に進出していた菌類は菌糸で岩盤を溶かしながらその中に入り込み栄養素を取り出すことができていました。
一方、植物は仮根だけでは十分な栄養を吸収できず、菌類の菌糸が仮根に絡みついてリンなどの無機栄養を供給しました。 この原始的な菌根との共生こそが、陸上植物の生存と進化を可能にしたのです。植物が陸上に進出した当初から両者は共生関係にあったのです。言い換えれば、植物は菌類との共存無しにでは陸上への進出はできなかったのです。
堆肥(13)植物の根と菌類の関係(その2)で記述したように、ゼニゴケ様植物の仮根はリンや窒素、微量要素を吸収する能力を持っているのですが、仮根だけでは栄養を取り込む力が弱かったので、菌類の菌糸が仮根の周囲に絡みつき、栄養を届けるという関係が自然に成立したのです。

🔵アーバスキュラー菌根菌(AM菌)

植物の根と最初に共存した菌がアーバスキュラー菌根菌と考えられています。菌類は菌糸を土壌中の微細な隙間に入り込ませ、植物の根の届かない何倍もの範囲から栄養を吸収することができるのですが、このアーバスキュラー菌根菌は、その菌糸を植物の根の細胞内に入れて、アーバスキュール(樹枝状構造)を作り、土壌中から吸収したリン酸などの栄養分を植物に渡します。一方、植物は光合成で作った糖を菌に渡すというお互いが利益を得る「相利共存」の関係にあったのです。

〇 それでは、植物と菌根菌はお互いにどれくらいの量、割合を物々交換いていたのか?

研究によれば、おおよそ、植物の光合成でつくられた有機物で4~20%を菌類が受け取っていて、反対に、植物が菌類から受け取るリン酸や微量要素などの栄養素、例えば最も量の多いリン酸では、植物が吸収するリン酸の50~90%をアーバスキュラー菌根菌が供給し、土壌がリン不足の場合はほぼ100%を菌が供給する例もあるそうです。

リン酸は土壌中の鉄(Fe)やアルミニウム(Al)といった金属イオンと結びついて、水に溶けない化合物(リン酸塩)になって、植物はそれを根から 吸収できなくなります。 例えば、畑にリン酸を含む肥料をまくと多く(70~90%)は数日~数週間で不溶化(根が吸収できなくなる)してしまいます。その意味で、植物にとってアーバスキュラー菌根菌は、切っても切れない大きな役割を果たしている存在だといえます。

 

 

堆肥(13) 植物の根と菌類の関係(その2)

植物と菌類は、どのようして共生関係を持つようになったか?

🔵 地球の誕生から植物が陸上に進出するまで

地球の誕生は、46億年前に超新星の爆発がきっかけで太陽系の形成が始まり、それから1,000~3,000万年の時間をかけて現在の地球の大きさになったようです。 その頃の地球は火の玉で、それがゆっくり冷えていって水蒸気ができ雨となり海ができます。海ができるまで1~2億年かかったと考えられています。
その海に原始生物が誕生し、次に有機物を生成する生物、つまり、光合成を行う生物(シナノバクテリア)が現われます。その生物は有機物をつくる過程で酸素を出します。 それが海に供給され、海が酸素を持ち切れなくってやっと海の外に出てきます。 そして、大気になるのですが、その密度になるまでの時間の長さはおおよそ30億年。 現在からすると約16億年前に現在私たちが吸っている空気、大気が出来上がったことになります。
地球が誕生してから30億年という途方もない年月をかけて陸上に生物が進出できる環境が整ったのです。植物が実際に陸上に進出したのはそれから11億年の年月を要します。現在から約5億年弱前です。地球誕生から約41億年が経っています。

🔵 最初に陸上に進出したのはどんな生物だったか?

生物が陸上に進出し始めたころ、海の中では三葉虫やオウムガイが生息し、コンブなどの藻類が繁茂していました。海の中はすでに生物で溢れて?いたのです。
一方、陸地は植物が存在しないので有機物などはなく、岩石の塊がごろごろしている火星や月のような状態だったのでしょう。 しかし、波打ち際など海岸線では海中で繁茂していた微生物の遺骸が岩の表面にマット状にあり、また、海中で育っていたコンブなどの海藻類や魚類等の死体が打ち上げられて有機物が存在していたのです。
実は、植物が陸上に進出する数千万年前には、菌類が陸上に進出していたと考えられています。菌類は細い菌糸を伸ばして岩石を酸で溶かしてミネラルを吸収する能力を持っていましたが、自らエネルギー(糖)を作り出す光合成はできませんでした。

🔵 それでは菌類はどのようにして生き延びていたのか?

菌類が陸上に進出したときには、既に海中には細菌や菌類などの微生物が大量に存在し、海藻類や三葉虫などの節足動物もいました。それらの遺体や残骸が波打ち際に打ち上げられ、特に微生物の遺骸が海岸などの水際や岩などにへばり?ついていて、菌類はそれを分解してエネルギーを得ていたようです。

植物が陸上に進出する時点で、海には既に大量の生物が存在し、海岸線にはそれらの遺骸が岩などにへばりつき、菌類はそれらをエサに繁殖していたのです。
このような条件の中で、植物が陸上に進出する形態がどのようなものであったのか?、現在最も有力な説は、地衣類が陸上に進出したのではないかと考えられています。

🔵 地衣類とは一体どんな植物なのか?

菌類が藻類(またはシアノバクテリア)を体内に住まわせてできた「二者一体の共生体」で、菌類が体の形をつくり、一方、藻類が光合成で糖を合成し菌類に提供していました。
2015.4.8
アオダモの樹皮についている白や灰色の模様が地衣類と思われるもの。 AIにこの写真を添付して尋ねると、地衣類と回答。

地衣類は植物の祖先ではないのですが、陸上生態系のごく初期に出現した 重要な生物のひとつです。菌類と藻類が共生することで乾燥に強く、 栄養の乏しい岩肌でも生育できたため、岩石の風化や初期の土壌形成に 大きく貢献しました。 このような地衣類や菌類の活動によって陸上環境が整えられたことが、 後に植物が陸上へ進出するための重要な土台となったのです。

🔵 陸上に最初に進出した植物

最初に陸上に進出した植物は、少しじめじめした日陰に育つゼニゴケのような形状したコケの仲間だったようです。
植物が陸上に進出した頃(今から約5億年弱前)には、既に菌類や地衣類が陸上に進出していました。
海に生息するコンブやワカメは海水で生きていけますが、陸上の植物は真水が必要です。しかし、内陸には海のように有機物はほとんどなく無味乾燥な石の世界です。
しかし、ゼニゴケに似たコケ類は、菌類や地衣類が増殖することによって有機物が堆積した場所、河川の岩場・河原や湧水の傍など常に水分があって湿気っている場所、そんな場所で生き延びていたのです。

植物が陸上に進出したときには、海には既に菌類、一時的に海水に浸かるような海岸には地衣類が生息していました。 しかし、陸上に上がるには、塩分を含んだ海水ではなく真水が必須です。両者は陸上に上がる前に海水から真水に適応する必要があったのです。 その場所は、川が海に注ぐ河口付近や湖でした。そのような汽水域で徐々に真水に適応していったのです。

ゼニゴケに似たコケ類は、自身を体を定着・支えるために仮根を出し、その仮根は栄養源を吸収できないと言われていたのですが、最近の研究で、リン酸を始めとする栄養源を吸収できることが判ってきました。 なので、ゼニゴケ様コケ類は仮根を含めた体全体で栄養を吸収していたようです。

そして、ゼニゴケ様の初期陸上植物=コケ類は、すでに陸上にいた菌類と共生し、リン酸などの栄養吸収を助けてもらうこと、言い換えれば、菌糸が植物の根の役割を果たすことで陸上生活が可能になったのです。

🔵 最初に陸上に進出した植物と共生した菌はアーバスキュラー菌根菌(AM菌)。

 

堆肥(12) 植物の根と菌類の関係(その1)

植物は光合成で有機物をつくり、それを使って自分の体を大きくしています。一方、菌類は植物がつくった有機物を利用して菌糸の増殖とそれの維持をしています。樹木がボロボロになるということは、物が腐る、分解するということで、菌類が有機物(樹木)を分解して、その中の栄養を利用していることです。馬や牛が草(植物)をエサにして生きているのと同じ関係にあります。
これは、与える側(植物)と搾取する側(動物)の関係ですが、植物と菌類の関係はそれ以外の側面も持っています。 それは「共生」の関係です。 菌類は有機物を分解するだけではなく、植物に土壌から取り込んだ栄養を植物に供給し、反対に植物からも必要な栄養をもらっています。

植物と菌類の関係を大まかにまとめると以下のようになります。
① 枯死した植物を分解し、そこから栄養分を得る菌類(腐生菌)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・70~80%
② 生きた植物と共生する菌(共生菌;相互に栄養交換を行う)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10~20%
③ 生きている植物に侵入して栄養分を得ることで、植物を病気又は枯死させる菌(うどんこ病やえき病菌)・・・・5~10%

植物に悪さをする菌類はごく僅か(5~10%)で、その他多くの菌類は枯死した植物を分解して自分の栄養にしています。その割合は菌類全体の70~80%です。残りの10~20%の菌類が植物と相互に栄養を交換する共生の関係にあるのです。ちなみに、地球上に存在する菌類の種類は約15万種といわれています。これは正式に名前がついているもの、ちゃんと学名があるものです。推定では、まだ知られていないものがおおよそ300万種あるといわれています。

次回からは、
・植物と菌類がどのようして共生関係を持つようになったのか?
・共生菌にはどのような種類があるのか?
・植物と菌類は具体的にどのように共生しているのか?
などを調べてみたいと思っています。