堆肥(10) 腐植物質

微生物が樹木や草花を分解していくと最終的には水と二酸化炭素に分解されるのですが、その過程で腐植物質が形成されます。 この腐植物質は、大きく3つ(フルボ酸、フミン酸、ヒューミン)に分類されます。
腐植物質は土壌(畑の土)の良し悪しを決める重要な成分です。

🔵 土壌構造の改善(団粒構造の形成)と保肥力の向上
団粒構造をつくる

「植物工場ラボ」さんのサイトからお借りしました。
団粒構造ができると、
・水はけ、水もちが良くなる
・通気性が良くなる
・その結果、根が良く伸びる
つまり、植物が育ちやすい土壌構造ができるのです。
上図の右端の円形図は団粒構造の中身を拡大したもの。砂、粘土、水、空気、腐植物質がくっつき合って団粒をつくり、そこに、根っこの先端部分が入っていくのです。この団粒の中の水分は重力で地下に流れ出ていくことのない水です。


カリウム、マグネシュウムなどの肥料成分をつかまえて保持
する力がある

「シェアリング未来ec」さんのサイトの画像をお借りしました。
上図の土壌コロイド(丸い大きな円)は、団粒の中の腐植と粘土に相当し、どちらもマイナス(ー)の電荷を帯びていて、プラス(+)の電荷をもったカリウム(K⁺)やマグネシュウム(Mg²⁺)などの肥料成分が引き付けられてくっつくのです。
肥料成分は水の中に溶けて存在するので、雨が降って地下に浸透すると肥料成分も一緒に地下に流れていきます。 しかし、腐植や粘土が土壌中にたくさんあると、肥料分は腐植や粘土にくっついて流れません。これが腐植の肥料成分を保持する力です。

🔵 腐植物質は、堆肥(有機物)を入れることで団粒構造が形成され、肥料成分の保持力を高めますが、その腐植物質(フルボ酸、フミン酸、ヒューミン)とはどのようなもので、どのような働き・作用があるのでしょうか?

◉ 腐植物質(フルボ酸・フミン酸・ヒューミン)の特性・作用

分類
(分子量)
水溶性(色) 主な機能・働き 分解までの年数
フルボ酸
(小さい)
酸性・中性で水に溶ける(黄褐羽賀研二色) ・キレート作用が強く、微量要素の可給性を高める
・植物の根からの吸収を助ける
・微生物活性を促進
数週間~数ヵ月
フミン酸 (中程度)) アルカリ性で水に溶ける(黒褐色) ・団粒構造の形成促進
・保肥力(CEC)の向上
・根の伸長促進やストレス耐性向上
数年(3~10年程度)
ヒューミン (非常に大きい) 水に溶けない(黒色) ・非常に安定で長期的な炭素貯蔵
・土壌の物理性改善(団粒の骨格)
・緩衝能の向上
数十年~100年以上

〇 フルボ酸
堆肥が分解される過程で比較的早い段階に生成される腐植物質で、根の成長を促進し、養分や水分の吸収を助ける働きがあるが、比較的早く分解される。また、土壌コロイドと肥料成分のくっつきやすさ(保肥力)を高める。

〇 フミン酸
フミン酸は団粒構造の中核をなし、土壌コロイドと結合してその構造を安定化させる働きがある。こうして形成された団粒構造は、耕起や乾湿の繰り返しによって徐々に分解されるが、フミン酸の存在によってその耐久性が高まり、土壌の物理性(団粒構造)や保肥力の維持する。

〇 ヒューミンは、フミン酸と同じように団粒構造を形成し、土壌のの物理性・保肥力を向上させ、分解までの年月が非常に長く数十年~数百年の単位で安定する物質。

🔵 上述の3種類の腐植物質は、水と二酸化炭素に分解されるまでにどれくらいの年月がかかるのでしょうか?

〇 腐植物質は最終的には水と二酸化炭素に分解されるが、その速度は極めて遅く、※数十年~数千年かかり、土壌中では長期間安定して存在する。 → ◉腐植物質の特性と作用の右端列参照
※数十年~数千年とは非常に幅があるが、これは、寒冷地や乾燥地、熱帯雨林など環境による違い、測定法によっても違いが出てくる。

🔵 堆肥の中に、腐植物質はどれくらいの割合で存在するのでしょうか?

〇 有機物内にある分解されやすい物質(糖やたんぱく質)は早く分解されて微生物のエサになって無くなっていくが、リグニンなど難解性有機物は微生物の作用により変性(分解と再合成)を繰り返して腐植物質(フミン酸、フルボ酸、ヒューミン)になる。その割合は、牛ふん堆肥;10~20%、植物性堆肥;20~30%。
残りの堆肥=非腐植物質(リグニンなどの難解性有機物)も順次分解と再合成を繰り返して腐植物質に変わっていくようである。

🔵 まとめ
腐植物質とは、微生物が有機物を分解する過程で生成される、分解されにくい高分子有機物の集合体で、フルボ酸・フミン酸・ヒューミンの3種に分類されます。これらは、土壌の団粒構造を形成し、保肥力を高め、植物の根の生長や微生物の活性を支えるなど、土壌の健康と作物の生育に不可欠な存在です。

 

 

 

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