その香りに誘われて

もうかれこれ15年以上前のことです。時期はちょうど今頃です。おそらくその日は、風はほとんど無かったのです。石山緑地から駒岡を経て芸術の森へ通じる坂道をひぃーふぅーぜぇーぜぇー喘ぎながら自転車をこいでいるとき、どこからともなくなんとも言えない香りが漂ってきました。自転車を降りて帽子を脱ぎ、汗を拭き拭き、数メートル先にある白い花に近づいて行き、その香り(匂い)をかいだことを、いまだに記憶しています。もっと正確に言うと、近づいて甘い香り(匂い)をかいだことより、坂道を喘ぎながら自転車をこいでいるときに、どこからともなく漂ってきた甘い香りのほうが印象として強く残っています。
032 バイカウツギ 植物園外側2012.6.16
北大植物園の外柵フェンス上に咲いているバイカウツギです。剪定など人の手を一切かけていないようです。枝一杯に白い花を咲かせていますが、少し暴れ気味な枝が野趣を添えて、バイカウツギらしい感じがします。
021 バイカウツギ-0032012.6.23
南区藤野の国道230号線沿い民家のバイカウツギです。
057 バイカウツギ2012.6.25
花弁は4枚で、花の大きさは2cm程度のものが多いです。3cm強になる花も個人の庭で見かけますが、おそらく別の種類だと思います。
056 バイカウツギ2012.6.23
枝先に数個の花をつけます(集散花序)。この写真では6個の花をつけています。
バイカウツギの香りに話を戻します。
しかし、それ以来毎年バイカウツギを見ているのですが、香りをかぐことはあっても、どこからともなく香りが漂ってくることは一度も経験していないのです。
インナーネットで香りの強い品種を探してみました。
2ebf874ae732d1b474794b67145f8ef4.jpg
グーグル画像より
品種名を「ベルエトワール」といいます。雄しべの形状(付き方)や花の中心部が赤みを帯びているところは、ツバキに似ています。香りのある品種はヨーロッパで作られたようですが、特に、この「ベルエトワール」は人気が高いようです。
札幌の6月中下旬、時刻は夜9時 風はほとんどなく、その夜は長袖ではなく、半袖がちょうど合う気温。中島公園にあるコンサートホール「Kitara」で、ショパンのノクターンなどうっとりするようなピアノ曲を聴いた後の帰り道。公園の照明等に照らされた樹木の下を歩いていると、どこからともなく甘い香りが漂ってくる。その香りを求めて辺りを見渡すが、足元が暗くてその花の在り処を探せない。仕方なく諦めて家路につく。
バイカウツギの香りを味わうのには、こんな場面がなかなか素敵ではないかと思うのですがいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA