エゾエノキ(その1):国蝶オオムラサキの食葉樹

樹の花の写真を撮ろうと思って出かけて、あいにく開花直前とか最盛期を過ぎてしまっているときなどがっかりするものです。先週水曜日(5月6日)、エゾエノキの写真を撮ろうとその場所へ立ち寄ってみると、
006 エゾエノキ2014.5.6
新葉がちょうど展がりはじめてるところです。中央の褐色味を帯びた 赤丸の3本がエゾエノキです。樹高は8~10m弱くらいで、幹径は30~40cmくらいでしょうか。
023 エゾエノキ2011.10.8
上記写真の3本の内の1本。 雨の日に撮っているので樹肌は黒っぽく見えますが、滑らかでコブシのように白っぽいです。
思いもよらずエゾエノキの花に出会えたので、そして初めての出会いなのでほんの少し感激しました。しかし、その花は、原始的というか、花とは思えない表現しようのないものです。エゾエノキの花は、雄しべと雌しべの揃う両性花と雄花(雌しべがない雄しべだけ)の2種類あります。
001 エゾエノキ2014.5.6
展葉と同時に花を咲かせます。白い八の字に2本伸びているのが雌しべ(花柱)で、その基点から緑色で丸く膨らんでいるのが子房、その基部から紫色のもの(4枚?)ががくで、その先の黒くて丸いものが雄しべのようです。これが両性花です。
002 エゾエノキ-0012014.5.6
両性花の下に褐色の雄花が見えます。小枝に近いところに咲いていた雄花はすでに枯れ落ちて花梗(花軸)のみになっています。
それから5日後(5月11日)のエゾエノキ
008 エゾエノキ2014.5.11
新葉の出始めは褐色を帯びていましたが、5日もすると薄黄緑色に変わってきます。 写真左の樹はサクラ。樹種は不明。
009 エゾエノキ2014.5.11
その頃には雌しべ(花柱)は萎み、子房が膨らんできています。雄花の付かない花梗(花軸)が1本の両性花のみが果実を大きくするようで、下部に雄花をつけている両性花(散房状の花軸)は受精できないのか、それとも受精しても何らかの原因で果実が大きくなれないのかその理由はわかりませんが、萎んで枯れてしまうようです。この両性花はあってもなくてもいい存在で要らないように思うのですが、進化の悪戯か?それにしても面白い花の咲き方をするものです。
エゾエノキは本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾に分布していますが、本道では石狩低地帯以南で、札幌では、円山・藻岩山周辺と硬石山や八剣山など豊平川沿いの山に生えているようです。
<余談:国蝶 オオムラサキ>
オオムラサキ※1は日本の国蝶といわれるだけあって、羽を拡げたときの大きさが10cmもあるそうで、その中心を染める鮮やかな青色は目をひきます。昆虫(チョウ)愛好家(コレクター)にとっては憧れの種類だそうで、私はこの蝶に一度もお目にかかったことがないので、写真ではなく本物、大空に舞うオオムラサキを見たいものです。
※1:オオムラサキの幼虫はエノキ・エゾエノキの葉を食べて大きくなり、成虫は樹液を吸います。
IMG_1830verJ01.jpg
写真提供:北杜市(ほくと市)オオムラサキセンター (山梨県)。 このチョウについて関心のある方は、下記ホームページへ。オオムラサキの生態等について詳しく書かれています。 → http://oomurasaki.net/about.php
写真で、オオムラサキが体を休めている葉はエノキのようです。

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