樹皮・樹肌の履歴  プラタナス

2015.8.4
街路樹プラタナスの地際付近に こぶ状のものが並んでいます。 大きさは、高さが3cmくらいで直径が5~6cmでしょうか。
2015.8.4
それでは、いったい何が原因でこのようなこぶ状のものができたのでしょうか?
樹木には、傷、剪定、病気などでこぶ状のものができますが、これはそれらのものと少しタイプが違うようです。
これは、長さが約3cm、直径が1cm程のカプセルを樹幹に打込んだためにできたこぶです。 カプセルの打ち込み間隔は10cmです。 ので、大きな樹になると10本以上打ち込むことになります。
カプセルを打込まれたことで、プラタナスが傷を修復しようとして、、このようなこぶができあがったのです。  このカプセルには農薬のオルトラン(殺虫剤)が入っていて、街路樹についた害虫を駆除または予防するためのものです。

他の街路樹シラカバ、トチノキ、イヌエンジュ、アズキナシ、ケヤキなどでもこのカプセルが打ち込まれています。 しかし、このようなこぶができるのは、私が見た限りではプラタナスだけのようです。

 

<余談>
今から20~30年前までは、街路樹に害虫が発生した場合、農薬を散布することがありました。 しかし、①雨や風が強い日は出来ないことや、②住民の農薬に対する拒否反応?アレルギーの高まりで、農薬散布を付近住民に事前周知しなければならないこと、③住民の方に影響が出ないように早朝に散布しなければならないこと、④国からの農薬散布に対する指導強化などがあって、施工する側にとってはやっかいでやりにくい作業であったのです。

一方、街路樹が大きくなるにつれて、害虫が原因の苦情も多くなってきていました。
あるラーメン店から、
「店先にある街路樹から飛んできた虫がお客さんのラーメンに入った」とか
サイクルショップから
「店先に並べてあった自転車のサドルやハンドルがべとつく」(これはアブラムシが樹液を吸って出る排泄物(甘露というそうです)が風に乗って付着したもの)

などの苦情があると、早急に対応処置しなければなりません。 しかし、先程述べたように、なかなか厄介な作業であるためにすぐに対応しきれない場合も出てきます。 そんな状況に出てきたのがこのカプセル(オルトラン樹幹注入材)です。

このオルトラン(商品名:オルトラン 農薬名:アセフェート)は、※接触性の農薬ではなく浸透移行性のため、あらかじめ樹幹を通して葉に沁み込ませておけば、長期間薬効があるため、計画的に害虫が発生する前に作業することができます。
以上の理由から、現在では街路樹の場合、害虫の駆除はほとんどがオルトラン樹幹注入で対応しているようです。

※農薬の種類
接触剤:殺虫剤の多くは接触剤に属します。直接害虫にかからなければ効果のあらわれない薬剤などもありますが、多くは散布された場所に害虫が触れても効果があらわれます(「マラソン乳剤」、「スミチオン乳剤」など多数)。この種の製品はかけむらのないようにていねいに散布することが必要になります。

食毒剤:散布された葉などを食べることによって害虫が退治される薬剤です(「ゼンターリ顆粒水和剤」)。食害は直ちに止まるため被害防止に役立ちます。

浸透移行性剤:食毒剤の一種ですが、普通の薬剤は植物に吸収されても植物体内を移動しませんが、根や葉から吸収されて移動する薬剤を浸透移行性剤(「オルトラン粒剤」、「ベニカ水溶剤」、「ベニカベジフルスプレー」など)といい、その植物を加害した害虫を退治します。長期間効果が持続するため便利な薬剤です。特に、「オルトラン粒剤」、「オルトラン水和剤」などは食害性害虫と吸汁性害虫の両方に効果がありますので、家庭園芸向きの薬剤です。
(住友化学園芸より)

 

 

 

 

 

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