ツリバナの胴枯病  犯人判明

今から7年前(2019年)に南区にあるエドウィン・ダン記念公園で、胴枯病と思われる症状で枯れかかったツリバナを見つけました。その後、真駒内公園でも同じ症状のツリバナを見かけました。

そのときは、樹皮の枯れ具合から、自分では確信的に何らかのカビ菌が原因でこの症状が出ると思っていました。 以下のブログは、その当時のツリバナの被害状況を記しています。

⇒ ツリバナ  胴枯病
⇒ ツリバナ 胴枯病(その2) 

それから3年後(2022年)の秋、樹木医会北海道支部による研修会が中島公園で開催されました。 そのときに中島公園の関係者から、
「中島公園内の日本庭園とその周辺にあるツリバナが枯れてきている。 これは何が原因か?教えてほしい」という質問が出ました。
現場で症状の出ているツリバナを見ると、エドウィン・ダン記念公園や真駒内公園にあるツリバナと同じ病徴を示していました。
その後、上述の中央区や南区の公園以外にも枯死症状を示すツリバナが見つかっています。

🔵 ツリバナの枯死原因
南区エドウィン・ダン記念公園のツリバナの枯死株を見つけて7年がたちます。今から2年前(2024年9月)に樹木医会北海道支部のホームページに、 ツリバナの枯損原因に関する情報提供が掲載されました。

🔵 ツリバナの新害虫「マサキナガタマムシ」 樹木医会北海道支部のホームページより
札幌市内のエドウィン・ダン記念公園や中島公園など、札幌市内の公園や庭木のツリバナを加害している害虫が判明しました。
 本年(2024年)6月29日に樹木医会北海道支部のメンバーで、中島公園のツリバナから幼虫がいそうな枝を採取し室内飼育したところ、15頭羽化しました。
 成虫を森林総合研究所北海道支部を通じ、※石川県ふれあい昆虫館で同定していただいたところ、「マサキナガタマムシ」であるとのことでした。
マサキナガタマムシは、これまで北海道には生息していないとされていましたが、今回新たに北海道での生息が確認されたことから、今後ツリバナの害虫として注意が必要です。
石川県ふれあい昆虫館の「日本産タマムシ大図鑑」の著者の一人である福富宏和氏に同定していただいています。

🔵 マサキナガタマムシ
⇒ マサキナガタマムシhttps://yohbo.main.jp/Buprestoidea/masaki_naga.html
※「マサキナガタマムシ」は、「対馬のタマムシ」のページの一部。
・体長約6.5 mm前後の小型ナガタマムシ類で、マサキ(柾)などニシキギ科植物を主な寄主とするタマムシ科の昆虫(甲虫)
・ナガタマムシは、卵→幼虫→蛹→成虫の完全変態
・成虫の餌は、花の蜜・若葉が主
・幼虫のエサは木の内部で、形成層付近の師部(葉でつくった養分を幹や根に運ぶ管)や木部の外側(根が吸い上げた水分や養分を葉に運ぶ管)を食い荒らす。
・その部分は水分が豊富で、最も栄養があり柔らかい部分 2023.9.8
・真駒内公園の枯損したツリバナの幹。樹幹の縦横に筋が走っているが、これがマサキナガタマムシの幼虫がエサを食べるために残した痕跡
・樹皮は完全に向けて木部の堅い部分が露出
・マサキナガタマムシは、タマムシ科ナガタマムシ属で、ナガタマムシ属は世界に約3,300種、日本には数十種と推定されている
・マサキナガタマムシは今まで北海道に生息していなかったが、マサキナガタマムシと同属のナガタマムシ類がシラカバなどの樹木に15種以上確認されている

🔵 ツリバナの枯損枯死を胴枯病と見間違った理由(推測)
・写真は、マサキナガタマムシがツリバナを食害した痕。 蛇行する赤い筋は、マサキナガタマムシが樹皮下の師管や若い木部を食害してできた孔道痕。
・この部分が枯死している
・食害痕が赤く見えるのは、樹皮下の組織が酸化して褐変したため(鉄が錆びると赤くなる、リンゴの皮をむくと果肉が赤くなるのと同じ現象)
食害痕(孔道)が枯死後、二次的に腐朽菌が侵入し、樹皮がボロボロになる ⇒ これが胴枯病と勘違いした理由

 

 

西洋シャクナゲ   豊平公園


2016.6.5
豊平公園の花木園にある西洋シャクナゲ。 樹高は約3m。6月上旬が見頃
2026.6.7

2026.6.7
豊平公園緑のセンターすぐ横;西側):地下鉄東豊線豊平公園駅近く)、園路沿いに植栽されている西洋シャクナゲ

2026.6.7
西洋シャクナゲは、1個の蕾から10個前後の花が咲くものが多い。


2012.6.3
北大植物園のシャクナゲ。 高さは約4m。名前;ロードデンドロン  フォーチュネイ(Rhododendron  Fortunei)
ロードデンドロンはツツジ属を、フォーチュネイは、このシャクナゲを紹介した人の名前 を表す。
北大植物園を探索していて、このシャクナゲに出会ったときは、
「こんなに上品で美しいシャクナゲを見るのは初めて」
と心の高鳴りを覚えました。
白地をベースに蕾のピンクが淡く白に溶けていく色合いは、なんとも上品で美しい。それに樹姿が端正で、花の咲き方が段状に、ある種整然と花を咲かせる姿は気品があります。


2016.6.5
西洋シャクナゲの花色は、白~ピンク~紫の系統が多く、黄色の西洋シャクナゲは少ない。黄色系シャクナゲでは地面に這うように拡がるキバナシャクナゲが良く知られているが、花色が黄色と言っても淡い黄色で、写真のような黄色のシャクナゲはほとんど見かけない。
ヒバ類の生垣の間に植えられて、垂れ下がるように咲いているこの黄色のシャクナゲは、遠くからでも目を引く。


2011.7.24
シャクナゲは5月上旬から咲き始めるが、見頃は5月中下旬~6月上旬。
シャクナゲの仲間で最も遅く咲くのがハクサンシャクナゲ。写真は豊平区西岡にある森林総合研究所北海道支所で撮ったもの。撮影時期は7月下旬。

2013.7.6
我家から近い住宅街の個人宅にあった、おそらく、ハクサンシャクナゲ。幹の直径が20cm以上、樹高が3m前後の立派なもの。

 

ヤドリギ 開花

2026.4.20
公園樹木ハルニレに着生しているヤドリギ。ヤドリギの大きさは大小様々ですが、大きいものは直径が50cmくらいになるのでしょうか。
公園などで見かけるヤドリギは、あちらこちらと散逸的に樹木に着生しているのではなく、高木の1本若しくは近くにある数本の樹木に着生していることが多いようです。 2026.4.20
ヤドリギの開花株
2026.4.20
ヤドリギは雌雄異株(雄花が咲く株と雌花が咲く株が別々)。

写真はおそらく雄株(花の大きさ;5~7mm)。雌株の花は、花の中央に丸い膨らみがあるが、花の大きさは2~3mmと雄花に比べてかなり小さい。
もし、ヤドリギの雌花が咲いていたとしても、ヤドリギは幹枝の高い部分に着生していて、しかも、雌花は雄花に比べて地味でかなり小さいので、それに気づかなかったのでしょう。

🔵ヤドリギのまだ小さい若木、樹木の幹に対して水平に枝を伸ばすヤドリギを見かけます。それは垂直の幹にどのようにしてタネを落ち着かせ、根を張るのでしょうか?

→ ヤドリギって、どうして樹の垂直面に着生できるの?

 

 

ブドウ(バッファロー)の枯死

4年前に植えたブドウ(品種;バッファロー)が昨年の夏に突然枯れてしまいました。
以下の➀~③は、ブドウの枯れた年の春から夏までの経緯
①新芽がでてきたので、5月中旬に芽かき、
②6月上旬から新しく伸びてくるツルの間隔を適正に保つための誘因もして、
③7月上旬にはタネ無し化のためのジベレリン処理もしました。
異変に気づいたのは、③のジベレリン処理をする少し前、6月下旬ごろでしょうか?
葉の色が例年に比べて薄い、新梢の伸びが良くないと思っていました。 それでもブドウの粒は直径5mmに、房の長さも10cm前後にはなってきていたのです。
確実におかしい、変だと思い始めたのが7月中旬頃。ツルは全く伸びず、葉色はだんだんと薄くなっていきました。このころになると例年なら葉腋(葉の付け根;)から脇芽が伸びてきているのですが、それが全くなかったのです。そして、8月中旬を過ぎると葉は褐色に、果実は7月上旬からほとんど大きくならなかったのです。

ブドウが枯れた原因についてネットなどで調べてみたのですが、それらしき答えは見つかりませんでした。一つ「それかな?}と思い当たる節がありました。 それは、果樹全般に言えることですが、
「苗木を植えて実を成らせるのは3~4年経ってから」
と言います。
その理由は、幼木若しくは若木に実を成らせると木に負担がかかり樹勢を弱らせ、寒さ(耐寒性)や病気に対する抵抗性が低下するためです。 しかも、我が家のブドウ(バッファロー)には植えて2年目、翌年からタネ無し化と果実の肥大化のためのベレリン処理を毎年2回行っていました。 この処理は、ブドウ木の生理バランスを変える作用があったり、果実の肥大化は当然に樹勢を弱めます。

以上の事柄がブドウが枯れた、ではなく、枯らした原因ではないか と推測していました。

雪も解けて庭の土も乾いてきたので、家の周囲や庭の片づけを始めました。昨年ブドウが枯れたので、同じ場所にキウイを植えようとその場所を掘り返しました。 2026.4.13  そのときに撮った写真;ブドウの根と地際の幹

根と接する10cm弱の幹の細い部分から本来の幹の太さになっています。 この細い部分はネズミ(ヤチネズミ?)が食害したようです。幹を一周きれいに食われています。
おそらく、ブドウが枯れる前年の冬にネズミにやられたようです。
「有限会社ユニテックス大阪・有限会社ユニテックス HP 油脂・油化事業の会社」さんの画像をお借りしました。

🔵 ブドウがネズミに食害された詳細
上図の樹木の断面図を見てください。樹皮、形成層、辺材、心材という単語があります。樹皮の内側に形成層があって、そのまた内側に辺材、心材と中心に向かいます。それぞれ幹を一周しています。

食害されたブドウ(写真)は、おそらく、樹皮、形成層、辺材の部分まで食害されて、残ったのは一部の辺材と心材だけのようです。
毎年、形成層を境に外側に師部(葉で作られた養分を幹や根に運ぶ管)と木部(根から枝葉に水分と養分を運ぶ管)を作るのですが、師部は樹皮となって剝がれていき、木部は辺材に、最後は心材にとなって蓄積されます。木部のうち「まだ水を運んでいる部分」が辺材で、機能を失い貯蔵・支持に特化した部分が心材です。

心材は死んだ組織で根からの水分や養分を全く通すことはありません。辺材も樹皮に近い部分は水を通しますが、年数を経た心材に近い内側の辺材はほとんど水を通さなくなっているようです。

今回、ネズミに食害されたブドウは、とりあえず、6月中下旬?までツルを伸ばし、果実も小さいながらも付けました。そのころまでは根から水は上がってきたようです。 このことは辺材の一部は残っていたことになります。 夏が来るまでは少ない水分でかろうじて生きてきたものの、夏に向かうに従って葉の枚数・面積も多くなり、果実も小さいながらも付けていて、夏の暑さと水分不足で持ちこたえきれなくなったのでしょう。

ブドウの枯死の原因は、私が思い描いていた幼木時からの実の付け過ぎではなく、ネズミの食害によるものでした。
この4月にブドウの植えてあったところにキウイを植えました。 今冬はネズミ対策として、地際の樹皮を保護するもの、例えば50cmほどの円筒状の筒か、金網を巻くなどの対策をする必要がありそうです。

⇒ この樹はどのようにして生きているのか?

 

 

 

ビワ 収穫

豊平公園緑のセンターの相談で、
「鉢に植えてあるビワを植え替えたいが、いつ頃が良いか?」
という質問を受けました。
その質問者は、1.5m?の大きさになるビワを育てていて、今春、ビワを10個ほど収穫したとのこと。美味しく頂いたことを楽しそうに話されていました。
植替えについては、
「 ビワを3月中に食べられたようなので、植替えは、収穫後の、札幌でも暖かくなるこれからが適期です。」
と答えました。

ビワについては、5年前に以下のブログを投稿しています。

ビワ  開花

2021.11.6
先日、東京に立ち寄ったついでに新宿御苑に行って、そこで撮ったビワの樹。樹高は4m強?、ウェキペディアでは5~10m、NHK趣味の園芸では2~5mと書かれているので、写真のビワは成木に近いと言っていいのではないでしょうか
 2021.11.16
写真の中央にビワの花が咲いています。 その左右全面に奥の濃緑の葉と違う薄緑色の葉が見えます。最近芽出しした若葉のようにも見えます。 調べてみると、多くのwebページに、ビワは春・夏・秋と3回し伸長すると書かれています。ので、写真の若葉も秋に芽出しした葉なのでしょうか。
 2021.11.16
ビワは11月~翌年の1月にかけて温度の低い時期にゆっくりと開花していくようです。 花は良い香りがするそうですが、残念ながら、今回はその香りを嗅ぐことはできませんでした。
ビワの花は一見するとあまり目立たず寂しい印象ですが、暖かそうな綿毛に包まれた小さな花には風情があります。12月頃から枝の先に白色五弁の小花をたくさん付け、花の色が白から黄みを帯びてくるにしたがって、香りが徐々に強くなってきます。

<余談>
地球の北半球に育つ樹木のほとんど?は春から夏にかけて花を咲かせ、その年の秋にに実を生らせます。 わざわざ寒くなる冬に向かって花を咲かせ、その翌年に実を生らせる樹木は、珍しい部類に入ると思うのです。 日本では、サザンカ、チャの部類でしょうか。 しかし、東京よりもっともっと寒い札幌でも、ビワと同じ生活史を持つ樹木があるのです。
 2011.11.4
それはアメリカマンサクです。 日本に自生するマンサクは札幌では4月に花を咲かせるのですが、webページで検索すると、本州ではアメリカマンサクはマンサクと同じ時期の2〜3月に咲くらしいのです。 しかし、札幌では原生地の北アメリカと同じ秋です。

⇒ アメリカマンサク:2年越しの結実

 

本州では、ビワは10~11月に花を咲かせ、翌春の5~6月に果実を生らせます。札幌の屋外では冬を越せないので、鉢の栽培になります。特に、晩秋に開花、冬期間に果実が大きくなり、翌春に収穫というパターンは、札幌の冬期間の室内の環境(室内は15~25℃前後の気温があって、温度的にはビワにとって問題はないのですが、札幌の冬はどんよりした空と雪の日が多く、日照時間が極めて少ない)を考えると、果実は成らないか、若しくは小さな実で、成ってもスーパーで買うような鮮やかなビワ色した果実が穫れるとは思ってもいなかったのです。
ところが、相談者は
「きれいなビワ色の実を美味しく頂きました」
と楽しそうに仰るのです。

🔵 それでは、なぜ札幌の室内で美味しい実がとれたのか?

札幌で、暖地性の果樹、例えば、ミカンやアボカドなどを収穫して美味しく食べたという話は聞いたことがありません 。 アボガドは、豊平公園緑のセンター展示温室という条件の良い場所でも、花は咲くが実は成らないのです。
それは、両者とも年間を通して太陽の強い光を要求する植物だからです。ミカンは光要求度が非常に強く、糖度・品質に直結します。 日本のミカン産地を見渡しても、冬でも毎日日照が得られて、日照時間は200時間/月で、静岡、和歌山、愛媛など関東以西の太平洋沿岸地域です。
一方、ビワが収穫できる我が故郷、福井県の若狭地方は、冬場の日照量は60~80時間/月で、太平洋沿岸地域の1/3少なさです。毎日どんよりとした曇りの日が多いのです。 札幌の冬場の天候も我が故郷と似たり寄ったりで、シベリアから吹き込む北風が強く曇天の日が多い日本海側特有の気象です。

ビワは陽樹?陰樹か?で分けると陽樹に属しますが、アボガドやミカンなどの柑橘類の光要求度ほど強くはなく、ある程度光があれば育つ、実をつけるようです。言い換えれば、光がたくさんあればより美味しい果実ができるが、ある程度の光でも、それほど強い光が無くても果実は育つのです。
ビワは、札幌のような北国でも、室内で春先に美味しい実が食べられる珍しい果樹のようです。

🔵 余計な話

ビワについては懐かしい思い出があります。
我が家では、お土産などを頂いたときは、必ず仏壇に供え、しばらく経ってからいただくのが決まりでした。 まだチョコレートやケーキなど美味しいお菓子が無かった頃、今から70年近く前、昭和20年代末から30年代初頭 、小学生1~3年の頃ので、学校から帰ってくると、
「今日は何かお供物があるのかな?」
と必ず仏壇を見るのがくせになっていました。
春、5月?のある日、仏壇を見ると黄色ものが供えられていました。
それがビワで分かると、母親にねだって食べることができました。
その当時、いただくビワの実は、現在スーパーで売っているような大きなものではなく、しかも果肉の割にタネが大きて食べるところが少なかったのです。あのビワ特有の素朴な甘さは、いまでも幼少期の懐かしい思い出の一つです。