樹まぐれ日記

サイカチ

南区に“北の沢山の子”という名前の公園があります。面積は約4,500㎡で、街区公園(旧児童公園)としては大きめです。滑り台やシーソーなどの遊具や砂場など普通のどこにでもある公園です。しかし、札幌市内には大小様々、数にして約2700もの公園があるのですが、おそらく、たぶん、この公園にしかないものがあります。
1-003 サイカチ 北の沢山の子公園(赤字)2013.7.21
“サイカチ”いう名前の樹です。写真中央の樹で、高さは7~8m、目通幹径が約30cmです。樹齢は、この公園が昭和53年に造られていますので、その時に植えられたとすると40~45年くらいでしょうか。葉の形状はニセアカシアに良く似ていて、大きさはその半分くらいでやや小さめです。一見、どこにでもあるような樹に見えます。
ところが、この樹の特徴は、なんと言っても、
2013.7.21
その“とげ”です。写真は、徒長枝にできた“とげ”で長さ5cmほどですが、
2013.1.6 森林総合研究所
長さ10cm以上もある“とげ”ができ、それが枝分かれして、とげ針のかたまりのようになっています。そして、それらは、何年も何十年も?、相当長い期間幹に付いたままのようです。
この公園のサイカチの幹にはそのような塊状の“とげ”は取り除かれていますが、通常、子供達の遊び場である公園に、このような危険な“とげ”を持つ樹を植えることはありません。それではなぜこの樹がこの公園にあるのでしょうか? サイカチは北海道に自生はしていないので、おそらく、公園造成時に、同じ科の、葉の形状が似ているニセアカシアと取り間違えて植えられたようです。このようなことは往々にして起こることです。
2011.5.30
同じ科に属するニセアカシアやネムノキと同じように、芽出しは遅いようです(正確にいうと、芽は5月上旬にでるのですが、それからの成長が遅く、写真の大きさになるまでに時間がかかるようです。)
2011.7.9
7月上旬、枝先に長さ10cmほどの花軸が伸びます。
2011.7.16
そして、7月中旬~下旬に直径が1cmに満たない小さな花を咲かせます。。
2012.8.4

サイカチの葉のつき方は、たらの芽でお馴染みのタラヨウと同じ2回羽状複葉です。現場では気付かなかったのですが、短枝(花が咲き、果実を付ける枝)は偶数羽状複葉のようです(樹に咲く花より)。
2013.12.2
晩秋から初冬に、葉がすっかり落ちてしまうと気付くのが、樹上高くにぶら下がっている褐色の果実です。
2013.12.2
果実(豆果)は扁平でくねくねとよじれていて、大きさは、長さ30cm、幅5~6cmと大きなものです。それを振ると、中の種子がカシャカシャと軽い音をたてます。
先日、北の沢山の子公園に行って、そのサイカチに花芽がついているかどうか見たのですが、確認できなかったのです。しかし、おそらく樹上に花芽はついているのでしょう。今秋の落葉後には、サイカチの枝先にぶらぶらと垂れ下がった大きな果実を見ることができるかもしれません。


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