リンゴ  さび病(赤星病)  

2025.9.8
毎年、8月に入ると葉に黄色の円形状の病斑を見つけます。写真 中央の葉の右側中ほどの黄色く真ん中が黒い点が病斑(赤い矢印の先)。
2025.9.8
病斑の大きさは、白線の桝の大きさが1cm角なので、1cm弱です。
2025.9.8
葉裏には、さび病特有の茶色のヒゲの塊があります。
2025.9.8
このひげ状のものを「触手状突起」「さび胞子堆」と呼ぶそうです。 「さび胞子堆」の「堆」は、病原菌の胞子が“うず高く積み重なっている状態のことを意味するようです。 確かに「髭」の下はこんもりと盛り上がっています。この「髭」の中?に胞子があって、風や雨で飛散し、次の感染源になります。
我家の庭にあるリンゴを7月頃から週に1~2回枝透かしを兼ねて、葉に病虫害がないか観察するのですが、7月下旬頃?からこの「髭」を見つけて取り除いています。1回当たり葉を5~6枚取り除くので、一夏で30~40枚の葉を処分しています。葉はポケットに入れて、後でゴミ箱に捨てます。
農薬はダコニール(殺菌剤;予防薬;病気が発生する前にかける薬、ベンレートのような治療薬ではない)を5月~7月にかけて3~4回散布しているのですが、毎年発病します。袋をかけているので果実にはつきません。
リンゴさび病は、落葉についているさび病菌が越冬して、翌春、それが再びリンゴに病気を発生させることはなく、 近くにビャクシン類がなければ発病しないそうです。千葉県の市川市などでは条例を制定して、ナシ栽培地から一定距離内(1~2km)にビャクシン類を植えることを禁止しています。
我家のリンゴの被害は大したことはないのですが、今後のことを考えると、ビャクシン(正確な名前は分からない)を処分する必要がありそうです。

〇 さび病について
リンゴのさび病は赤星病ともいいます。
リンゴのさび病(赤星病)の分類の位置付けは、サビキン目、サビキン科、ギムノスポランギウム属、(Gymnosporangium属)となります。 サビキン目には約14科、約7,700種以上、サビキン科は166属、7000~7500種でサビキン目の大半を占めています。ネットで調べるとサビキン目は出てくるのですが、サビキン科はヒットしません。ので、菌類を研究されている方及びその関係者は、大まかにサビキン目 ≒ サビキン科と捉えているようです。
サビキン科に属するGymnosporangium属には約74種が知られています。この属は、異種寄生型のさび病菌で、主にヒノキ科(ビャクシン類)とバラ科(リンゴ・ナシなど)の植物を交互に寄生するタイプです。

〇 リンゴさび病の一生(生活史)
さび病菌には、1つの植物だけで一生を終えるタイプと、2種の植物を季節ごとに移りかえるものがあります。 リンゴは後者のタイプで、上述の異種寄生型と呼ばれます。
具体的には、
① 5月中下旬、ビャクシン類の枝葉で越冬した胞子 が飛散し、リンゴの若葉に感染
② 7月以降、リンゴの葉に赤褐色の病斑が出現、葉裏には髭状のさび夏胞子堆を形成(上の写真)
③ 7~8月、さび胞子が飛散してビャクシン類に再感染
④ リンゴから感染したビャクシン類の枝葉内部で菌糸が増殖し、冬胞子堆を形成→①に戻る
※我家の庭には半分枯れたビャクシンがリンゴの横にあって、おそらく、サビキン胞子はそこで越冬しているのでしょう。 寒さを感じ始める10月下旬には冬胞子堆を見ることができるのだそうです。
病原菌には、多数の植物に寄生する菌と、一つの作物だけに寄生する菌があります。前者は広宿主域性(こうしゅくしゅいきせい)、後者を宿主特異性と呼びます。前者は少数派で、全体の10~30%だそうです。
前者の広宿主域性タイプには、シクラメンの灰色カビ病やトマトやキュウリなど多数の作物に寄生する土壌性病害菌であり、一旦発病すると抜いて処分以外に手立てなくなる、治療が難しいやっかいな仲間です。
一方、後者の宿主特異性タイプの菌は一つの作物にしか寄生しないので、たとえば、隣家にナシにさび病が発生したから、その近くに植えてある我家のネギにさび病がつくかというと、そうはならないようです。ナシにつくさび病菌の種(シュ)とネギにつくさび病菌の種(シュ)では、名前は同じでも菌のタイプが違うのです。

〇 余計な話

階級 英語表記 説明
ドメイン Domain 最も広い分類。真核生物・細菌・古細菌など
Kingdom 植物界(Plantae)など
Phylum / Division 被子植物門、裸子植物門など。植物では「Division」も使用
Class 双子葉植物綱、単子葉植物綱など
Order バラ目、キク目、イネ目など
Family バラ科、キク科、イネ科など
Genus サクラ属、バラ属など
Species メイヨシノ、タンポポなど
上表は植物分類の階層を表したものですが、上述の
ナシにつくさび病菌の種(しゅ)とネギにつくさび病菌の種(しゅ)では、名前はさび病菌と同じでも菌のタイプが違うのです」の種(しゅ)の意味は、
上表の一番下の「種」(しゅ)のことで、 この意味合いは、エゾヤマザクラとチシマザクラの違いのレベルです。
種の定義;同じ種(しゅ)に属する個体は交配可能で、繁殖能力のある子孫を残せる。 例えば「エゾヤマザクラとオオシマザクラは交配しても種子はできない」が原則的な話です。 しかし、植物の場合、種間雑種(違う種(しゅ)どうしの交配でできた種)が多々あり、動物ではおおむね種の定義は当てはまるのですが、植物の場合、緩やかというか、大まかなようです。 ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの交雑種で属は同じですが、種(しゅ)が異なる種間雑種です。
驚いたことに、属間雑種もあるようです。自然界ではまれなのだそうですが(まれにでもある!)、人工的に行われているそうで、大学などの研究機関では、耐病性や優良系統の作出を目的に、リンゴとナシの交配(属間雑種)を作っているそうです。

 

 

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