サツキ

6月も10日を過ぎた頃からサツキがちらほら咲き始めました。 今は3分咲きでしょうか?  6月下旬に最盛期を迎えます。
サツキ 2012.6.19
写真は、南区川沿にある札幌逓信病院の外構植栽です。 毎年、このようにきれいに咲きます。

サツキ 2016.6.11
一方、サツキでもこのような外構植栽もあります。 そして、札幌ではこのパターンが結構あるのではないでしょうか。
今から5~6年前の10月末?11月上旬?頃に石山通の国道沿いに商業施設がオープンしたのですが、その直前に植えられたのがこのサツキです。 そのときの植え方は、株間から地面が見えるくらいの少し広めの植栽間隔でしたが、それほど酷い植え方ではありませんでした。 しかし、冬が来る直前に植え込んでいることや歩道と駐車場の間に挟まれた狭い植栽地などサツキが枯れる条件が整っていたので、このサツキは2~3年で枯れるなと思いました。
サツキ 2016.6.11
写真は現在のサツキの状態です。 枯死してしまった株も多いのですが、毎年少しづつ株が小さくなってやっと生きているものばかりです。 花は申し訳なさそうに植栽地の片隅にほんの少し咲いています。  おそらく、数年の内にサツキの代わりにタンポポやスギナなど雑草が生い茂っていると思います。

サツキは元々関東以西に自生する常緑低木で寒さには弱く、札幌では本来冬越しが難しい樹種です。 個人の庭で生育環境が整っていて且つ大事に育ててもらってやっと育つ植物です。 それに、サツキは渓畔植物と呼ばれ、太陽の日差しが1日の半分も入らないような山間の、しかも、川が増水すると水をかぶるような渓流の岩場に自生する植物、岩の隙間に細い根を深く入り込ませて養分や水分を吸って生きている植物です。 ここの商業施設のように周りがすべてアスファルト舗装で、しかも太陽の日差しが1日中照りつけて地面の温度が上がりやすく乾燥しやすい環境では、細くて繊細な根を持つサツキにとって最も不向きな場所なのです。

札幌市では昭和40年代半ば(札幌オリンピック前後)から人口が急激に増加し、市内には多くの公園がつくられました。 その公園にヒノデツツジやサツキが植えられたのですが、ほとんど枯れてしまいました。 そんなこともあって、昭和60年代にサツキは植えないことにしようと取り決めた経緯があります。 現在では、札幌市内の公園でサツキを見ることはありません。

一方、都心部を中心に札幌市内のビルディングなど商業施設やマンションの外構植栽に相変わらずサツキが使われています。 なぜ、枯れることの可能性が高いと分かっているサツキを植えるのでしょうか? ある造園屋さんの話によると、
「サツキの植栽工事を請け負ったときはオープン間近で、こちらから、サツキを植えても枯れますよ と言っても、東京の本社で建物や外構も含めた施設の設計をやっているので変更等は出来ないといわれた。 それに、こちらは下請けのそのまた下請けなので、そんな話をしても元請に届いているかどうか、ましてや発注元の担当者まではとても届かないのでは。」   とのこと。
少しおおげさに言うとこの問題は、発注元の外構植栽に対する考え方が一番大きく左右するのですが、請負工事のシステム(流れ)にも一つの大きな要因であるようです。 おそらく札幌市内では、サツキは今後も植え続けられ枯れ続けるのでしょうね。

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