狭い面積で栽培する家庭菜園で、未熟堆肥が問題になるのは、どのようなケースが考えられるでしょうか?
畑に有機物を入れるのは、未熟堆肥だけではなく、生の有機物を入れる場合もあります。
未熟堆肥は有機物の分解が途中の段階もの、若しくは、分解が不十分な堆肥のことを指します。
それで思い出すのが、料理から出る野菜くずを家庭用コンポスターで堆肥をつくろうと思ったときのことです。

家庭用コンポスター
プラスチック製で、下の底部分が抜けていて畑の片隅に10cm程埋め込む。上部は蓋になっていて、そこから野菜くずを投入
野菜くずはほぼ毎日出るので、その都度コンポスターに入れていたのですが、1ヵ月も経たない 内にコバエが大量発生して蓋を開けるのも嫌になってしましました。 5月半ばに入れ始めて6月半ばには止めてしまいました。その都度かき混ぜて少し土をかければコバエの発生を抑えられたと思うのですが、それが出来なくて、それ以降野菜くずを入れずにそのまま放っておき、翌春畑に混ぜ込みました。
家庭菜園で未熟な堆肥を使うケースは上述の家庭菜園用コンポスターが頭に浮かぶくらいです。それよりも、収穫後に出る野菜残渣、米ぬか、コーヒーかす、落ち葉などの生の有機物を畑に入れることが多いように思うのです。
それで、今回は上述の3種、米ぬか、コーヒーかす、落ち葉をそのまま畑に入れる場合について検討してみます。 収穫後に出る野菜残渣については、連作障害や病原菌の問題もあり、別の機会に改めて投稿します。
◉ 米ぬか
家庭菜園をする方は、化学肥料を使わない有機栽培で甘味のある美味しい野菜をつくりたいという理由で、米ぬかを植付時に施用する場合があると思います。
〇 なぜ米ぬかは野菜に良いのか?
米ぬかは玄米を精製して白米にするときに取り除かれる外皮や胚芽の部分のことで、栄養分がとても豊富。 胚芽とは芽と根を出す部分で、イネが成長するためのすべての栄養素が詰まった部分。なので米ぬかには、窒素(N)リン酸(P)、カリ(K)や微量要素がバランスよく入っている。
〇 しかし、生の米ぬかを植付前に施用すると、
米ぬかは微粉性なので、微生物は増殖を活発化して自分の体(CN比;8~10)をつくろうとするが、米ぬか内にある窒素(N)分では不足するので、土壌中の窒素を取り入れようとし窒素飢餓が現われることになる。 米ぬかのCN比は18~23だが、園芸店で販売されているのものは脱脂されているのが多く、CN比;20~23と高い。
〇 植付前の米ぬか施用が窒素飢餓を起こしやすい原因
米ぬかの微粉性とそれに伴う微生物の増殖の活発化(微生物が土壌中の窒素を急速に取り込み、作物が利用できる窒素を一時的に不足させること)が大きな原因である。
〇 窒素飢餓以外に、米ぬかの大量施用が作物に与える影響
施用直後に微生物が急激に増殖するため、土壌中の酸素を大量に消費する。これが根の呼吸障害(酸素不足)や根腐れの原因となる。
〇 どれくらいの量を畑に入れると、窒素飢餓の症状がでるのか?
米ぬかに関するサイトでは、
「1kg/㎡入れると窒素飢餓がでる」
と書かれている。 米ぬかの比重を0.5とすると、1kgは2リットル。2L/㎡を撒いてしまう可能性は十分にありうる。畑にまいたときは土の表面が真っ白になり、まきすぎたかな?と思うが、剣先スコップですき込めば白い粉が散らばる。
AIに尋ねると、
300g/㎡以上は危険と言っている。
それではどれくらいなら大丈夫なのか?
⇒ 100~200g/㎡
この量は少ないように思えるが、植付まで日数、土壌の質、施用時の気温、乾燥しているか?降雨後か?など様々な状況や変動を考えると、100~200g/㎡が妥当な数値になるのか。
この100~200g/㎡は、
・100g/㎡;畑の表面にうっすらと白っぽい粉がかかったような状態
・200g/㎡;表面がうっすらとベージュ〜白っぽく見えるくらいで、地面の色がうっすら透けて見える程度
◉ コーヒーカス
緑の相談で、
「コーヒーかすが相当貯まっている。 畑にまきたいが大丈夫か? 」
という相談を受けることがあります。 相談者はやはりコーヒーのあの苦み成分が作物に害を与えるのではないか?と危惧しているのです。
〇 コーヒーかすの特徴
・コーヒーかすのCN比;約20~25
・pH;5~6(やや酸性)
〇 コーヒーの苦み成分(カフェイン)は作物にどのような作用(影響)をするか?
・カフェインはアルカロイドの一種で、コーヒーの他にお茶、カカオなどにも存在し、他の植物の種子発芽や初期成長を抑制する作用がある
・なので、生のままコーヒーかすを畑に施用すると、タネをまいても発芽しなかったり、根の成長を抑制・阻害する可能性がある
〇 生のコーヒーかすを畑にまく場合、タネまきや野菜苗を植付ける何日前に、どれくらいの量をまくのが安全か?
・施用時期 ;最低でも3~4週間前(他の堆肥と併せて)
・施用量の目安;100~300g/㎡に抑えるのが無難
〇 コーヒーかすを落ち葉などと混ぜて堆肥化すれば、発芽抑制など原因となるカフェインは分解されるので問題なく使える
〇 コーヒーかすにあるカフェインは、害虫を寄せ付けない効果がある。 これを「害虫忌避・摂食抑制効果」という。
・しかし、この効果もコーヒーかすの分解が進むと薄れるので、施用時期と量がポイントになる。
・施用時期;野菜苗の植付直後から数日以内
・施用場所;株元周囲に薄くまく、揮発性成分の効果を生かすために畑土と混ぜない
・施用量 ;5~10g/株(ティースプーン山盛り1~2杯程度)
〇 コーヒーかすを
・堆肥として利用する場合
・害虫の忌避剤として使用する場合
では施用量・使用方法が異なるので注意が必要。
〇 おまけの話
コーヒーカップ1杯に使うコーヒー豆、又は挽いたコーヒー豆の重さは約10g。 毎朝欠かさず1杯飲むとすると1年間で貯まる量は、
・10g/杯 ×365日 = 3650g/年
・畑に200g/㎡をまくとすると、
3650g ÷ 200g/㎡ ≒ 18.25 ≒ 18㎡
・毎日1杯づつ飲んだコーヒーの残りかすを1年間貯めておくと、約18㎡の畑にまき・すき込むことができる。
◉ 落ち葉
11月に身近な公園などで集めた落ち葉をそのまま畑にすき込む方もいると思います。これも生の有機物を畑に入れることになり、その量が多くなると窒素飢餓の可能性が出てきます。それでは、どれくらいの量を入れると、その可能性が出てくるのでしょうか?
〇 落ち葉の特徴
・CN比は50~90と高め
・これが高いということは、落ち葉を分解する微生物はより多くの窒素を必要とする
〇 落ち葉の害が出やすい投入量
AIに尋ねると、
・5kg/㎡以上入れると、微生物が落ち葉を分解するときに必要な窒素の量が増え、窒素飢餓の可能性が高まる
・特に、気温が上がる5月中旬以降のタネまき・苗の植付時に影響が出やすい
〇 適正投入量はどのくらいか?
・乾燥した落ち葉2~3kg/㎡が目安
〇落ち葉を化成肥料袋(20kg入り)に入れた場合の重さ
・落ち葉の乾燥状態や詰め方で重量が変わるので、
・乾燥した葉でしっかり詰めたば場合 → 1.5~2.5kg
・葉に湿り気があってしっかり詰め込んだ場合 → 3~4kg
札幌の場合、11月前後なると地面は常時湿気った状態になり、乾燥した葉ばかりではないので、
・公園などで集めた落ち葉を化成肥料袋(20kg入り)に詰め込んだ場合、概ね約3kg/袋と推定。
・畑に入れる落ち葉の適正量が2~3kg/㎡で、化成肥料袋(20kg入り)に詰め込んだ落ち葉の重さは約3kgなので、
・1㎡当たり化成肥料袋(20kg入り)を1袋入れることになる。
〇 我家の家庭菜園で落ち葉を入れていみた
以下は、10年前に公園で集めた落ち葉を我家の畑に入れたときに投稿したブログです。
久しぶりに読んでみて、今回の内容とそれほど違ったことを言ってないことに安心しました。