街中の紅黄葉

札幌は紅葉の季節を迎えました。 我が家の近くを流れる豊平川沿いの山肌も夏場の濃緑の葉が色あせてくすんだ色になっている、そんな山肌の緑の中に黄色や赤色 のまだら模様?が目立つようになってきました。 札幌の奥座敷、定山渓やその奥の豊平峡は先週が見頃だったのではないでしょうか?

公園や街路樹など街中の木々も紅黄葉が始まっています。

2020.10.17
豊平川にかかる藻岩上の橋(歩行者専用橋)から撮影。 向こう正面に藻岩山。 写真右の山裾は軍艦岬。 右側中段に走る白い線は藻岩橋。 手前の芝生地は豊平川の河川敷。
2020.10.17
国道230号線、南30条辺りから撮影。 黄葉しているのは、シナノキ、オオバボダイジュ、カツラ、イタヤカエデ、アカイタヤ、オヒョウなど。  2020.10.17
大通西12丁目。 写真左中段奥に見えるのは札幌資料館(札幌控訴院:裁判所)赤褐葉に紅葉しているのはヤマモミジ、イタヤカエデ。
2020.10.17
大通西9丁目。 ハルニレ林。 葉を半分以上落とした樹もある。

2020.10.17
大通西7丁目から撮影。 樹冠上部が紅葉しているのはサトウカエデ(大通西8丁目北東角)。
2020..10.17
大通西3丁目。 写真左側、黄葉しているのはカツラ。
] 2020.10.17
大通西2丁目。 紅葉しているのはサトウカエデ。 左奥の建物は札幌市役所本庁舎。
2020.10.17
中島公園。 奥の建物はパークホテル。
2020.10.17

2020.10.17
中島公園内にある日本庭園。 黄葉の樹木はカツラとヤチダモ。 ヤチダモはほとんど落葉。
2020.10.17
真駒内公園。 メインストリート沿いに植えられているのは、ヤマモミジ、ハウチワカエデ(メイゲツカエデ)、イタヤカエデ。
2020,10.17
真駒内公園。 紅葉しているのはメイゲツカエデ、ヤマモミジ。 この場所の紅葉はきれいで、近くで見るとその赤紫色に引き込まれそうになるが、今年はいまいち。

2020.10.17
真駒内公園

2020.10.17
褐色に紅葉してるのはイタヤカエデ。 黄色はヤマグワ。
真駒内公園を一回りして、目を引いた紅葉はこのヤマグワだけ。

昨日(10月19日)、豊平峡にいってきました。 見頃は過ぎていました。 シラカバの葉は黄葉するのですが、今年は色の抜けた白っぽい褐色なっていて、今秋の紅葉はきれいじゃなかったことがうかがえました。 それと同じように街中の紅葉もいまいちです。
きれいに紅葉するためには、夜温が8℃以下に下がって、晴天の日が続き昼夜の温度差が大きくなることが必要です。 ところが今秋は10月に入っても暖かい日が続いて、しっかりとした冷え込も無かったまま10月中旬を迎えてしまったようです。

以下の表は10月の札幌の最低気温と日照時間を示したものです。

月日 日毎の最低気温 過去30年間の日毎の平均最低気温 日毎の日照時間 過去30年間の日毎の平均日照時間
1日 15.1 10.7 1.5 5.4
2日 14.8 10.5 1.7 5.4
3日 15.5 10.3 4.0 5.4
4日 13.1 10.0 0.7 5.4
5日 11.0 9.8 6.9 5.4
6日 10.2 9.6 3.2 5.3
7日 11.0 9.4 4.3 5.3
8日 9.8 9.1 3.1 5.3
9日 7.3 8.9 8.4 5.2
10日 8.5 8.7 3.8 5.2
11日 14.0 8.5 9.7 5.1
12日 14.8 8.3 1.8 5.1
13日 9.8 8.1 3.3 5.0
14日 7.8 7.9 8.0 5.0
15日 7.6 7.7 8.0 4.9
16日 7.3 7.5 4.0 4.9
17日 6.4 7.3 6.8 4.8
18日 7.6 7.0 9.8 4.8
19日 9.5 6.8 6.8 4.7

表で示したように、2020年の10月は平年に比べて夜温に高い日が多く日照時間も少ない、特に、10月上旬にその傾向が強かったようです。

 

 

街路樹の紅黄葉とストレス


2011.10.30    中央区北1条西10丁目       2011.11.26   中央区南4条西6丁目?
上2枚の写真は、中央区の都心部に植えられている街路樹 アメリカハナノキ(ルブルムカエデ、ベニカエデ)。 北アメリカ原産、ヤマモミジやサトウカエデと同じカエデ科に属し、きれいに紅葉する樹種です。
2011.10.24
南区澄川 精進川緑地
本来なら写真のようにきれいに紅葉するのですが、街路樹として植えられているアメリカハナノキはくすんだ色の紅葉にしかならない樹が多いようです。

長年、札幌市内の街路樹を見ていますが、5月の芽出しから新緑、この時期が一番新鮮で美しい、そして夏場の深緑と街路樹の良さを放つのですが、落葉期の紅黄葉はいまいちというか、樹木本来の持つ美しさを出せないでいます。 イチョウやシナノキなど黄葉する樹種でも、くすんだ黄葉が多いのです。

それは何故なのでしょうか?

人間は、職場での人間関係のもつれや家族の不幸など日常生活に急激な変化が起きると、夜寝られない、食欲がなくなる、便通が悪くなるなどの症状が現れて、体の不調を訴える人が多くなります。 ストレスが溜まってくるのです。 これが長引くとガンなどさまざまな病気の原因になります。「病は気から」と言いますが、ストレスは万病の元なのです。

これと同じように樹木にもストレスがあります。 樹木のストレスとは樹木の生長を阻害する要因のことを言います。 具体的には、夏場の成長期の少雨による乾燥や地下水が低下するなどの水不足、地下水の上昇や長雨による帯水による過湿、台風などの強風による幹枝の折損や塩害などのストレスがあります。
また、害虫による葉の食害やカビなど菌類による葉や維管束(水や養分の通り道:管をふさぐ)への侵入によるストレスもあります。 これらの要因は大きな括りとして自然がもたらすストレスと言えます。

しかし、樹木にとって自然が加えるストレス以外のストレスがあります。 それは、庭園樹や公園樹、街路樹などに人間が加えるストレスです。
①車から排出される有害な排気ガス、②踏圧による土壌の硬化、③これは雪国特有の事象ですが、冬期間道路脇に堆積された雪を排雪する際に、バックホウなどの重機で幹枝に傷をつけること、④定期的に行われる剪定、などです。

以上①~④に加えて、街路樹には、もう一つ、根に加えられるストレスがあります。 街路樹の根が伸びられる地下の環境は劣悪で、車道側は仕切石、アスファルトの舗装版と固く締められた砕石でせき止められるので、根はほとんど車道側には伸びていけません。 歩道側はアスファルトなどの舗装面で被われています。 街路樹が元気に成長しだすと歩道側の舗装面下に根を伸ばしますが、基本的に植えられた場所、植樹桝の中になります。 この根域の狭さは、夏場に雨が降らない日が何日も続くと乾燥害を引き起こします。石狩街道(創成側沿い)?に植えられている比較的若いカツラの街路樹が、夏場の7~8月にかけて葉が縮れる現象を2回程見たことがあります。 これは好天が続いたことによる水不足で、樹木とっては大変なストレスになります。
2012.8.15  カツラ 石狩街道?
写真右:葉の縁が褐色に変化し縮れている。 乾燥により葉先まで水分を十分に届けられない。

そしてもう一つ、紅黄葉の美しさに最も大きな影響を与える要素、人為的なストレスとして街路樹に定期的に行われる剪定があります。

2012.10.26
写真は南区の藤野川通の街路樹ヤマモミジ。 この通は藤野川を挟んで道路が2本走っています。写真左は剪定を行わなかった側の街路樹ヤマモミジ。 右は剪定を行ったもの。 左はヤマモミジの紅葉としてはそれほどでもないが、まあまあの紅葉で、右側の剪定を行ったヤマモミジは紅葉しきれなくてくすんだ赤黒い緑色をしています(真中のきれいに紅葉しているものは無剪定)。 2018.10.22
左側のきれいに黄葉しているイチョウは南区川沿にある藻岩高校の外構植栽で剪定が行われていない。 右側のまだ青々した葉をしているのは石山通(国道230号)の街路樹でその年の春かその前年の秋に剪定が行われた。

このように、本来10月末には紅黄葉するはずのヤマモミジやイチョウが、それができないでいるのです。 これは明らかに剪定による影響と考えられます。 落葉樹は秋になると、厳しい冬に備えて落葉します。 そのメカニズムは、葉で植物ホルモン(エチレンやアブシシン酸)がつくられ、それが作用して茎と葉柄の堺に離層を形成して時期になると落葉します。 その落葉前に葉にある養分 ー 樹木自身が自分で作れない栄養素(根から吸収しなければならない栄養素)の窒素やリン酸、微量要素など     ー を来春の芽出しや新葉の成長、蕾を膨らませて開花させるために再度樹体内に戻すのです。 葉緑素内にある窒素や微量要素が引き上げられるので葉緑素は壊れ葉は緑色を失い、もともと細胞内にあった※カロチン(カロテン)が出てくると黄葉になり、アントシアニンがつくられると紅葉します。

このように、川沿のイチョウや藤野のヤマモミジが時期になっても紅黄葉しない、出来ないのは、また落葉が遅れるのは、剪定という、人間でいえば大手術を受けているようなもので、それを受けたことにより樹体内のメカニズム(調整作用)が壊れた?乱れた?ために、植物ホルモンの生成も乱れるか、または出来なくなったのではないでしょうか。

紅黄葉がきれいに発現するのは、ストレスのない自然な状態で生育しているときであり、上述したように街路樹には様々なストレスを受けることが運命づけられているので、特に定期的に行われる剪定は致命的で、街路樹にきれいな紅黄葉を望むのは無理なこと、かなわぬ夢のことのようです。

※カロチン(カロテン)もアントシアニンと同様に生成されるともいわれている。

 

 

紅葉(その3)

2019.10.16
エゾヤマザクラ 真駒内川沿いを走るサイクリングロード

2019.10.15
ミヤマザクラ  真駒内公園
写真手前の紅葉樹はナナカマド
⇒ ミヤマザクラ:目立たないサクラ 


2011.10.15                                    2013.4.13
ナツツバキの紅葉。 写真左は斑模様になる樹皮
⇒ ナツツバキ シャラノキ

2011.10.13
ツリバナ  エドウィンダン公園
この3本は胴枯病で枯れてしまいました。

2017.11.16
ドウダンツツジ  札幌地方裁判所外構植栽(中央区北1条西11丁目)

2014.9.27
アロニア 北海道 林業試験場緑化樹センター
⇒ アロニア


2019.11.2  リョウブ  豊平公園
 リョウブ


2019.11.4  ハナミズキ
⇒ ハナミズキ:アメリカからやってきた樹


2012.11.13  ヤマボウシ  南区むくどり公園
⇒ ヤマボウシ 白い花弁
ハナミズキとヤマボウシは同属で近縁種。

紅葉(その2)

 2011.10.15
山鼻川の石積み築堤を這うツタウルシ
⇒ ツタウルシ  紅葉 

ウルシ科 山中に生える落葉つる性木本、芽吹きは暗赤色、気根で他木に這い登る、かぶれることがある。(北海道樹木図鑑)

2014.10.21
中央区北2条東4丁目にあるサッポロファクトリ―のれんが館に絡みつく
ナツヅタ。
⇒ ツタ(ナツヅタ):サッポロファクトリー

2017.10.21

山鼻川に沿う山肌の樹木に絡みつくヤマブドウ。 高さは10m以上。
ヤマブドウの紅葉は焼け付くような朱赤色というイメージがあるのですが、ここの紅葉は紫がかった赤色をしています。 この樹の元々持っている性質や 生えている場所・陽の当たり具合等環境によってこのような色にも変化するのですね。
⇒ ヤマブドウ  紅葉 


2018.10.8                                    2019.10.16
上の写真2枚は豊平川河川敷に生えているヌルデ。 場所は藻岩橋上流右岸(豊平側の河川敷、写真右後方の山は藻岩山の一部。
ヌルデは単木でも見かけますが、このように草地に集団で生えているのを豊平川や真駒内川の河川敷で見かけます。
ヌルデの果実は小鳥たちとって餌の少なくなる冬場にかけての大事な餌です。 ので、このような場所が食事をした後の休憩?場所になっていて、その時に糞と共に排泄されたタネが発芽したもののようです。
ヌルデ ⇒ ヌルデ(フシノキ)

2017.10.29
ベニシダレ。 イロハモミジの変種で葉の色が春から秋まで紅紫色で,枝が垂れる品種の総称。
写真の高木はイチョウ。 中島公園。

 

紅葉(その1)  

1週間程?前、新聞に北大構内にあるイチョウ並木が見頃を迎えたことを報道していました。 今年は1週間ほど早いような気がします。 例年は11月に近い10月末というイメージがあります。  ⇒ イチョウ(その6):北大イチョウ並木

札幌周辺の山々は紅葉するではなく黄葉します。 その訳は、山に生えている樹々のほとんどが黄葉する樹種だからです。 シラカバ、ウダイカンバ、シナノキ、オオバボダイジュ、カツラ、イタヤカエデ、アカイタヤ、オヒョウ、ヤマグワ、キタコブシコシアブラなど高木類は褐色に近い黄色~白っぽい黄色や黄緑まで程度に差はあるにせよ黄葉する樹種が多いからです。

一方、公園や個人の庭にはヤマモミジ(オオモミジ:北海道に自生するヤマモミジ)やハウチワカエデなど真っ赤に紅葉する樹を多く見かけます。
しかし、これらの樹木は上記の樹種に比べ樹高が低いために高木類に隠れて身近な山々ではほとんど見かけることはないようです。 高木で紅葉する樹木はナナカマドとエゾヤマザクラなどのサクラ類くらいですが、ナナカマドはもう少し奥深い、標高の高い山に生えているようで、札幌の身近な山の山肌で赤く紅葉する樹々はエゾヤマザクラと高木に被さるように生い茂るヤマブドウくらいのように思います。
しかし、紅葉する樹木も多く、特にツタ・ツル類やツツジ類など中低木に多いので、今回はこれら紅葉する樹木を集めまてみました。


2015.10.22                                                           2013.3.15
ニシキギ。 この樹種の紅葉の美しさはモミジ類に匹敵するが、その深みのある赤にはピンク味を帯びているものが多い。
写真右:若い枝には表皮を突き破ってコルク質の2-4枚の翼(ヨク)ができるので、それを錦になぞらえてニシキギの名がついた。


2014.10.9                                                            2014.10.9
ヤマウルシの赤は朱色を帯びる。 この種は、人工的に作った法面やがけ崩れなどでできた裸地で繁殖する。 写真左は、南区澄川のパークゴルフ場(冬場は雪堆積場として利用)横の法面に生えているヤマウルシ。


2011.10.11                                                    2012.8.10
タラノキの紅葉。 色は褐色味が強い。
写真右はタラノキの開花。 8月に直径70~80cmにもなる大きな花序をつくる。 葉も特徴的で、2回羽状複葉で、大きさは幅、長さとも1m近くになる。


2011.10.19                                                            2012.6.23
ハウチワカエデ。 カメラが悪いのか?、写真の紅葉は朱色味を帯びているが、近くで見ると吸い込まれそうになるくらい深みのある赤に紅葉する。
写真味:ハウチワカエデの葉。


2011.10.15
ナナカマド 真駒内公園 かしわば広場西側園路近く。