紅葉について(その3) 褐葉

紅葉について、(その1)では紅葉を、(その2)では黄葉を調べてみました。今回、その3は褐葉です。褐葉は、ミズナラ、コナラ、カシワ、クリなどのブナの仲間やケヤキ、トチノキなどを思い浮かべますが、モミジ類の紅葉、イチョウ、カツラなどの黄葉に比べて目立たないというか、そちらに目が行かないというか、地味な存在であることは確かです。とりあえずまとめてみました。褐葉を取扱うサイトが少ないのですが、その中で、
ウィキペディアでは、
① 黄葉と同じ原理であるが、タンニン性の物質(主にカテコール系タンニン、クロロゲン酸)や、それが複雑に酸化重合したフロバフェンと総称される褐色物質の蓄積が目立つためとされる。
② 黄葉や褐葉の色素成分は、量の多少はあるがいずれも紅葉する葉にも含まれており、本来は紅葉するものが、アントシアンの生成が少なかったりすると褐葉になることがある。
「黄葉と同じ原理である」と書かれているので、自分なりの理解として、黄葉は、クロロフィル(葉緑素)が分解されて、元々あるカロチンが目立つようになる、紅葉は、アントシアンという物質が落葉前に新たに合成されると思っていましたので、①の文章の「褐色物質(フロバフェン)が蓄積される」と書かれると、それじゃ、紅葉と同じ原理ではないではないかと思ってしましました。しかし、褐色物質の蓄積される時期が夏場の場合もあり、その場合は、褐葉時に元々あった色素が目立つようになる で理屈は通るのですが 、化学、有機化学に疎い者にとってはこれらを理解するのは、ほとんど不可能に近いです。
1-010 コナラ エドウィン・ダン2012.11.5
中央の褐葉:コナラ、左側:プラタナス、右側のコナラ下側橙色がかった褐葉:ブナ エドウィン・ダン記念公園
また、別のサイトでは
○ 褐葉する樹木はコナラ属の仲間に多く、「アントシアン」のかわりに、タンニン系の物質「フロバフェン」phlobaphene が合成することにより褐色となります。このタンニン系物質は、化学的には「アントシアン」と似ていて、糖分を出発に作られますが、最終段階で赤色色素か褐色色素かに分かれるそうです。
このサイトでは、褐葉のメカニズムを紅葉のそれと同じだとしています。私としては、こちらのサイトのほうがしっくり頭に入っていきます。
もう一つ、日本植物生理学会が運営するサイトに、子供から大人まで、植物に関する素朴な疑問に、大学の先生方が丁寧に答えるという「みんなの広場」というコーナーがあります。その中に「紅葉」についていろいろ書かれているのですが、それらを読んでみて、以下のようにまとめてみました。
① イチョウやカツラは黄葉するが、紅葉はしない。その理由は、アントシアンを合成する遺伝子が欠如しているか 、その部分に何か不具合があって、アントシアンを合成できないからである。
②モミジ類など紅葉する種類は、アントシアンを合成できるので赤くなるが、元々葉の細胞にカロチノイドがあるので、条件によっては黄色にもなる。
③褐葉については、その元であるタンニン物質の「フロバフェン」が合成されるために起こるが、これは細胞内の物質が酸化分解してできる。カロチンやアントシアンも酸化分解して「フロバフェン」になる(この部分を記した先生の話によると、植物では、色々な成分が作られて行く過程(生合成)に関する研究に比べ、分解に関する研究はずっと遅れているそうで、「フロバフェン」についても正確なことはまだわかってなそうです)。落葉前に生じる葉色の変化は、カロチンとフロバフェンが関わる場合は、褐色⇔黄色に変化し、アントシアニンとフロバフェンが関わる場合は、褐色⇔赤⇔橙⇔黄 の場合がある。
確かに、トチノキの紅葉を見ても、鮮黄色~黄橙色~褐色の変化があるし、モミジ類でも赤味を帯びたような、くすんだ褐色の葉を見かけます。
以上のように超簡単にザックリとまとめてしまいました。これが自分なりに理解した「紅葉」ですが、どんなもんでしょうかね?
それにしても、紅葉は複雑にして多様です。紅葉については、みんなの興味を引き、研究の対象としては面白そうですが、その割りに研究がされてないようです。確かに、紅葉は趣味の世界では興味の対象にはなりますが、研究の対象としては、これを研究することによって、経済的効果があるとか、人の命を救うというような人類が利益を得るという対象でないため、研究者も少ないのでしょうね。余計な話をしてしまいました。
1-005 ハウチワカエデ 十五島公園2012.11.3
右側の褐葉:ミズナラ、中央の紅葉:ハウチワカエデ 十五島公園
1-001 ハウチワカエデ2012.11.3
上の写真のハウチワカエデを樹冠内(下)から撮影

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