樹皮・樹肌の履歴(その1)  ケヤキ

ケヤキ2015.8.5
札幌駅から3丁ほど西に歩くと、北5条通を挟んで南に北大植物園、北側にこんもりとした樹木地があります。 この写真は、その樹林地に接する歩道上にあるケヤキです。 樹高は約20m、幹径は80cm前後ある大きな樹です。 3本ある内の真ん中の樹の幹が膨らんでいます。
ケヤキ 
近くで見ると、幹が手前と右手で2ヵ所ぷっくりと膨らんでいます。 その膨らみは、直径が約40cm、突き出ている高さは15cmほどあります。

今日の話題は、どうしてこのような膨らみが出来たのか? です。ケヤキ
この写真は、上の写真の右側の膨らみを近くから撮ったものです。 赤い線で囲まれた内側にS字状の線が走っています。 これは、なにを意味しているんでしょうか? 太い枝が切断されると切り口の周りから切断された面をふさごうと再生組織が膨らんできます。 月日が経ってくると切断された枝(材の部分)は腐って抜け穴(あなが開いた状態)が出来ます。 樹は穴をふさごうとその部分を分厚くしていきます。 そして、最後に組織がふさぎきって癒合したのがこのS字状の線です。 おそらく、膨らんでいる内側は空洞になっていると思います。
ケヤキ
この膨らみは、切断された面をふさぐ最終段階のようです。 あと2~3年で完全にふさがるのではないでしょうか

この根元近くにふくらみを持った樹木は、人や車の通行に支障になるなど何らかの理由で太い枝が切り落とされたようです。 S字状の線の長さや膨らみの大きさからすると直径が10~20cmの枝が切断されたのでないでしょうか。
若い樹の細い枝を切った場合は、幹が太るにつれてその傷は見えなくなるのですが、ある程度成長した樹(幹が太くなった樹)では、太い枝を切断された場合、このように大きく膨らむようです。そして、完全に傷がふさぎきるまでに20年以上?の年月を要しているのではないでしょうか。

 

 

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